シャンバラ教導団へ

百合園女学院

校長室

薔薇の学舎へ

【ろくりんピック】駆け抜けろ、2人3脚トライアスロン!

リアクション公開中!

【ろくりんピック】駆け抜けろ、2人3脚トライアスロン!
【ろくりんピック】駆け抜けろ、2人3脚トライアスロン! 【ろくりんピック】駆け抜けろ、2人3脚トライアスロン! 【ろくりんピック】駆け抜けろ、2人3脚トライアスロン!

リアクション

「ユニフォーム汚れてないよね、メガホンも持った。
 よし、準備オッケー!
 さあ、がんばって応援するよー!」
(選手には正々堂々、力の限りがんばって欲しいですな)

 休憩を終え、草むらから立ち上がった天心 芹菜(てんしん・せりな)
 ルビー・ジュエル(るびー・じゅえる)も、頭のはちまきを巻き直しました。
 芹菜とルビーは、最後尾の組について応援合戦をしています。

「フレー、フレー、東シャンバラ!
 ファイト、ファイト、ひ・が・しー!!」

 沿道の、それも応援のできるぎりぎりのラインまで身を乗り出し、芹菜は叫びました。
 手と『メガホン』を、仲間の応援のリズムに合わせて打ち付けます。
 と、眼前で爆発音が。。。

「ちょっとー!!
 誰よそんなところに罠しかけたの!
 ひどいじゃない!
 負けちゃ駄目だからねーっ!!」
「罠は公式に設定されたルールだ、ずるいなどとは言えないな」

 そう、この一帯には選手を攪乱するための地雷原が埋め込まれていたのです。
 轟音と煙が、選手はもちろん、応援者にもよろしくない影響を与えます。
 芹菜の訴えは、しかしルビーによってあっさりと却下されてしまいました。

「よぉ縲怩オ、こうなったら自分が出てるつもりでがんばるぞー!
 東!
 東!
 ゴーゴー東ー!
 東!
 東!
 がんばれ東ー!」
(うん、みんな同じユニフォームなせいか、あたしも選手と一体になった気がする!)

 障害の設置にいらだちを覚えつつも発散することができず、芹菜はますます応援に力をこめます。
 ですがここでは、芹菜と選手達とのあいだに連帯感も生まれたり。

(……自分は、芹菜が応援に夢中になりすぎてコースに落ちたりしないかということの方が心配ですが)

 危険な障害よりも、誰よりも芹菜のことが気になるルビー。
 本日の任務は、応援団後方にてゆっくりと、東シャンバラチームのマークが入った大きな旗を振り続けること。
 もちろん、幾人かでの交代制です。
 旗を振っている最中も周囲に気を配り、逐一、芹菜の無事を確認していました。


「朔選手、がんばって!
 ゴールはもうすぐだよ!
「垂選手、がんばってくださーい!」

 神和 綺人(かんなぎ・あやと)クリス・ローゼン(くりす・ろーぜん)が、沿道から声援を贈ります。
 朝早くから、ゴールまで残り1キロ地点に陣取っていたため、デッドヒートを最前列で見届けられるのです。

「……過酷な競技だな、トライアスロンはただでさえ過酷だというのに」
「……意外と面白いですね、路上応援というものも」

 トライアスロンの要綱を読み、淡々と感想を述べるユーリ・ウィルトゥス(ゆーり・うぃるとぅす)
 いまこのときに開催されている競技よりも、そのルールの方が気になる模様です。
 隣に腰を下ろしている神和 瀬織(かんなぎ・せお)は、勝負の行方も応援そのものにも興味津々のよう。
 真ん丸い眼をもっと丸くして、るんるんわくわく……でも静かです。
 
「ほら、ユーリも瀬織も冷静に見てないで!
 応援があるからこそ、選手ががんばれるんだよ!
 僕たちの声が選手たちの力になるように、応援応援!」
「……」
「わたくしは声援を送るという性質(たち)ではないのですが……がんばっている選手を見ると、思わず大声で声援を贈りたくなります」
「ほらほら、こうするんだよ!」
「私達と同じように、がんばれって言えばいいんです!」

 見かねた綺人が、2人に行動を促しました。
 無言のまま頷くユーリと、まだちょっと戸惑っている瀬織。
 それならと、綺人とクリスが見本をば。。。

「選手のみんな、がんばって!」
「西シャンバラチームに勝ってほしいですし。
 あ、もちろん東シャンバラチームの方たちもがんばってくださいね」
「がんばれー」
「……クリス、タオル当たっている。
 応援に夢中になるのはよいが、周りに気を付けろ」

 『メガホン』を口にあて、綺人が大声で叫びます。
 クリスも、『メガホン』で声援を贈りつつ、頭上で『ろくりんピック公式タオル」を振り回して見せました。
 すると、小さい声ながらも瀬織が声援を!
 同時にそれまで持っていただけだった『メガホン』を、ぽこぽこ叩き始めたのです……可愛い♪
 ですがユーリはまだかたくなで、しかも若干いらっとしていますよ!

