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【空京百貨店】屋外イベント会場・植物フロア

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第7章:イベント会場・夕


「これが着ぐるみでござるよ」
「ぬ、濡れてんだけど……」
「文句言うなでござる、からくり時計の弁償代金分しっかり働くでござる〜!!」
 薫からカピバラ怪人とアルパカ怪人の気ぐるみを受け取った仏滅 サンダー明彦(ぶつめつ・さんだーあきひこ)平 清景(たいらの・きよかげ)。陰干ししかできないため前の人の汗がかわいていないらしい……。
「ほげー! 酸っぱ! 酸っぱー!! ゲロの匂いが〜!」
「きょ、今日は風船配りが仕事でござるよ……聞いているでござるか?」
「わかった、わかった。ヒーローと戦えばいいんだろ?」
 どうしよう、全然通じないでござるー。
 困った薫はサンダー明彦のかわりに外見の割に紳士的な清景に仕事内容を説明し、イベント会場の警備に向かったようだ。コントを見にきた子供たち……あれっ? ヴァーナーとミミみたいにほのぼのしてないよ? どうして俺達ヴォコヴォコに蹴られちゃってるの? なにこれ超意味わかんないんですケド……。
「おい小僧……。バイトで悪ぃのか!」
 どうせ中はバイトなんだぜ! の一言に切れたサンダー明彦はゆらぁりと被り物を脱ぐ……。悪魔を封印していた器が解放されし時、イベント会場は生贄を血祭りに上げるための祭壇と化した。
 どんっ。
 後ずさりする子供を受け止めたアルパカ怪人扮する清景は困ったような声を出しながら、さりげなく子供をかばってやっている。
「あ、明彦殿、子供を脅かすのは大人げ無いでござる」
 悪魔メイクに山羊の獣化で『悪役』ではなく『召喚獣』に限りなく近くなったサンダー明彦。血走った金の横長の眼と、頭皮を突き破った悪魔の角がチャームポイントである。
「ほら、大丈夫でござるよー」
 そういってアルパカ怪人の中から姿を現したのは緑色に目のよどんでいる、半ば白骨化したゾンビの顔……。こうして百貨店の怪談に、『悪魔の棲む着ぐるみ』の話が追加されたそうだ。


 閃崎 静麻(せんざき・しずま)は出演者の要望にこたえて、あんな仕掛けやこんな仕掛けを手際よく組み立てている。今回の彼の仕事は裏方でトラップや土木建築を応用してからくりを作ることのようだ。如月 正悟(きさらぎ・しょうご)をちょいちょいっと手招きすると、耳に手を当て何かを報告し、お互いにやりと笑ってがっちり握手をしている。そのあと銀色の小さなもの……カギだろうか……を渡すと何事もなかったかのように各自の持ち場に戻って行った。
「静麻お兄ちゃん、どうしたのー?」
「ん? 仕事の話だ。ところで、今日やることは覚えているな?」
「えっとね、ホースもお水も大丈夫だよ! コントで使う音はお姉ちゃんに聞いてくるね」
「よしよし」
 閃崎 魅音(せんざき・みおん)は静麻に頭をなでられると、わーい♪ と喜んでやる気を出している。そのままサレン・シルフィーユ(されん・しるふぃーゆ)ヨーフィア・イーリッシュ(よーふぃあ・いーりっし)のもとに走っていき、自分が担当する効果音の説明を聞きにきた。
「頑張って舞台を成功させるッスよー! ピンマイクも今のうちに役者に配っておくッス。魅音ちゃん、お願いできるッスか?」
「うん! 大丈夫だよ、渡してくるねっ」
「私はサッちゃんからのサインに応じて音を流せばいいのね? あとはナレーションも……」
 ヨーフィアはサレンと今日つかう効果音や音楽の確認をして、少し時間が余ったのもありサインの出し方などを練習している。その時放送室のドアをノックする音が……誰だろう?
「賄い持ってきたよ。俺、途中で抜けるかもしれないからみんなで食べて。ここに置いておくよ」
「わあ……なんッスか、これは」
「でろーん丼」
 正悟が弥涼 総司(いすず・そうじ)とともに差し入れを持ってきてくれたようだ。正悟の持ってきたものは氷雨が持ってきたそれと近い内容らしく、外見は牛丼の入っていそうな容器なのだが透明なプラスチック越しに見えるものは食べていいのか怪しい代物だった。赤黒い液体はまるで人体に流れる……。いや、それとも賞味期限の切れたイタリア産の……。
「上手いとか食えないとか聞いたことあった気はするけど、一応食材だろうし、まあ、丼自体がが襲ってくるだけらしいから大丈夫だろう」
 正悟の説明を聞いて、総司はどんぶりの中身をのぞくのをやめた。ヨーフィアの体をガン見しながらサレンにコント出演の依頼をしている。
「のぞき部部長であるオレの特技は、女性のスリーサイズを当てること……。そんなオレの直感でコントにお色気を加えることにした!!!」
「え、ええ!? 無理ッスよ、今からなんてー!!」
 その後しばらく、放送室からはドッタンパッタンギッコンバッタン、色気が足りねえ! もう1枚いってみようか! 小指をくわえろ! などなど、カリスマ部長の秘密特訓が行われていた……。


