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【海を支配する水竜王】孤島からの救出手段を確保せよ

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第8章 迫りくるゴースト・・・鍵確保なるか

 台を移動し終えた頃合を見計らってアシャンテがポンプの操作して水路に水を流した。
「鍵はどこかな?」
 北都は通れるようになった通路を歩き銀の鍵を探す。
「ドアが沢山あるな」
 注意深く昶がそっと覗き込む。
「何・・・また何かくるわ・・・」
 獲物を探す奇妙な足跡が響き、美羽が警戒する。
 ペタンペタンッ・・・ペタ・・・・・・。
「み・・・・・・美羽さん」
 ベアトリーチェの指差す方を見上げると、天井を這うゴーストが美羽の真上にいた。
「キケケッ、クヒャァアアッー!」
 奇声を上げたキラーパペットは美羽の首を掴もうとする。
 床に伏せて転び、亡者の手から逃れた。
「狙いづらいわねっ」
 しつこく追い回す相手を少女が星輝銃で撃ち落とそうとする。
「動きが早すぎてなかなかあたりません!」
 凍結させて動きを止めようとベアトリーチェは氷術を放つが、簡単に避けられてしまう。
「どうやらそいつはおまえを殺そうとしているようだな」
 昶は軽身功の体術で壁を駆け上がり、ゴーストを床へ蹴り落とす。
 落ちたゴーストの頭部を玲が踏みつけ、薙刀で四肢を断裂させる。
「誰かの強い恨みを感じますな。心当たりは?」
 動けなくなった亡者を見下ろし、美羽へ視線を移す。
「あいつが・・・姚天君が私を狙っているの?」
「その相手は一体・・・」
「人々の身体を利用して、こんな生物兵器を作った最悪なやつよ」
「蒼空学園の傍にあるトンネルの向こうに、ゴーストタウンていうところがあるんです」
 ベアトリーチェは美羽の言葉に続けるように言う。
「死んだ人や余命の近い人たちの身体を沢山利用したあげく、ある人まで手にかけたんです・・・」
 助けられなかった思いから苦しそうな表情をする。
「治療すれば絶対に治るとかいう嘘の情報にひっかかってきからかとか、死んだ相手ならどうしようと自由・・・とかいって殺される筋合いはないとか言うでしょうね」
「葬る理由にはまではいたらなかったのですな?」
「えぇ・・・。でも今回で倒す理由が出来ました。私たちはそいつを絶対に許さない・・・」
 ゴーストを怖がるいつものベアトリーチェとは違い、彼女の瞳は怒りで満ちた。



「(あわわっ・・・いつか俺もゴーストを直接ぶつけられそうです・・・)」
 ベアトリーチェたちの会話が鍵を探していた陽太の耳に入りガタガタと震える。
「しっかりなさい!ゴーストの1匹や2匹に狙われたところで死にはしませんわ」
 気合を入れようとエリシアは怯える彼の背をバシッと叩く。
「何もない部屋だな」
 昶は物置にしかならないような空っぽの部屋に入り、鍵がないか探す。
「ねぇ、ここに不自然なくぼみがない?」
「どれどれ」
 北都に言われた箇所を調べてみる。
「手で開きそうだな」
 くぼみの隙間に爪をひっかけて除けた。
「あったぞー鍵!探すのに手間取ったな」
 道を作ってから50分ほど探し、昶がようやく見つけた。
「見つけたんですね。じゃあそろそろ、ここから・・・」
「まさか戻るとかいいませんわよね?」
「へ?」
 にっこり笑うエリシアの姿に陽太は嫌な予感がした。
「そうだよな、潜入があれだけ大変だったんだから。中にいたほうがいいかもな」
「え・・・えぇ!?」
 横からぼそっと言う梓に、陽太が驚愕の声を上げた。
「そんな不安そうな顔をするなよ。見張りなんて交代でやればいいじゃないか」
 梓は陽気に彼の肩を叩く。
「(この中で泊まるんですか・・・ゴーストたちとお泊り・・・)」
 恐怖のあまり陽太は身体を凍てつかせた。