「あぁユーリ、ごめんごめん。
 ですが私の勢いは止まりません、暑さなんか吹き飛ばす勢いで応援しますよ!」
「がんばるのはいいが……この暑さだと、路上で応援しているだけでも体力を消耗するな。
 3人とも、ちゃんと水分補給しておけ」
「そうだよね、ちゃんと対策しなくちゃね縲怦ン物も用意してきたよ。
 この暑さだと、立ってるだけでも熱射病や熱中症になっちゃうよね」
「わ縲怩「、ありがとうございます」

 うん、とりあえず謝ったら許してくれたみたいです、クリスのこと。
 その証拠に、ユーリが皆の体調を心配してくれています。
 話を受けて、綺人は荷物のなかから『緑茶』を取り出しました。
 コップを受け取りながら、瀬織がお礼を述べるのでした。


「炎天下では、待機しているあいだに倒れる自信があるぜ!」
「……っと」

 木陰に逃亡し、ソーマ・アルジェント(そーま・あるじぇんと)が残念な台詞を豪語しています。
 暑さにふらついた久途 侘助(くず・わびすけ)も、恋人のソーマに寄りかかりました。
 ソーマは吸血鬼、侘助は身体が弱いということで、昼間の炎天下という環境はなかなかつらいものがあるようです。

「さ、選手が来るまで2人でまったり休んでいてよ」
「お縲怩ウすがは北都、気が利くな……座り心地も良好♪
 ささ、おいで縲恫l助」
「あ、うん。
 清泉、ありがとうな……っひゃ!」

 こうなることを予想していた清泉 北都(いずみ・ほくと)は、パラソルと折りたたみの椅子を準備していました。
 より涼しくするために、椅子の傍には、スキル『氷術』でつくった氷の塊も並べます。
 丸い影のなかに、ソーマと侘助が座り込みました。
 ソーマったら早速、侘助の襟元に小さな氷の欠片を落とす悪戯を。。。

「まったく、何やってんの……イチャイチャ禁止ね?」
「う縲怐v
「そうだな……神聖なる競技の最中だし、今回はがまんするよ」

 釘をさされ、不満をあらわにするソーマ。
 ですが悪戯された当の本人は、北都の言葉に納得したようです。

「まぁしょうがないよ、ソーマ……帰ってからな。
 それにいまは暑いだろ?
 ほら、ちゃんと水分も補給して。
 熱中症には気を付けないとな」
「お……あぁ、ありがとう」

 頬を赤らめながら『緑茶』を差し出す侘助に、ソーマもちょっとどきどき。
 侘助の優しさを、改めて知ったソーマでした。

「応援している方が熱中症で倒れたら大変だからね」

 ソーマと侘助がいい感じにらぶらぶしているあいだ、北都はというと。
 付近にいる東シャンバラチームの応援団員へ、飲料を配っていました。
 準備のよい北都は、冷たい麦茶やスポーツドリンクをも持ち込んでいたのです。
 お、何やら歓声が聴こえてきましたよ。

「あ、トップの組が来たようだねぇ縲怩ェんばれー!!
 ほら、2人も!」
「負けんなよー」
(やっぱ勝ちたいもんな、普段はクールでも応援は熱くしてやるぜ)
「フレーフレー東シャンバラ!
 あともう少しだ、ふんばれー!
 がんばれ、完走までもう少しだぞ!」

 北都が、小さな東シャンバラチームの旗と、スキル『超感覚』で出した犬耳アンド犬尻尾を一緒にぱたぱたと振ります。
 呼ばれてパラソルから身を出し、ソーマと侘助も大きな声で応援です。
 実は3人がいる場所は、ゴールテープを少し過ぎた辺り。
 飛び込んでくる選手達の気迫に押されて、少しうしろのめりになっています。
 さぁ、トップでゴールテープを切ったのは。。。

「やった!
 東組が勝ったー!!」
「わわっ、侘助っ!」

 激しい首位争いの結果、東シャンバラチームに軍配が上がりました。
 嬉しさのあまり、侘助がソーマに抱き付きます。
 驚きつつもソーマは、侘助の背中に腕を回しました。
 東シャンバラチームの勝利は、侘助とソーマの絆をも強めたようです。



「はい、みんながんばってね」

 最後の給水ポイントを手伝うなかに、漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)の姿がありました。
 テーブルの上には、月夜の持参したエネルギー補給用のグミやゼリー飲料が並んでいます。
 月夜はうっすらと微笑み、西シャンバラチームの選手達へとブツを手渡していきます。
 その際には必殺サポート『疲労回復』も発動し、スキル『ヒール』と『パワーブレス』をかけていました。

「これを走りきればゴールだから、みんながんばれ縲怐I」
(ここまでがんばってきたのだし、その応援をするのに敵味方を入れるのは無粋だと思うのよね)

 さらに月夜、声援は東西チームに関係なく贈ります。
 いま、最後の組がお礼を言いつつ走り抜けていきました。

「ふぅ……無事に終わったわね」

 マラソンの区間をとおして行われた応援合戦は、一般の観客や給水所のスタッフなどをも巻き込み、大盛況に終わりました。
 東西どちらのチームも、より結束が深まったこと間違いありません。