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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別

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十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別
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第四十一篇:七瀬 八重子×カールハインツ・ベッケンバウワー
 これも、パラミタのない世界での恋物語。
 とある学校での一時。
 七瀬 八重子(ななせ・やえこ)同じクラスのカールハインツ・ベッケンバウワー(かーるはいんつ・べっけんばうわー)のことが気になっていた。
 話したことはおろか、今まで全く交流もない人だというのに。
 ゆえに、彼女は自問していた
(だからこれは恋心なのかどうかもわかりません)
 自問するも、答えは出ない。
(気のせいなのかも……そう、もしかしたらただお腹が空いてるだけなのかも。でも、お腹が空いてるのにご飯が食べられないのです。病気なんでしょうか?)
 自問すれば自問するほど、よりわからなくなっていく。
 気が付けばカールハインツ・ベッケンバウワーをなぜか目で追ってしまうし、近くに寄りたくなってしまう。
 そして、そんなある日、彼女は彼が落としたハンカチを拾ったという、ふとした偶然で話をすることができたのだった。
 そのおかげで相手に自分を認識してもらい、すごく嬉しくなって――たったそれだけのことなのに、すごく嬉しくなったのを自覚した彼女は遂に自問の答えに辿り付いた。
(あ、この気持ちは『すき』ってことなのかな)
 そう、気が付いた彼女。
 恋というにはあまりにも拙い心だが、彼女は確かに一歩を踏み出したのだった。
 これも、パラミタのない世界での恋物語。