「ソフトクリームを買っていこうよ、ねーさま。このソフト1度食べてみたかったんだもん」
「ソフトクリームも良いのですが、今日はとてもよい陽気ですしすぐに溶けてしまいますわよ。わたくしはカップにした方が良いと思うのですが……」
 夕方の会場では佑也や陽たちがコントの開始を楽しみに待っていた。久世 沙幸(くぜ・さゆき)藍玉 美海(あいだま・みうみ)を誘って、美味しいと評判のソフトクリームを購入している。やんわりとアドバイスをする美海だが、沙幸はぷるぷると首を振ってそんなんじゃだめだよーっ。と可愛く抗議している。
「ソフトクリームといえばやっぱりコーンだよ、ねーさま。カップなんて雰囲気でないんだもん。大丈夫、すぐ食べちゃえば溶けないもん♪」
「まぁ、そんなに言うのでしたら止めませんわ。あっ、わたくしのはカップでお願いしますね」
「あっ、並んでいるうちに会場の時間になっちゃったかな? 急ごう、ねーさま!」


 大道具の重攻機 リュウライザー(じゅうこうき・りゅうらいざー)は土木建築とトラッパーを応用して、学校の教室と……なぜか隣に更衣室を作成していた。作成後はビラ配りなど細々とみんなのために働いている姿が確認されている。というか、2メートル以上あるので、近寄ってきた子供たちと写真を撮ったり宣伝以外でも忙しいようだ。
「それでは、ただいまより屋外イベント会場にてコントライブを開催いたします。皆様ぜひお集まり下さい〜♪」
 ヨーフィアのナレーションが始まると同時に静麻が照明をつけ、薄暗かった舞台にケンリューガーのマスクを付けて、スーツにネクタイ姿の牙竜がチョークで黒板に何やら書きつけている。どうやら彼は教師役のようだ。リュルアイザーが配っていたビラによると『独身で最近結婚が噂されており、水虫があるらしく痒いらしい』とのことだが……。なんだ、この設定は……。
「せんせーひんにゅうってなんですかー?」
 はーい! と元気良く手をあげて質問する学ラン姿の総司こと田中五郎。ケンリューガーに対し、ニコニコと質問を続けていく。ものすごい棒読みだ。
「されんちゃんみたいなおっぱいのことですかー?」
「サレンちゃんはひんにゅうではありませーん」
「せんせいはひんにゅうときょにゅうどっちがすきですかー?」
「先生は〜……っておーい!! 朝の挨拶始めるから、みんな起立〜っ!!」
 ケンリューガーは客席に向かって、立って立ってとジェスチャーを始める。
「ファイファー!!」
「「ファイファー」」
「声が小さいぞ、ファイファー!!!」
「「「ファイファー!!!」」」
 挨拶が大きくなったところで着席させ、舞台役者の名前を呼んで出欠確認を始めた。

