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【2019修学旅行】舞妓姿で京都を学ぶ

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【2019修学旅行】舞妓姿で京都を学ぶ

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8・楽しい京都観光(伏見稲荷)

 シャンバラ教導団の修学旅行は、軍事訓練をかねているとの噂もある。
 しかし、せっかくの機会、わずかな時間でも有効に計画的に利用すれば、観光を楽しむことは可能だ。

 教導団の鷹村 真一郎(たかむら・しんいちろう)宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)は、上官の許し得て京都に来ていた。事前に緻密な分刻みのスケジュールを立ててある。
 問題は、そのスケジュールをいかに感じず、慌しくならず、京都の風情を楽しみながら「のんびり」過せるかだ。

 祥子が建てた計画は、
「奈良より新幹線で京都、京都から京阪三条へ、そこから祇園四条を歩き、八坂神社からバスで五条の清水寺へ。清水寺からバスで七条へ行き三十三間堂を見学。徒歩で七条駅へ移動、電車で東福寺へ。東福寺駅下車後、東福寺を見学、徒歩で鳥羽街道駅へ移動中任天堂本社を眺める。鳥羽街道駅から伏見稲荷駅へ、下車して伏見稲荷大社を見学参拝。その後電車で丹波橋駅へいき伏見桃山城周辺を散策して終了。」
 という強行スケジュール。
 真一郎は、
「俺は京都はよく分からないから、祥子さんに任せます」と、鷹揚に構えている。

 早朝の京都、夜が明けたばかりだというのに駅周辺には観光客が多くいる。深夜バスや朝一番の新幹線を利用して、一日を目いっぱい楽しもうとする観光客も多いのだ。
 真一郎と祥子も、バスでの移動は京都の渋滞に巻き込まれやすいことも考慮して、早朝からの観光を考えていた。
「日本1000年の都・京都へようこそ!」
 祥子が、真一郎にちょっとすまし顔で敬礼する。

 それぞれのパートナーをつれて、6名での観光になる。
 松本 可奈(まつもと・かな)は、朝からテンションが高い。
「やった〜、京都だぁ!」
 可奈の叫び声は、深夜バスで到着した観光客の目覚ましに役立っている。
 姜 維(きょう・い)はきょろきょろ周りを見回している。
 祥子のパートナーセリエ・パウエル(せりえ・ぱうえる)湖の騎士 ランスロット(みずうみのきし・らんすろっと)は事前にかなり学習してきたようで、迷うことなく、動いている。

「朝早くはスムーズに観光出来るの、ただ、お店が空いていないのが難点だけど」
 祥子の言葉通りだ。
 まだ店の開いていない土産物屋の通りは残念だが、まだ人の集まっていない八坂神社や三十三間堂では気兼ねなく観光を楽しむことが出来た。
 東福寺につくころには、人も増えている。

 さて、今回一行が一番楽しみにしてるのは、伏見稲荷だ。
 伏見稲荷駅につく。
「お姉さま、駅も神社のようですっ」
 セリエが興奮して、祥子に語りかける。
「大きな鳥居!あれが伏見稲荷であろうか!」
 姜維も興奮気味だ。

 駅からすぐの鳥居をくぐる。
 セリエが鳥居を指差す。
「あ、ランスロット卿、狐がいますよ。この伏見稲荷大社って狐が神様らしいですよ!」
 ランスロットの顔色がかわる。
「わー真っ赤ですよ!八坂神社よりも赤いですね。」
 セリエがちゃかす。

 真一郎は、既に両手いっぱいにお土産物を持っている。
 背中にしょってきたリュックもいっぱいだ。
 塗りの奉納鳥居がトンネル状に立ち並ぶ「千本鳥居」を潜り抜ける。
「可奈、踊るな!」
 鳥居を上りながら、はしゃぐ加奈。

 さて、土産物屋が連なる通りに出た。
 すでに多くの荷物を持つ真一郎だが、ほとんどが同行する女性陣のもので、
 自分のものはまだ買っていない。
 真一郎は、店に入ると、「根性」と書かれた伏見稲荷の置物を見つけ、大量にレジに持っていく。
「なにそれ?」
 セリエが頬をぷっーと膨らませて真一郎を見る。
「日本のお土産はこれがポピュラーだって傭兵時代の仲間が言ってました。ルカルカにも・・・」
 可奈の鉄拳が真一郎を打つ。
「真一郎の!アホーッ!」
「は?」
「何考えてんの?!女の子にそんな物プレゼントしてどうすんのよ!」
「・・・よく考えれば女性にコレは無いお土産だった・・・」
 結局、ルカルカには京紅とかんざしを買った。
「可奈は何を買う?」
「これ!」
 指差したのは、大きな狐の像。鳥居の像を模したものだ。
「うっ!」

「兄じゃ、どこに疎開ですか」
 真一郎の持ちきれないほどの大荷物を見て、
 姜維が呟く。

 ランスロットも多くのお土産を抱えている。
「大好きなレイディスに木刀買っていってあげよう」
 祥子は木刀を選んでいる。
「私もそれにしようか」
 ランスロットは祥子の手にある木の棒に興味シンシンだ。
 セリエは、
「お土産何がいいかな?狐のお人形かなにかにしようかな」
 といろいろ選んでいたが、可奈が先ほど選んだ、狐が気になって仕方が無い。
「ランスロット卿、私もあれを買ってよいですか」
「なぜ、私に聞くのです」
「だって・・・」
 大きな荷物を持った真一郎を見やるセリエ。