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惑う幻影の蜘蛛館

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惑う幻影の蜘蛛館

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 想詠 夢悠(おもなが・ゆめちか)は美女に囲まれながら、どうしたものかと考えていた。
 視線の先には、憧れの人、雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)がいた。目の前に並んだ美味しそうなケーキをパクついている。
(ああ、どうしよう! 雅羅さんがすぐそこにいるのにぃー)
 そう心の中で思いつつも、夢悠の顔は緩んでいた。それもそのはず。彼は今、美女ぞろいのメイドたちに抱きつかれ、身動きが取れない状態になっているのだ。
 雅羅のところに行きたいという願望と、もう少しこのままでいたいという願望の間で、気持ちが揺れ動いている。
 そんなときだ。彼の横を通り過ぎて想詠 瑠兎子(おもなが・るうね)が雅羅に近づいていった。
「まーさーらー♪」
「え……きゃっ!」
 さらに、そのまま雅羅に抱きつく。瑠兎子は雅羅の首に手を回し、フフフッと妖艶な笑みを浮かべた。
「ねぇ雅羅。そろそろワタシ達の部屋へ行きましょうよ」
「え?! な、なんで、ですか?」
「何? 忘れちゃったの? 一晩中、疲れて眠るまで二人で遊ぼうって、約束したじゃない。ねぇ、ま・さ・らぁ……」
「え、ええ?! そ、そんなの知ら」
「フフフッ、恥ずかしがらないで。ちゃんと最初は優しく……」
「って、雅羅さんに何してんだよっ!!」
 バシンっと、瑠兎子の脳天に夢悠のチョップが入った。
「痛ぁーい! ユッチーこそ、何すんのよ! いいでしょ! 夢の中でくらい、雅羅ちゃんとイチャイチャしたって!」
「いいわけないでしょ……って、夢?」
 瑠兎子の口から出た言葉に、夢悠は顔をしかめた。一体夢とはどういうことなのか?
「あ、あの、瑠兎子さん。その、夢って言うのは?」
 雅羅も気になったようで、瑠兎子に聞き返す。そこへ、
「――そーそー。実はそうなんだよねーっ」
「えっ……ひゃあんっ!」
 突如、師王 アスカ(しおう・あすか)が割り込んできた。真っ直ぐに雅羅に抱きつくと、雅羅の大きな胸に顔をうずめた。
「雅羅ちゃん、久しぶりー。う〜ん、相変わらずのふわふわ巨乳〜♪」
「あ、アスカさん。その、実はそうってどういうことですか?」
 雅羅の質問に、アスカは顔を上げる。それでも雅羅の胸からは離れようとしない。
「どうもこうもないよ。この館全体が幻か何かなんだよ。私、これでも芸術家目指してるからね。雰囲気の違いで、分かるのよね〜」
 そう告げるアスカ。
「つまりこれは誰かが私たちに見せてる幻覚だと言うことですか?」
「うーん、多分ね〜」
「多分って……というか、離れてください」
 流石にうっとおしくなってきた雅羅がアスカを引き離そうとする。
 だがしかし、流石は運が悪いことに定評のある雅羅だ。このタイミングで雅羅は、宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)に発見されてしまった。
「あ! 雅羅! なに面白そうなことしてるの、よっ!」
「え? ふ、ふぁああっ!」
 雅羅に近づいた祥子は、背後から抱きしめる形で、雅羅の胸をガシッと鷲づかみにした。
「おっ! 雅羅、もしかして、また胸おっきくなった?」
「しょ、祥子さん! いきなりきて、胸を揉まないでください!」
 必死に雅羅は祥子に抗議する。だが祥子はニコニコしながら、グニグニと雅羅の胸を揉みしだいている。
「そんなこと言わないでよ。ほら、こうやっていっぱい揉まれると成長するって言うし」
「ああ、ずるい! この胸は私の!」
 そんな祥子と奪い合うように、アスカがふたたび雅羅の胸に飛び込んだ。
「ちょっと待って! それなら私もぉー!」
「お、お姉ちゃん!」
 夢悠の制止の声も聞かず、瑠兎子まで雅羅の胸へと飛び込んでいった。
 結果、三人の女子から揉みくちゃにされる雅羅であった。
「ううっ……今回の私、こんなんばっかりなの」