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天の川よりの巨乳X襲来!?

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天の川よりの巨乳X襲来!?
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【八 インデペンデンス・パイ】

 セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)はトップスを外して砂浜上のシートにうつ伏せで寝転がり、これ見よがしに横乳をはみ出させながら、うっとりとした表情で午睡を楽しんでいる。
 隣ではセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)が、
「セレンったら……また同じことをやってるのね……」
 と、若干呆れ気味の表情を浮かべながら、ビーチパラソルの下で読書を続けていた。
 ふたりは少し前まで、波打ち際でじゃれ合ったりして遊んでいたのだが、この強い陽射しの下では流石に疲労が溜まり易く、こうして時折、休憩を取らざるを得ない。
 だが、そんな休憩時間に於いても、セレンフィリティのわざと周囲を色香で挑発するような行動は、決して止まることがない。
 どうしてこれ程までに自信満々なのかと、セレアナですら理解不能な部分がある。
 恐らく、今、周囲の男達の視線は自分達に釘づけであろう……そんなナルシストに近い思いに浸りながら、うとうととまどろんでいるセレンフィリティだが、現実はなかなか厳しかった。
 というのも、ふたりの居る位置から然程遠くないところで、マッサージ講座の休憩を利用して散策している美緒、ハイナ、エンヘドゥの三人が、巨乳を揺らして波打ち際に姿を現したのだ。
 老若男女を問わず、ほぼ全ての視線がこの三人に向けられたのは、いうまでもない。
 その巨乳トリオに同じく巨乳藤本 舞(ふじもと・まい)が同伴していたが、舞のサイズでは到底勝負にならず、どうしてもかすんでしまう。
 だが、舞は己の胸のサイズなどはどうでも良く、巨乳トリオの生乳をこうして間近で見られるという状況に、随分と興奮しているようであった。
「この辺なら、あの色の海の効果はありませんし……ちょっとこの辺で、海に入ってみませんか? 実をいうとワタシ、皆様と海で遊べるようにと、笹飾りくんにお願いしてたんですよ」
 そうまでいわれると、美緒にしろハイナにしろエンヘドゥにしろ、悪い気はしないようである。
「えぇ、そうですね。折角海に来たのですし、少しぐらいは遊んでいかないと……」
「わっちも、海辺で遊ぶのは久々でありんす」
 そんな訳で、舞はいよいよ念願の、揺れる巨乳に囲まれての浜辺遊びへを興じる機会を得た。
 しかし、舞の狙いはただの巨乳観察だけでは済まない。
 じゃれ合っていると見せかけて、巨乳トリオの大きく柔らかなふくらみに顔を埋めたり、何気に鷲掴みしてみたり、もうやりたい放題であった。
「……何だか随分、あたし以上のやり手が居るみたいね」
 何故かライバル心がめらめらと燃え上るのを感じながら、セレンフィリティは舞の姿をじっと凝視した。
 わざとらしい、という意味では、舞のわざとらしさはセレンフィリティのそれを遥かに上回っている。
 普通あそこまで露骨に巨乳を揉んだりはしないものだが、美緒やエンヘドゥにいささか天然が入っているのを良いことに、舞は己の欲望を自由に発揮し、常世の春を謳歌していた。
「こうなったら……負けてらんないわ。セレアナ、あたし達はフルヌードで対抗よ!」
「……馬鹿な真似はやめなさい」
 セレンフィリティの強烈なまでの対抗心は、しかし、セレアナのごくごく普通の常識的な判断によって、あえなく封じ込められる結果となった。

 砂浜と岩場の境に当たる日陰にて、妙な雰囲気がじわじわと漂い始めている。
 水無月 睡蓮(みなづき・すいれん)はこの日、霧島 玖朔(きりしま・くざく)との暑い夏の日のアバンチュールを夢見て、彼とのデートに臨んでいた。
 だが、どういう訳かそういう空気が一向に流れて来ず、寧ろ玖朔ひとりがウハウハ状態でご機嫌になっているだけ、というような状況に変じてしまっていた。
 原因は、はっきりしている。
 睡蓮のパートナーである鉄 九頭切丸(くろがね・くずきりまる)が女体化の海に浸かってしまい、目の覚めるような極上のプロポーションを誇る美女に、変貌してしまっていたからである。
 玖朔は女体化九頭切丸のを見るなり、鼻の下を大いに伸ばして、まさに両手に花、ならぬ両手に乳のこの状況を、極限まで楽しもうと考えていた。
「…………」
 九頭切丸はというと、元々の外観の面影を残す形で女体化しているが、中身は相変わらず寡黙(というより声を一切発しない)にして、表情を一切変えない美女姿のまま、玖朔の求めに応じて豊満な胸を好き放題に、弄りまくられている。
「いやー、良いね良いね、もう最高ー」
 水連を抱き寄せつつ、九頭切丸の美乳を堪能出来るなど、最早天国に等しい。
 だが、機嫌が良いのは玖朔ひとりであった。
 睡蓮はあからさまに表情を硬くしており、どこか殺気のような感情を含んだ視線で、玖朔をじっと見つめている。
「……あのね、玖朔さん」
「んー? 何だい?」
 ひとしきりレティ・ウォータージェットでの水遊びを終え、水連と九頭切丸に、サンオイル代わりにとエステ用ローションを塗り込んでいる玖朔に対し、睡蓮はやや暗い感情の籠った声で呼びかけた。
「これって……何か、違うと思いません?」
「違うって、何が?」
 九頭切丸の豊かに膨らむ胸の辺りをわさわさと鷲掴みしながらローションを塗りたくる玖朔は、すっかり上機嫌になってしまい、睡蓮の声音の奥に潜む狂気に、何ひとつ気づいていない。
 睡蓮は、そんな玖朔の嬉しそうな面を横から眺めながら、尚も続ける。
「知ってますか? こんな私でも、玖朔さんを独り占めに出来る方法があるんです……」
「ん?」
 玖朔は不意に沸き起こった妙な気配に、何とは無しに振り向いた。その直後、玖朔の意識は途切れた。
 この後、件の岩場付近でドボン、と大きなものが着水する音が鳴り響いた。
 ふたりの女性が、ひとりの男性を水の中に沈める光景が、遠巻きに見られたという噂もあったが、定かではない。
 玖朔の身に一体何が起きたのかは、睡蓮と九頭切丸以外、誰も知らない。

