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マホロバで迎える大晦日・謹賀新年!明けましておめでとう!

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リアクション


第五章 初日の出8

「……という夢を見たのよ」
 正月もあけて数日経った頃。
 大奥の部屋で御花実様葛葉 明(くずのは・めい)は、鬼城 貞継(きじょう・さだつぐ)に話しかけていた。
 貞継は視点も定まらぬまま座り込んでいる。
 無論、返事はない。
 それでも、明はしゃべり続ける。
「いや〜、あたしの発想力って、我ながらすごいわね。そうだわ、この話をケータイ小説にでもしようかしら。事実を基にしたフィクションですってね。ほら、あたし、現代のシンデレラを地でいってるじゃない。一般地球人が、将軍の子を産むなんてね」
 明は我が子明継(あきつぐ)を抱きしめ、指であやす。
「そして書籍化、映画化、実写ドラマと続くわけよ。映画化のときは、ここをセットで貸し出したら、観光客を呼べるかもね。よん様ならぬ、みん(明)様の家って感じ? それで得た収入はマホロバに寄付して幕府の財源に充てるの……ね、素敵でしょう?」
「……」
 貞継は黙ったままだ。
 彼の病は一向によくなる気配はない。
 医者は既にさじを投げている。
 世間では廃人ともうつけ将軍とも呼んでいた。
 明は貞継の手を強く握った。
 瞳からは一筋の涙が光る。
「どうして、あなたは……」
 彼女はそれをぬぐうと、立ち上がった。
「さて、もうそろそろ行くわね。何かあったら、呼んでよんでちょうだいね。必ず」
 返事があるわけでもない。
 見返りがあるわけでもない。
 しかし、期待せずにはおれなかった。
「あなたが、あたしと明継の名を呼ぶのはいつになるのかしらね」
 襖がひかれ、ぱたんと閉じた。



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ハイ、カーーット!!!

 撮影終了の合図とともに、出演者一同に安堵の笑顔が浮かぶ。
 お疲れ様の掛け声とともに、如月 正悟(きさらぎ・しょうご)がマイク片手に都内某撮影スタジオを訪れていた。
「失礼しまーす。皆様、空京放送局記念 犬河ドラマ『まほろば大奥譚』の撮影お疲れさまでしたー」
 楽屋内は出演者やスタッフをはじめ、かなりの人とモノがあふれている。
 通路をふさぎ気味な鬼鎧の横を抜けて、正悟は楽屋までたどり着いた。
「ここからは如月正悟役の『シヨウゴ』がレポーターをつとめさせていただきたいと思います。あ、間違って『使用後』に漢字変換したり、『ゴ』の濁点とらないでくださいね。別の人になっちゃいますからね」
 シヨウゴは最初に自己紹介し、出演者に向かってインタビューを試みた。

シヨウゴ「さっそくですね……質問を読みます。まず、色々と一番多くきてるのですが、鬼城 貞継(きじょう・さだつぐ)さん。えーと、『ドMなんですか?』『女装好きって本当ですか?』とありますが、本当のところどうなんでしょうか?」
サダツグ「……その質問、本当に来てるのか?」
シヨウゴ「ええ、そうですよ。そうなんですか?」
サダツグ「台本通りにやってるだけなので。それに女装は……あのあと熱出しました」
シヨウゴ「ははは、それは災難でしたね。他に大変だった事はありましたか」
サダツグ「撮影中はずっと大変だったけど、撮るのがきつかったのは、第二回の雨の中、天守閣で鬼になってるシーンかな。あれ、スタントなしだったので。あと、最終回の桜の花びらに巻かれるシーン。あれはスタッフ総出で桜吹雪飛ばしてて、綺麗なんだけど花びらが口の中に入るから台詞しゃべれないし、息が出来ないしで、窒息するかと思った」

シヨウゴ「なるほど。色々とご苦労があったのですね。ありがとうございました。次に日数谷 現示(ひかずや・げんじ)さんへ質問。『ドMとか実はハッテン好きでアーッ!』と疑われてるようですが」
ゲンヂ「そんなことはありません。僕は、普通に女性がいいです、すみません」
シヨウゴ「え……僕? あの、えらく低姿勢なんですが?」
ゲンヂ「そうですか。普通ですよ。僕はきつい撮影の後は、女優の皆さんに謝ってフォローしてますよ」
シヨウゴ「いやいや、役とかなりイメージが……あの、印象に残ってるシーンはありますか」
ゲンヂ「印象に残ってるというか、何度もNG出したのは、最終回で瑞穂睦姫(みずほの・ちかひめ)に叩かれるシーンですね。叩く角度とか音とか、何度もやり直してて。翌日顔が腫れ上がりましたよ」

シヨウゴ「それはまた、カラダ張ってますねー。睦姫といえば、あそこで葦原 房姫(あしはらの・ふさひめ)とお話してますね。すみませーん、ちょっとよろしいですか」
チカ「はい? なんでしょう」
シヨウゴ「色々と質問してたところなんですが、実際のところあの二人どうみえますか?」
チカ「どうってそうねえ、全然違うタイプかもね」
シヨウゴ「と、いうと?」
チカ「サダツグさんは役に入り込んで休憩中もずっと台本みてるし、ゲンヂさんは雑談したり冗談言って笑わせてくれるかな。ね、フサちゃん」
フサ「ええ、私たちも役の上ではライバルみたいでしたけど、実際は仲良いんですよ。大奥のセットは消え物が多くて食事には困らなかったし、待ちの間は女優皆が集まってお茶のんでました」
シヨウゴ「へー、それはウラヤマ……ごほん。いや、俺も出させてもらいましたからね。もっと女優さんと絡みたかったですけど。では、最後に記念撮影でもしましょうか。共演者みなさん、スタッフぅもみんな集まってー!」