「サレン・シルフィーユ」
「はーい♪」
橘 恭司(たちばな・きょうじ)
「はい……」
「田中 次郎」
「ええっ!?」

 基本的にコントに馴染みの薄い恭司は『お前はツッコミ!』と雑な指導を受けていたため、おそらくここで何らかのアクションをとるのだろうと考えた。しかし、ツッコミとは……何をすればいいのか。あたりを見回すと防災用のヘルメットが置いてあったので、それを無言でつかむと五郎と次郎を間違えたケンリューガーのもとにツカツカと歩いていき、ボカリとツバの部分で殴ってみる。
「い、イタイ……この部分で殴ると痛いから!」
「……そ、そうか」
 恭司は自分の頭をヘルメットの同じ部分で殴ってみる。ボカリ。
 ……確かに痛い、難しいな。
 悪かったというのもこの場ではアレのため、ケンリューガーの頭をなでた後席に戻って行った。
「みんな面白いことやってるねー。って、コントに夢中になってソフトクリーム食べるの忘れてたよ!」
「だからすぐ溶けてしまいますよと忠告いたしましたのに。服にこぼれてべとべとになってしまっていますわよ?」
 コーンで食べていた沙幸のソフトクリームは半分溶けてしまって、彼女の服には滴り落ちるバニラのしみができていた。美海はだから言ったのに……と、あせって洋服を拭いている沙幸を見ている。
「……でも、これはある意味チャンスかもしれませんわね。幸いにもここは百貨店、衣服のフロアだってもちろんあるはずですわ!」
「え? 今から買いに行くの? まぁまぁ、ねーさま。お洋服は逃げないんだもん。とりあえずはみんなの舞台が終わってからにしようよ」
 自分のアイデアの素晴らしさをすぐに実行に移したくて、美海は色っぽく微笑みながら沙幸の手を引いて洋服探しを始めたがった。しかし、いさめられてしまったためしょうがなく彼女に似合いそうな服を妄想することにする。それはそれで、なかなか楽しい。
「それに私、自分で着替えられるから、そんなに腕を引っ張らないでー……」
「終わったら沙幸さん替えの服を買いにいきますわよ。わたくしが選んで着せ替えて差し上げますわ♪」


「田中せんせー、遅れましたー」
 ガラっと教室のドアが開くと、そこにはパワードスーツ一式に顔だけヒーローお面を装備している、コンビニに来店したら間違いなくアウトになりそうな不審者ルックの男がいた。彼の名は神代 正義(かみしろ・まさよし)、『めいどいんじゃぱん』と書かれたパワードスーツを着こなす愛国心あふれる男だ。
「いやぁ似合う服探してたら、こんな時間になっちゃいましたよー☆ HAHAHA!」

 だれだ、こいつ……。
 え、何。ほんとダレ?

 彼のコンセプトをいまいち理解できなかった観客の意向は全て無視して、何事もなく着席している。
「遅刻すんなー! 次は体育だからな、男女交代で着替えるように」
 ケンリューガーが生徒たちにそう伝えると、全員教室の外に出て行った。男子が着換えた後に女子が着換えるのだが、サレンが教室の隣にある更衣室に入ってくると、総司こと田中五郎がこっそり用意したのぞき穴から彼女の着替えをのぞき見ようとしているではないか!

 ちょっとだけー♪ ちょっとだけー♪

 サレンの見えそうで見えないチラリズムショーは総司の指導のもと非常に男心をくすぐる仕上がりになっていた。が、総司の後ろにケンリューガーこと田中太郎が竹刀をもって教え子に教育的指導をしようと迫ってきている。
「「田中! 後ろ! 後ろー!」」
 お約束のため佑也とテディが大きな声で舞台に向かって叫ぶが、教師も生徒も田中のため2人が振り向くと生徒の方が隙を見て逃げ出してしまった! 舞台袖の右へ左へと逃げ回る2人。なぜかたまにケンリューガーだと思ったら正義だったり、2人で右袖から登場したり……すったもんだの逃走劇の末、舞台の両袖からそれぞれ後ろ向きでそろそろと歩いていき、背中合わせに距離が縮まっていった。
「「田中! 後ろ! 後ろー!」」
 2回目のコールでお互い振り向くと、ケンリューガーは今がその時っと竹刀を総司の頭に向かって振り下ろす。


 ブン! パン! ポカッ!