 ゴムボートで沖合に漕ぎ出し、のんびりと波間にたゆたっていた桜葉 忍(さくらば・しのぶ)桜葉 香奈(さくらば・かな)の新婚カップルは、結構な時間、ゆらゆらと揺られていた。
 ところが、どちらからともなく胃の笛が鳴り出し、そろそろお腹が空いてきたということで、一旦浜に戻ってきたのである。
「いや〜、それにしても、綺麗な海だな〜」
 幾分、目のやり場に困った様子で、忍はわざとらしく内海の水平線方向へと視線を巡らせるものの、しかしどうしても視界の端で、巨乳と化した香奈の胸元が強烈な自己主張をしてしまう。
 いや、香奈は忍の妻なのだから、その肉体に対してどのような視線を投げかけようが忍の自由なのだが、こうも極端にセクシーな体を見せつけられてしまうと、どう反応して良いのか却って困ってしまう部分があった。
(ふふっ……しーちゃんってば、私の胸を意識しないようにしちゃって……もう、可愛いなぁ)
 一方の香奈はというと、してやったりの表情で、内心ほくそえんでいる。
 沖合では香奈のこの巨乳が、本人が思った以上の効果を発揮した。
 というのも、忍が妙にぎこちないというか、不自然な言動が幾つか見られ、時折波に揺られて姿勢を崩した時には、忍が咄嗟に香奈を抱きとめたものの、すぐに顔が真っ赤になって、どう反応して良いのか分からないという状態に陥っていたのである。
 そんな忍の反応を、香奈は愛おしく思うと同時に、可愛いとも感じていた。
 女から見れば、男は幾つになっても子供なのである。
「あ、ちょっとそこのおふたりさん。少しお時間、良いですか?」
 突然、波打ち際で忍と香奈を呼び止める声が響いた。
 振り向くと、佐野 ルーシェリア(さの・るーしぇりあ)アルトリア・セイバー(あるとりあ・せいばー)が意味深な笑みを浮かべて、且つ変な揉み手を見せながら、にへらにへらと近づいてくる。
 しかし、妙な組み合わせであった。
 忍と香奈の目から見ると、ルーシェリアは十歳ぐらいの少女にしか見えないし、一方のアルトリアは、その童顔とは不釣り合いな程に胸が大きい。
 そんなふたりが、一体何の用で忍と香奈に声をかけたのか、といえば――。
「実は私達、さっきまでマッサージ講座を受けてたんですけど、ラナ師匠から実践してきなさいといわれましてですね、胸の大きな方を探して廻っていたんです」
 ルーシェリアのこの説明は、嘘ではない。
 実際、アルトリアとふたりで、巨乳の女性を探し出し、マッサージをしてくるという課題を与えられた為に、浜を行ったり来たりしていたのだ。
 そうして、ようやく見つけたのが忍と香奈の新婚カップルだった、のだが……。
「おふたりとも、お似合いのカップルですね〜。もしかして、新婚さんですか?」
 ルーシェリアは幾分、冷やかすような調子で囃し立てたのだが、しかしよくよく考えれば、ルーシェリア自身も新婚さんという身分なのである。
 あまり、ひとのことをとやかくいえる立場ではなかったが、この日は伴侶不在ということで、結構好き勝手にやっていた。
 尤も、忍にしてみれば、こんな十歳ぐらいの女の子が新婚さんだとはとても思えず、ただ恥ずかしそうに照れるばかりである。
「ルーシェリア殿……そんな、子供みたいな恰好で新婚さんをからかうのは……あ、いえ、何でもないです」
 アルトリアは、いいかけてやめた。
 いや、いっていること自体は至極真っ当なのだが、ルーシェリアが相手だと、少し事情が異なる。
「折角だから、旦那さんも奥様の体をどう揉んで差し上げれば気持ち良くなるのか、この際一緒に勉強されては如何ですか〜?」
 (見た目)十歳の女の子から、物凄い爆弾発言が飛び出してきた。
 忍と香奈は、その勢いにすっかり呑まれてしまっており、結局、海の家の座敷でルーシェリアとアルトリアの手ほどきを受けることとなった。
 一応断っておくが、別にいかがわしい真似をしよう、という腹積もりは、ルーシェリアにもアルトリアにも無い。
 ただ純粋に、マッサージを実践しようというだけの話である。