 シヨウゴの掛け声の下、のべ人数600人弱の演者とエキストラ、スタッフが集まってきた。
 総人数にすると、どれだけの人が関わったかと思うほどである。
 その真ん中に、白い猫が座り込んでいた。
 猫は四方へ向けてぺこぺこと頭を下げている。
「リアクションはこの猫様が届けてくれました。みんな拍手ー!!」
 ワーッと沸き起こる大歓声。
 鳴り止まぬ拍手。
 互いに手を取り、思い思いのポーズを決める。
 みんながカメラのレンズに向かって叫び、シャッターが切られた。

「ありがとう、お疲れさまでしたー!」



担当マスターより

▼担当マスター

かの

▼マスターコメント

 こんにちは「かの」です。
 この度はご参加いただきありがとうございました。
 『まほろば大奥譚』のコメディ・パロディシナリオです。
 面白いアクション目白押しでした。
 これまでの『まほろば大奥譚』シナリオにご参加くださった方はもちろん、今回初めてのご参加の方もいて、非常にバラエティあふれた内容になったかと思います。
 本当にありがとうございました。
 
 現在、続きのキャンペーンシナリオを準備中です。
 またのご参加をお待ちしております。

 また今回、リアクションの公開が遅れて申し訳ありませんでした。
 次回以降、スケジュール調整の上、このようなことがないよう頑張ります。

【追記】
本文中の改行、誤字、リンクその他ケアレスミスを修正しました。
(2011.01.21)

※次回キャンペーンシナリオは年明け以降を予定しています。
詳細が決まりましたら、マスターページでご報告します。
※扶桑はこうしている間にも桜木に取り込まれている三人の巫女(SFL0000661 木花 開耶)、(SNL9998864 封印の巫女 白花)、(SFL0003468 リース・バーロット)の生命を吸って生きながらえています。
上記LCは、次回作のシナリオでは扶桑の木からのスタートとなります。
他のシナリオにはご自由に参加されて結構です。
※アクション結果により『天鬼神の血』のリスクが解消されなかったため、托卵を受けたキャラクターの身体的ペナルティは継続しています。
こちらも、私の担当する今作と次作シナリオ限定で、他のシナリオに参加される場合は、とくに制限等はございません。


【NPC一覧】
鬼城貞継(きじょうさだつぐ)……マホロバ前将軍。俳人
房姫(ふさひめ)……葦原藩姫
睦姫(ちかひめ)……瑞穂藩姫

ハイナ・ウィルソン……葦原明倫館総奉行(=校長)。房姫のパートナー
ティファニー……葦原葦原明倫館・分校長 大奥入り
楠山……大老(故人)
御糸……元大奥総取締役

白継(しろつぐ))……貞継と(SFM0033439) 樹龍院 白姫の子。マホロバの新将軍。
穂高(ほだか)……貞継と(SFM0034290) ファトラ・シャクティモーネの子
明継(あきつぐ)……貞継と(SFM0015871)葛葉 明の子
貞嗣(さだつぐ)……貞継と(SFM0002869)秋葉 つかさの子
珠寿姫(すずひめ)……貞継と(SFM0016822)度会 鈴鹿の子
雪千架(ゆきちか)……貞継と睦姫の子


日数谷現示(ひかずやげんじ)……瑞穂藩士
瑞穂弘道館分校……葦原明倫館分校と同じで、マホロバ内作られた瑞穂藩分校

漆刃羅シオメン(うるしばらしおめん)……エリュシオン帰りの龍騎士(故人)

蒼の審問官・正識(あおのもんしんかん・せしる)……七龍騎士の一人。瑞穂藩主

【付録】
●大奥内部構造
マホロバ城……表、中奥、大奥の三つの空間に分かれる。
表は職務など行う公的な場所、中奥は将軍の居住空間、大奥は将軍に仕える女性たちの居住空間
根の口……中奥との通用門
花の実……将軍が大奥で過ごす場所
繭の間……寵愛を望む女官の住まい
広敷……大奥の入口部分で、警備・事務の男性役人の詰所

緑水の間……房姫の部屋
紫光の間……睦姫の部屋

●大奥の身分
大奥取締役(おおおくとりしまりやく)……大奥を取り仕切る女官の最高権力者
御花実(おはなみ)……将軍や姫の世話役。大奥取締役から選ばれた娘たち。将軍はこの中から手をつける。手付けとなったのもは他の女官から嫉妬や皮肉から御花実様と呼ばれる
御繭(おまゆ)……御膳の用意や献上品の管理、対面所の掃除などを担当する。ここから御花実様になる者もいる
御根口(おねくち)……大奥の出入り口である錠の管理を担当

●大奥の男性
役人……警護や事務で広敷にいるが中には入れない(老中や上級官吏は入れる)
警護……大奥周辺や庭を警護するが中には入れない
医者……奥医師として大奥に入って診察を行う
雑用係……上級女官に雇われた使用人。勝手口までで奥には入れない
その他、上級女官の親類や九歳以下の男児は特別に許される

●表、中奥
御従人……将軍の警護など行う親衛隊

●東光大慈院……マホロバ城から東に少し離れた将軍家の菩提寺。療養などにも使用される