 対する総司は白刃取りで迎え撃つものの惜しくも失敗! パタリと倒れてどこかに連れて行かれてしまった。さあ、これでコント終了……。
「この会場は、え〜っと『有限会社ダイアーク』が支配した! さぁ、リアルヒーローショー開始だぜぇぇぇ! …って、ちょ、何でヒーロー達がお笑いやってんだ!!」
 終了しなかったっ。
 ガラスをひっかくようなエレキサウンドを鳴り響かせて、修理を終えた百円パンダにまたがる1人分の影。カピバラ怪人のサンダー明彦が華麗に乱入!! 立ち向かうのは、皆ご存じシャンバラン!!
「現れたなダイアークの手先め! このパラミタ刑事シャンバランがお前らを叩きのめしてくれるっ!」
 あれっ、こんなの予定されていたかしら? 不思議に思いつつもヨーフィアはヒーローショーにあいそうな熱血BGMをかけ、焦ったリュウライザーもシャンバラン登場に合わせてポチっとスイッチを押した。
「ちょー!! 何やってグヴォアッ!!」
 止めに入ろうとしたケンリューガーはスイッチを押して跳ね返った机で顔面強打し、騒ぎに乗じて静麻もブービートラップを応用して作った開閉式の落とし穴でケンリューガーを捕まえてしまう。穴に落ちたケンリューガーは全自動でぐるぐる巻きにされたかと思うと、今度は釣りあげられてミノムシのようにぷらぷら〜っと振り子のように揺れている。
「がはははは! お前らの先生はダイアークが捕まえた!!」
 サンダー明彦がでっかいハサミでケンリューガーのロープを切ると、彼は頑丈なダンボールの中に落ちていく。そのまま梱包されてアルパカ怪人の清景によって裏に持っていかれてしまった。
「あっ。間違えました、こっちです」
 シャンバランがパワードレーザーを最大出力で乱射しているのに合わせて、リュウライザーがぽちっと再度ボタンを押した。すると壁や天井からおびただしい量の水が発生し、それを見た魅音も舞台に向かって雨や氷を振らせていく。
「「な、なんだなんだ!?」」


 ててれ、ててれて、ててれて、てってれて〜♪


 放送室では爆笑しながらサレンがBGMと効果音を流していた。最後には屋根にはりぼてだがよくできた大きな戦車が登場し、ドカーン! と一発何かを打ち上げる。すると、空から魅音が氷術で作った巨大なぺんぎんが降って来て、サンダー明彦とシャンバランは紙のようにペランペランに潰れてしまった。
「風呂のぞいたかー、歯ぁみがけよー」
 とことことビニール傘をさした総司が登場し、客席に向かって手を振った。ちゃっかりアルメリアから花束を受け取り、美味しいところをかっさらっている。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 

 恭司は暴れる段ボールに向かってしびれ粉を使い、正悟に向って重々しく頷いて見せる。
「小型飛空艇でヴァイシャリーまでひとっ走りだ!」
 静麻に借りたカギを使ってエンジンをかけると、ヘルメットをつけて元気にサムズアップ。彼らの裏のミッションは日頃のストレス発散に使ってもらう目的で、百合園に向ってケンリューガーを配達することだった。正悟が空から下界を見下ろすと、ちょうど薫に怒られているサンダー明彦とシャンバランが汗水たらして後片付けをしているのが見えた。
 おや? 薫が彼らを起こるのをやめて遠くの何かを見つめている。正悟もそちらの方向に視線を向けると、そこには奇麗なマジックアワーが見えた。夕陽が空を赤から紫の美しいグラデーションに染め上げる時間。キラキラと金色に光を反射するビルの窓ガラス。屋上から見えるそれらは、1日に数十分だけ訪れる最高に贅沢な景色だった。



おしまい

担当マスターより

▼担当マスター

相馬 円

▼マスターコメント

ご参加ありがとうござます、相馬円です。
いやあ、イベント会場人気すごいですね。にやっ。
次回はデパ地下が舞台で、個人的に6月は和風を応援していきます。
今回もいくつかご質問いただきましたのでこの場でお答えいたします。

1:このデパートには宅配サービスはあるのか?
通常の百貨店と同程度のサービスであれば描写いたします。
支払いはカード、お客様のお呼び出し、プレゼント用のラッピングなど)
宅配可能地域はご自宅・所属学校などであれば問題ありません。
ただ、配送したという描写のみでアイテム配布はありません。
シナリオガイドに登場していない、またはシナリオに参加していないキャラクター(PC・NPC問わず)の場合は
描写をぼかしたりギャグとして扱います。

2:アルバイト先が決定した場合の特典
【空京百貨店】シナリオにおいて担当フロア・パートに関連するアクションを書きやすくなります。
例えば『呉服フロア』でバイトした場合は『着付けをバイト先で習った』などのように、筋が通っていれば説得力のあるアクションを書けます。
また、『呉服フロアから衣装として浴衣を借りてきた』のように現実的に実現可能である範囲でアイテムを準備することも可能です。


☆アルバイトについて
今回フロア、または担当パートがリアクションで書かれた人は
これ以降百貨店シナリオではその配属先でバイトをしている扱いになります。
他のフロアでバイトできなくなる代わり、リアクションで書かれたフロアをほかの参加者はバイト担当できなくなります。
AのフロアでバイトをしたひとがBのフロアに一般客として来場することは可能です。


◆次回予告
6月9日(水)
【2020授業風景】笹塚並木と算術教室

6月30日(水)
【空京百貨店】呉服・食品フロア