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【十二の星の華】剣の花嫁・抹殺計画!(第2回/全3回)

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【十二の星の華】剣の花嫁・抹殺計画!(第2回/全3回)

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「話がしたいだけだ。攻撃を加える意図があるなら、こんな少人数で来たりはしないだろう?」
 「毒苺のなる巨樹」の根元付近にて、イーオン・アルカヌム(いーおん・あるかぬむ)五条 武(ごじょう・たける)と機晶姫のイビー・ニューロ(いびー・にゅーろ)にパッフェルへの面会を断られていた。
「君と同じような連中が次から次へとやって来るんでな、いちいち付き合ってられないんだ」
「同じような連中?」
 イビーが指差した先にチーム「交渉人」の姿があった。メンバーのエル・ウィンド(える・うぃんど)が、イーオンに同行して到着した四方天 唯乃(しほうてん・ゆいの)と視線を交えたが、互いに直ぐに視線を外した。
「イオ、今のところ毒は散布されてはいないみたいです」
 ヴァルキリーのアルゲオ・メルム(あるげお・めるむ)がイーオンの背から耳打ちをした。ドラゴニュートのフェリークス・モルス(ふぇりーくす・もるす)は瞳を見開き顔を上げると、「毒苺のなる巨樹」の上部を指差した。
「あそこ。音がする」
「パッフェルは、高みの見物を決めているいう事か?」
「その音は…… 私じゃない」
 イーオンが振り向いた時、アルゲオの頭にランチャーを突き付けたパッフェルが立っていた。
「毒…… 散布して欲しいの?」
「っっつ」
 フェリークスが鬼眼を放とうとしている事に気付いて、イーオンがそれを止めた。
「狙撃手と聞いているが、随分と派手に動くのだな」
「…… 護るから、みんなが私を」
 パッフェルが小さく笑んだ。気付けば無数の視線に囲まれ刺されているのをイーオンは感じて、両手をあげた。
「葵はっ、十三星華なんだよっ!!」
 唯乃よりも後方から胸を張って出てきた如月 玲奈(きさらぎ・れいな)は、剣の花嫁である如月 葵(きさらぎ・あおい)の手を引いて、パッフェルの前に立たせた。葵は左目に眼帯を着けていた。
「………… 十三星華?」
「そうだよっ、誰にも知られていない13番目の星座へびつかい座の「アオイ・ケバルライ」とは彼女の事だったのですっ!」
「…………」
「ですっ!!」
「………… 知らない」
 言うと同時に無表情のまま、葵にランチャーが向けられて、赤い光が葵を撃ち抜いた。
 葵は全身を水晶化させられてしまった。
「冗談は嫌いなの」
「お姉ちゃん!!」
「アイ!!」
 パッフェルは、玲奈と共に葵に駆け寄るレーヴェ・アストレイ(れーう゛ぇ・あすとれい)に一瞬視線を取られたのだが、直ぐに瞳を戻した。その刹那!!
 木陰からウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)の一行が飛び出してきた。


