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快晴開催! ヴァジュアラ湾の感謝祭!!

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快晴開催! ヴァジュアラ湾の感謝祭!!

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「先程完成いたしました、この「ハーモニーホール」が魚人、人魚たちと人間との友愛が未来を支え、またこれからの関係の改革(チェンジ)が私たちのよりよい未来を創ってゆくものだと信じてやみません」
「そうそう、こけら落としの一曲目は『作詞作曲、五条 武で、細波に揺らぐマーメイド』です。あぁ、同時に赤嶺 霜月(あかみね・そうげつ)さん達の「別体共鳴歌唱法の体験会」もしちゃうので、よろしくっ、それじゃあ皆、どうぞ〜」
 武の演奏のもと、椿が静かに歌い始める。

『細波に揺らぐマーメイド』 作詞作曲、五条 武
響く潮騒のメロディ まだ見ぬ貴方を思い描く
打ち寄せる波、私の想い 貴方に届かない
引き返す波、二人の距離 貴方に近づかない

思い描くこの恋は 海のように広大で
羅針盤のない物語は どこへ向かえば良いの?

太陽の沈む西の夕暮れ 月の浮かぶ東の宵闇
闇夜の幕が全てを覆う 闇夜の幕が私を覆う
星空の示すこの針路 まだ見ぬ貴方が居るのなら
小さな光の示す先 何処へだって私は行こう

響く潮騒のメロディ まだ見ぬ貴方を思い描く
打ち寄せる波、私の想い 貴方に…
引き返す波、二人の距離 貴方に…。




「私は一人だったと教えてくれた。霜月の手を握ったら二人になれた。一人じゃない、二人だから、だから、離れては行かないで」
 アイリスも、椿と共に武の歌を歌った。練習した通りに歌えた、それ以上に、直前に芽生えた想いを歌声に乗せる事ができた、口先だけじゃない、心を伝えたと思えたのだった。


 椿と武の演奏が続く中、「別体共鳴歌唱法の体験会」は舞台上で行われていた。順になった今井 卓也(いまい・たくや)が申し訳なさそうに提案をしていた。
 自分は男であるが、ペアは魚人と組ませて欲しいというものだった。
「あ、いや、変な意味は無いんですよ、あのただ僕は自分の歌が響いて発せれらる感じを体感してみたくて」
 なぜか必死に弁明する卓也を、パートナーのフェリックス・ルーメイ(ふぇりっくす・るーめい)はからかっていたが、どうやら卓也の提案は通ったようだ。
 正し、一つだけの注意点があるようだった。同姓であるために、音量と伝える想いの量が増徴しやすいのだという。気持ちも声量も、どちらも通常よりも抑えて歌う必要があるというわけだ。
 気持ちを落ち着けて、精神統一。始まりの音に全てを込めて。
 会場のみんなへ届けたい。みんなの協力で事件は解決したんだ、祭りを開いてくれたこと、招待してくれたこと、共に楽しんだこと、笑み合ったこと。
 みんなに届け、始まりの音は『ありがとう』。
 卓也は今一度、気持ちを落ち着けて、精神統一をした。


 グラスを片手に、最前列でステージを見渡しているのは、閃崎 静麻(せんざき・しずま)と、パートナーのクリュティ・ハードロック(くりゅてぃ・はーどろっく)である。
「いやぁ、立派なもんだ、よく造ったぜ」
「これは、お祝い、というものをするべきかと」
「おぉ、クリュティ、良いこと言うねぇ、造ってくれた奴らに、お祝いしてやらないとな」
「お祝いっ、それならっ」
 そう言って飛び込んできた閃崎 魅音(せんざき・みおん)は缶詰を取り出すと、すぐに缶切りを走らせた。
「ちょっ、待て魅音、その缶詰は!!」
 缶詰を認識した静麻が止めに入ったが、間に合わなかった。
 その缶詰は静麻が隠していたものであり、魅音は大切な日に開けるものだと、そして祝いの言葉を聞いて、今だと判断したようであるが。
 蓋が開いた缶詰を受け取ったクリュティは、瞬間的に顔を背けて缶詰を投げてしまった。
 それを目で追う静麻は口が開いており、魅音}は喜びに口を開いていた。


 気持ちを落ち着けて、精神統一。始まりの音に全てを込めて。
 缶詰は飛んだ後に今井 卓也(いまい・たくや)の手元へ。皆へ想いを届けようと集中していた卓也}の手元へ。
 始まりの音に全てを込めて。缶詰の中身は『シュールストレミング』、強烈な臭いを放つニシンの缶詰である。その臭いは失神者を出す程に強烈であるが、始まりの音を発する直前に卓也はその臭いを飲み込んでしまった。
 全身は既に音を吐くのを始めていた。発声は、もう止まらない。
 感謝の気持ちは一瞬にして吐き気へと転化されてしまい、それでも発声は、もう、止まらなかった。
 会場のみんなへ届けたい。
 みんなに届け、始まりの音は『くっせー』
 「別体共鳴歌唱法」が会場内に「臭さ」と「吐き気」と「苛立ち」を伝えた。
 集中していただけに、また同性同士だっただけに余計に明確に強烈に伝わってしまった。
 誰もが飲み物へと縋り暴れた、飲み物を飲んだ所で軽減は少ない、故に更なる救いを求めて人々は苦しもがくのだった。
 叫び声、奇声に怒声。阿鼻叫喚の会場内を見たクリュティ・ハードロック(くりゅてぃ・はーどろっく)の、
「おぉ、これがお祭り、そして、お祝い、というやつなのだな」
という勘違い発言にも、静麻はツッコム事が出来ずに、ダウンしてしまったのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

古戝 正規

▼マスターコメント

 皆さま、お楽しみ頂けましたでしょうか。ゲームマスターの古戝正規です。
 全3回にわたってお贈りしましたヴァジュアラ湾における騒動も、
 今回無事、着陸致しました。皆さまのアクションに感謝致しております。
 
 次回以降、女王器を登場させた回のシナリオにつきましては、
 女王器についての情報をしっかりと明かしていく心構えであります。
 
 手持ちのシナリオ案の中から、女王器絡みのシナリオをどこで登場させるのか、
 予定は未定でございますが、またお会いできる時を楽しみにしております。
 祈りつつ、眠りつつ。