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今年もアツい夏の予感

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リアクション


その9:それから……。


 かくして、プール掃除は終わり一足先に早いプールが開かれました。

 我慢大会に参加していた人たちも、自主的に切り上げ新しく綺麗な水が張られたプールに次々と戻ってきているのでした。やはり、プールの魔力には敵わなかったようです。
 サウナから出てきた時はダウンしていた遠藤寿子とアイリたちも、仲間たちと一緒に水に飛び込みます。
 我慢大会の参加者だけでなく、もちろん掃除を手伝ってくれた全員が。
 水と戯れる者たち、プールサイドでくつろぐものたち、楽しみ方はそれぞれですが、いずれもこの新しいプールの一日を満喫できたようでした。
 では、我慢大会はどうなったのでしょうか。
 最後にもう一度見てみましょう。
「……」
 エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)もあの後すぐに飛び出してきて、今はもうただ水に浮かぶだけの存在です。何も言いませんが、気持ちよさそうです。
「すぅー……はぁー……」
 ルイ・フリード(るい・ふりーど)は、精神を集中し熱と一体化していたはずでしたが、気がつくと水に浮いていました。パートナーたちや朝斗たちと最後までプールを楽しみます。掃除のときに何かあったようでしたが教えてくれませんでした……。
 
「真一郎からどうぞ」
「いえいえ……ルースさんからお先にどうぞ」
 ルース・マキャフリー(るーす・まきゃふりー)鷹村 真一郎(たかむら・しんいちろう)は、灼熱のサウナの中、まだ張り合っていました。
「とうとう、ルカルカまで出て行ってしまいましたね」
「……優勝候補でしたのに、いいえ、優勝できたでしょうに……。プールに水が張られたと聞いたら、それはもうすごい勢いで棄権して水遊びに行ってしまいましたね」
「淵もな。……私たちもそろそろ外に出るべきですよね」
「もちろんです。……ルースさんからお先にどうぞ」
「いえいえ、真一郎からどうぞ」
「……よし、同時に出ましょう。肩を組んで、いっせいのーで、で」
「……右足からですか、左足からですか。足が出たら負けですか、それ以外の身体の部分がラインを超えていたら負けですか」
「……」
「……」
 かくして、二人がプールにやってきたのはもうしばらく後のことだったそうです。ちなみに写真判定では7mmの差で真一郎の勝ちだったそうですが、それはもう、どうでもいいことなのでしょう……。
 
「もう飽きたぜ」
 ドラゴニュートのギャドル・アベロン(ぎゃどる・あべろん)は、暇になってサウナから出てきました。温度自体はどうと言うことはなく、最後まで残ろうと思えば残れたのですが、皆が楽しく遊んでいる間ずっと一箇所で固まったままというのもつまらないものです。
 彼は、介護役のルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)ウォーレン・シュトロン(うぉーれん・しゅとろん)と一緒に、今度はこのプールで遊んでいる最中に急患が出ないか待機することになりました。
 かくして、我慢大会も無事終了したのでした。
 ……。
 ……あれ?



「おめでとうアル。貴公が優勝者アルよ」
 ――夕刻
 全員がプールを楽しみ、満足な一日を過ごして帰って行った頃……。
 我慢大会に参加していた瀬乃 和深(せの・かずみ)は、介護のために最後まで残っていてくれたフリージア・ヴァルトハイト(ふりーじあ・ばるとはいと)の膝枕の上で目が覚めました。
 フリージアの介護は、上質な布を水で濡らして絞り両脇と股関節辺りに濡らした布を当てて冷やしていく、喉が渇いたといったら思い出のティーカップに少量入れてゆっくり飲ませる……といった心のこもったものでした。
 藍色のチャイナドレス風な水着を着たフリージアは目を開けた和深の顔を覗き込みながら可愛らしく微笑みます。
「優勝の賞品預かってるよ。身体もなんともなくてよかったね。……無茶しやがって、ってみんな言ってたよ」
 リアトリス・ブルーウォーター(りあとりす・ぶるーうぉーたー)が賞品の学食券を手にやってきました。
 それを和深は呆然と受け取ります。
「……あれ、みんなは? プールは……?」
「みんな存分にプールを楽しんで、とっくに帰っていったよ。プールももう閉まってるけど……今度開くのは数日後のプール開きの日だね」
「……そ、そんなバカな……」
 和深は痛恨のうめき声を上げます。
 実のところ、着ぐるみを纏って参加していた彼はずいぶんと前にオチていたのです。サウナの片隅に固まったままじっとして動かず、かつ表情も見えなかったため残留者として放置されていたのでした。結局、彼以外の全員が外に出た後、様子を見に行ったダリルやニケに発見されてようやく外に連れ出されたのでした。長時間放置状態だったので、かなり処置が必要でしたが。
 着ぐるみを着たまま灼熱の室内で見捨てられていたなんて、バカバカしくて誰も文句を言う者はいませんでした。かくして最後まで残った和深が優勝でいいんじゃね……? とか決められて優勝になったのです。
「よかったね。学食楽しんできてね……」
 微笑むリアトリスに、和深は夢遊病者のように歩き始めます。
「プールは? 女の子たちの水着は……?」
「ああ、ちなみに……我輩は見ての通り外見は女アルが本当は男アル。男の膝枕、気持ちよかったアルか?」
 フリージアはもう一度微笑みます。

「なんてこったぁぁぁぁぁっ!」

 和深の叫び声が、初夏の夕暮れに響き渡りましたとさ。



  〜 おしまい 〜


担当マスターより

▼担当マスター

車 修理

▼マスターコメント

 はじめましての方もお久しぶりの方もこんにちは、車 修理です。いつもお世話になっております。

 『どうしてこうなった!?』

 え〜、何と言いますか、今回はほのぼの日常系じゃなかったんですか? なんの事件も起こらないんじゃなかったんですか?
 気がついたら『いつものやつ』になっておりました。
 いや……書いてみて、日常系って難しいです。四コマ風にするとなるとなおさら。
 アレって才能がいるんだなぁ……。と改めて学んだ一本でした。
 
 そして今回も集まってきましたSUGEEEEE! なアクション。皆様、本当にありがとうございました。心より感謝いたします。
 
 例によってヒドイ目に遭っている人もいます。なんか死んでそうな人もいますし。
 はい、『いつものやつ』です。『車ワールド』での出来事ですので。寛大な心でご容赦くださいませ。
 
 なお、今回は個別コメントは全て割愛させていただきました。内容でご自由にご判断ください。称号発行も少なめです。 
 
 いずれにしましても、楽しんでいただければ幸いです。
 またどこかでお会いできる時を楽しみにしております。
 

▼マスター個別コメント