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古代兵器の作り方

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古代兵器の作り方

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     ◆

 その様子を見ていたハイコド、プラムは、唖然としながら一同を見送った。
「……………行っちゃったね」
「…………うん」
 二人がそう呟くと、後ろから二人に向けて声が聞こえた。
「大丈夫ですか!?」
 それは、中に潜入していた真人の声だった。走り回っていた真人とセルファは、さきほどの騒ぎを聞きつけやって来たようである。
「あ、はい」
「良かったぁ………で、あなたたち二人だけ? 逃げ遅れたのは」
「……………………」
 今度はハイコドの影に隠れながら、しかしプラムが穴の中へと指を向ける。その行動に首を傾げた真人とセルファは、指された方を見る。穴の中に入っている人々を見る。
「結構――いるんですね」
「無事で何よりだけど………でもさぁ真人」
「何です?」
「何かこの近くもそうだけど、やたら弾痕が多いと思わない? この中を、この人たちを連れて私たちだけで進むの、結構無謀な気がするんだけど…………」
 ざっと見ただけで数十人はいる逃げ遅れた人々。
「確かに、それはそうですね。彼等を全員無傷で脱出させるのは、正直きついと思います」
 難しい顔をしながら真人が考え込み、しかし「まぁ」と区切りをいれて顔をあげた。
「脱出経路、その他がわからないことには何とも動きようが無いですからね。俺たちは色々回って此処までたどり着きましたけど、それが安全な道とは限りませんし、何より確実に言えることは『決して最短ルートではない』と言うことです」
「まずは皆で様子見ね。救援もそろそろ来るし、此処で籠城って言うのも手だと思うな」
 セルファが穴に入ろうと足を進めた時、ハイコドが口を開いた。
「さっき、犯人っぽい人なら向こう行ったよ?」
「へっ?」
「それは――どう言うことです?」
「助けに来てくれた人が、犯人っぽい女の人を連れて向こうに行ったんだ。ホント、今さっきね」
「だったら、逃げられる、かな?」
「そうですねぇ………ただ」
 真人は周囲を確認しながらに呟く。
「どうしても気掛かりなんですよ。鉢合わせをしたとき、どうするか」
「そっかぁ…………」
「せめて目があると良いんですけどね」
「目………?」
 真人以外の三人が首を傾げた。
「えぇ、『目』ですよ。確実に犯人…………まぁラナロックさんと仮定して、何処へ向かっているのか、何処にいるのか。どのルートが最善なのか。それが分かれば、安全に脱出出来ると思うんです」
「そんなこと言ったって、そんな便利な物があるわけ――」
 セルファが言いかけたところで、プラムとハイコドが顔を合わせた。
「「……………監視カメラ」」
「ご名答」
 にっこりとその言葉に返事を返した真人は、徐に穴へと足を踏み入れ、中の人々に挨拶をし終わると、三人を招き入れた。
「此処に来るまでの間――俺たちはいくつかの声を聞いた。物音を聞いた。ではそれは――? この事態の犯人がテロリストの様な集団ではなく、仮定通りにラナロックさんの単独犯であるとするなら、それどういう意味になりますか――?」
「他の人――?」
 ハイコドとプラムがついで穴へと入り
「他の、協力者ってことになるのかな」
 周囲に人影がないかを確認し、最後にセルファがその穴に入ってきながら言った。
「そうです。そしてその人数が多ければ多いほどに、その中の誰かが俺と同じことを考えるでしょう。『目が必要なのではないか』とね」
「でもさ、だったらその人と連絡が取れるようにしなきゃ」
 真人に続けるセルファは、辺りを見回しながらに呟いている。
「予め分担している場合、誘導する人と実行する人が存在するでしょう。その人を見つけるか、その人に見つかれば良いわけです」
「でも、それって分担していたときの話、だよね」
 真人の言葉にハイコドが首を傾げると、隣にいたプラムが口を開いた。
「分担していない個人だと………………目にはならないよね」
「……………確かに」
 ハイコドとセルファが口を揃えて納得した。
「確かに、此処に残された人たちの体力、更に残っていることに対する危険性を加味すれば、早急にでも此処を出立する必要があるでしょう。でも、俺は確実に動き、安全に脱出出来ることを優先したいんですよ。ならば、俺たちがやるべき事は何か――」
 その問いに、静かに考えを廻らせる一同。と、そこで――プラムが再び口を開いた。
「監視カメラを………………見つければ?」
 ほう、と真人が合点する。
「そうよね! 二人でカメラを探せば良いわけだ! 目に、見付けて貰うようにこっちから動けば」
「二人なら逃げ延びることは可能ですしね。それに、此処を防衛するのはこの穴さえ死守すれば良い。成る程成る程」
 一同が納得すると、ハイコドがすっくと立ち上がった。
「僕がーー此処を守るよ」
「………………?」
 真人とセルファは首を傾げるが、どうやら彼が言わんとすることを、プラムは気付いたらしい。
「見たところ、二人は武器を持ってない。その二人が此処を守れば、守っている二人が危ない。だから、武器ならあるから――」
「…………そうですね、ではそうしましょう。お願いしますよ。えぇっと――」
「ハイコド。竜螺 ハイコドだよ」
「宜しく頼みましたよ、ハイコドさん」
 真人とハイコドは固く握手を交わした。