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少年探偵の失敗

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少年探偵の失敗

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56. 三日目 レンドルシャム島 午後七時三十七分

V:ケイラ・ジェシータだよ。自分は、この三日間、王太郎さんの側にいたんだ。
 彼には失礼かもしれないけど、小さい子が心配だからね。家族がこんなことになって不安だろうし、気持ち的に彼を助けてあげられればな、って。
 こうして三日経って、彼とはそれなりに仲良くなれたと思うんだ。だから、聞いてみる。

「王太郎さん。言いにくいかもしれないけど、教えて欲しいんだ。さっき、船で維新ちゃんが言ってたけど、きみは嘘の証言をしてヴァーナーちゃんを犯人にしようとしたの?」
 森の中、ケイラと王太郎は手をつないで歩いていた。
 行き先は、王太郎にお任せだ。
「あんなんでも、オレの姉さんやからな。ヴァーナーちゃんがなんもしてへんのは、調べりゃ、そのうち、わかるやろ。バレる前に、姉さん、あいつとこの家から逃げりゃいいと思ったんじゃ」
「維新ちゃんのために、嘘をついたんだね」
「悪いのは姉さんやない。歩不のボケじゃ。姉さんは、おぼこやから、あの異常者に惑わされとんじゃ。勝手に気ぃまわして、あいつのためにムチャしやがって」
「王太郎くんは、本当は、お姉ちゃんが大好きなんだね」
 黙って王太郎は、足をとめた。
「あんなドアホウ、かけらも好きやない! オレらが、この家に生まれついたのは、数学的必然や。この世に、因果も偶然もないんは、もう証明されとる。せやけど・・・」
 ケイラは、顔の高さを合わせ、王太郎の頭をなでようとし、王太郎にその手を払われた。
 王太郎は、ケイラに抱きつき、胸に顔をうずめる。
「みのるおじさんの墓に行くんや。きっとUFOくるでぇ」
 ケイラは、自分の胸元が濡れているのを感じ、王太郎の頭を優しく抱えた。
「お姉さんじゃなくて、ごめんね」
「兄さんでも、歓迎や」