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リアクション
第4章 信じる信念
「カードキー探索後の合流箇所決めておこうと思ったけど、皆いっちまった後だったなー」
緋山 政敏(ひやま・まさとし)は頬をぽりぽりと掻き、さてどうしたもんかと呟く。
「病棟に来てるルフナたちも心配だしな・・・」
「怪我を負っているなら、どこかに隠れているかもしれませんよ」
Dエリア内のドアを開けたカチェア・ニムロッド(かちぇあ・にむろっど)が室内を覗き込みながら言う。
「そうかもな・・・」
「ここはどうでしょう?」
シートを踏むと体重センサーによってドアが開いた。
「向こうに何かありますよ」
カチェアが指差す方を見ると、各エリアを映しているモニターがあった。
「他の所は見れないんでしょうか。―・・・パスワードでロックされていて見れない所がありますね」
「こっちのボタンは何だろう」
緑色のボタンを政敏が押してみると、Cエリアの様子がモニターに映し出された。
「あれは・・・」
「彼らですね!」
「Cエリアへ急ごう!」
政敏たちはCエリアへ向かうために、エレベーターへ乗り込んだ。
「たしかこの辺りでしたよね・・・」
「いないな・・・別の場所に移動しちまったか?」
Cエリアにたどり着いた彼らは、ハンドライトで廊下を照らしながら探し歩く。
「あっ、政敏!いましたよ!!」
「やれやれしょうがないな・・・追いかけるか」
天井の通気口に入っていく2人を見つけ、彼らの後を追うために政敏が先に中へ入ると、カチェアの手を掴み引っ張り上げてやる。
「1本道だし・・・まだそう遠くには行っていないはずだよな」
「えぇ、ファンの隙間も通っていかなければいけませんし」
頭をぶつけないように、錆つき変色したファンの間を通り抜けていく。
金属の錆びたいやな匂いが鼻を刺激し、カチェアは思わず顔を顰めた。
「おいっ、何でこんな危ないところにいるんだよ」
ようやく追いついた政敏がルフナの袖を掴む。
「あんさんたちやないの。どないしはったん」
「それはこっちのセリフだ。なんてまた危険な場所に来たんだ」
「ちょいとジューレはんに面白いもん見せようと思うたんどす」
「―・・・面白いって・・・それはどんなのですか?」
カチュアが眉を潜めて聞く。
「手がぎょーさんある、めっちゃでっかい昆虫やね」
「へぇ・・・昆虫ねぇ・・・」
のんびりとした口調でいう彼に、政敏はため息をついた。
「そろそろかしらね?」
リーン・リリィーシア(りーん・りりぃーしあ)がファンを止めるスイッチを押す。
天井の蓋を開けると通気口を通ってきた政敏たちが床へ降りる。
「遅かったじゃない!」
「そう怒るなって・・・。ちゃんと見つけたんだから」
「せやでお嬢はん、せっかくのべっぴんが台無しどすぇ」
「それもそうねー」
冗談混じりに言うルフナの言葉に、1時間以上も待たされた苛々気分がどこかへ吹き飛んだ。
「そいや、その昆虫だっけか。どこに行けば見れるんだ?」
「Fエリアの先にある場所やね」
「―・・・なるほどな。心配だし俺たちも一緒に行くか」
政敏たち3人はルフナが言うその巨大な昆虫がいるところへ同行することにした。
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