 ファティ・クラーヴィス(ふぁてぃ・くらーう゛ぃす)がパッフェルを狙ってバニッシュを放った。一帯に眩い光りが広がってゆく。
 ウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)はパッフェルの上空へ飛び出したが、気配を感じて振り向いた。
「なっ」
 高周波ブレードによる斬撃がウィングに迫っていた。ウィングは咄嗟に妖刀村雨丸でこれを防いだが、着地と共にミネルバ・ヴァーリイ(みねるば・う゛ぁーりい)が追撃の一閃を仕掛けてきた。
「くっ、邪魔をするな」
「うくくくくっあはははははっ」
 ミネルバは顔から笑みを溢れさせながら高周波ブレードで斬りつけてゆく。
 光りの中に飛び込んだ小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)諸葛弩をパッフェルに向けた。
「あなたの星剣、見せてもらうんだからっ!」
 連続で放たれた10本の矢がパッフェルを襲ったが、ソニア・アディール(そにあ・あでぃーる)爆炎波にて5本の矢を、そして間髪入れずに放ったソニックブレードの疾撃が残りの矢を斬り落とした。
 美羽と同時に、パートナーのベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)氷術をパッフェルの腕にめがけて放ったが、その直後にグレン・アディール(ぐれん・あでぃーる)クロスファイアによって迎撃されてしまった。
 美羽が着地した時、パッフェルがベアトリーチェにランチャーを向けているのが見えた。構えたまま、パッフェルは美羽へと顔を向けた。
「星剣が見たかったんでしょう?」
 そう言うとランチャーの銃口から赤い光が放たれ、ベアトリーチェの全身を水晶化させてしまった。
「初めから見せてたのに」
「ベアっ!」
 美羽の叫び声を聞いたウィングは、視線だけを向けて状況を把握した。
「ファティ!」
 ミネルバから距離を取ったウィングにファティがパワーブレスを唱え終えると、ウィングはヒロイックアサルトを発動した。パッフェルを含む一行を全て囲んだ範囲に、無数のナイフが宙に現れた。
 ナイフは一人一人の喉を囲み、更に全身をナイフの輪が取り囲んでいた。
 ウィングはゆっくりとパッフェルの元へと歩み寄る。無論にパッフェルの喉元にもナイフが突き付けられているのだが、歩み寄るウィングに向かってパッフェルは笑みを見せた。
「終わり?」
「えぇ、私の合図でキミは終わりだ。人質はどこに居る。水晶化の解除法は何だ!」
「………… 甘い」
 パッフェルはランチャーの銃口を鼻の先に添えると、直径3メートル近い波動を放った。
 波動はパッフェルを囲むナイフの半分を吹き飛ばしたが、まだ半分、ナイフは存在している。
 ウィングは残りのナイフに「パッフェルを刺せ」と命令を出したが、ヴェルチェ・クライウォルフ(う゛ぇるちぇ・くらいうぉるふ)光条兵器である全長3メートルの鎖が、残りのナイフを全て叩き落としてしまった。
「やっぱりその銃、ステキね♪」
 ヴェルチェがパッフェルの視線を感じた時、ウィングと美羽はトライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)五条 武(ごじょう・たける)に取り押さえられていた。
 ウィングのヒロイックアサルトは解除された事もあり、辺り一帯はすっかり静けさを取り戻していた。
 そんな中、パッフェルが巨樹に背を向けたまま、ゆっくりと森へと歩み始めた。
「どこへ行かれるのです?」
 ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)の問いにパッフェルは「…… 気晴らし」と呟いただけだったが、影野 陽太(かげの・ようた)神代 明日香(かみしろ・あすか)が彼女の前に立ち、両手を広げた。
「待って下さい。どこへ行くつもりなのか、それを教えて下さい」
「教えてくれないと、あなたを守りづらくなるですぅ」
「…… すぐに夜明け。…… 人質の交換は、1人いれば良い」
 一行はパッフェルの言葉に首を傾げたが、マッシュ・ザ・ペトリファイアー(まっしゅ・ざぺとりふぁいあー)が逸早く、次にシャノン・マレフィキウム(しゃのん・まれふぃきうむ)トライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)が「なるほど」と声をあげた。
 五条 武(ごじょう・たける)が問いたが、シャノンは人質であるアリシア・ルードを連れてきて、パッフェルの前に膝まづかせた。
「ここからの話は、人質交換時の策についても触れる。話を聞かれるのは避けるべきだ。それに」
「全身を水晶化した方が、奴等の動きを制限できる、ということですね!」
 マッシュの指摘に、シャノンは視線だけで応えた。パッフェルは少し考えたようだが、アリシアの前に立つと、ランチャーを向けた。それでもすぐには撃たずに、アリシアの顔を見下ろし、見つめた。
「…… これから…… 完全水晶化されるのよ」
「えぇ、そのようですね」
「………… なぜ…… 怖がらない」
 アリシアは表情を変えることなく、頬一つ動かす事なく、じっとパッフェルを見つめていた。その視線は僅かにも動く事はなかったが、最後に、ゆっくりと視線を落として両手を組んだ。
「全身が水晶化しても、ノーム様が元に戻してくださると信じていますから」
「………………っ」
 赤い光がアリシアを撃ち抜いた。アリシアの全身は完全に水晶化してしまった。
 パッフェルがアリシアに背を向けると、
「さぁ、策を練ろう」とシャノンが口火を切り。
「それなら俺にも案があるよ」とマッシュが熊のぬいぐるみストラップが付いた携帯電話を見せれば。
「なるほど、コイツは使えるぜ」とトライブが四方天 唯乃(しほうてん・ゆいの)たちへと視線を向けた。
 迫る夜明けを前に、パッフェル一行は一斉に動き始める準備を始めた。