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デート、デート、デート。

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デート、デート、デート。
デート、デート、デート。 デート、デート、デート。 デート、デート、デート。 デート、デート、デート。 デート、デート、デート。

リアクション


●プール青春模様

 さてジェイコブ・バウアーの話に戻ろう。
 彼は現在、飛び込み台への梯子を必死になって登っていた。
 ――うをををををーーーー!?
 どうしたというのかジェイコブ・バウアー、彼は普段の冷静さを失い、超絶高すぎ飛び込み台のてっぺんを目指している。
 どうしたというのか、というなら、彼の同行者フィリシア・レイスリーも今日は一体どうしたというのか。恥ずかしがり屋のはずの彼女が今日はとてつもなく大胆で、ウォータースライダーではどさくさ紛れに抱きついてくるし、プールサイドのデッキチェアでは、うつ伏せになりブラを外して日焼け止めを塗って下さらないと言ったのである。
 感触、香り、そして目に入った光景、そのすべてがジェイコブを『うをををををーーーー!?』させるに十分だった。
 煩悩よ去れ、ジェイコブ・バウアーは自身を叱咤し、目が眩むほど高すぎな飛び込み台から遙か下のプールへとダイブした。
 鏡のような水面に落ちるまで、驚くほどの時間がかかった。

 まるで二人きりの世界だ。
 閑かなプールに肩までつかり、その冷たい水の感触を味わいながら黒崎竜斗とユリナ・エメリーは、手を取り合って泳いでいた。
 正しくは、ユリナの泳ぎの練習に竜斗が付き合っているという格好になる。といってもそれほど真剣なものではなくて、互いに意識せず自然に手を繋ぐ方法が、これだというだけのことだった。
 少し中心を離れたプールだからか、この泉のようなプールに他に人の姿はない――ように見えた。
 だがやはり近くの物陰にはミリーネ・セレスティアがおり、
「主殿とユリナ殿のデート、邪魔はさせぬ……」
 とじっと見守っていたりする。
 しかしこのミリーネの鋭い監視の目を、くぐり抜ける狼藉者があった。
「……」
 きゃあ、とユリナはか細い声を上げた。
「どうした?」
 質す竜斗の声に応じず、ユリナは真っ赤な顔でみずからを抱くような姿勢をとっていた。
「本当にどうした」
 ここで竜斗は絶句した。
 セパレートになっているユリナの水着、その上半身部分の紐が、水面にぷかりと浮いているのが見えたのだ。紐だけではない、本体が笹舟のように揺れている。
 つまり、現在のユリナは……。
 そのか細い肩は剥き出し、日焼けを知らぬ真珠の肌もさらされていた。ユリナがその腕をどけさえすれば、大変なことになるのは彼にも存分わかった。
 その小さな騒ぎ(無論規模は小さくとも大変なハプニングなのは事実だが)はすぐに、大騒ぎに取って代わられた。のである
「ええい! セレン殿、ついにやりおったな!」
 隠れていた場所からミリーネが飛び出した。ずいぶんキツキツのスクール水着姿で。
 そして、
「作戦成功だぜ! リュウがどこまで対応できるか見ものだなぁ〜」
 同じく近くから、釣り竿を片手にセレン・ヴァーミリオンが飛び出してきたのだった。
「つまらぬことを! ええい待たぬか!」ミリーネが豹のように追う。
「待てと言われて待つ恋泥棒がいるか!」セレンは脱兎、ひたすらに脱兎だ。
「そんな名乗り恥ずかしいと思わんのか!」
 かくて二人は姿を消してしまった。
 あとはただ竜斗と、ユリナだけが残された。
「ええと……」
 やがて彼は、目を片手で隠しながら水着を手にし、そっと彼女に渡したのだ。
「気にするな。俺は気にしない」
「は、はい……竜斗さん」
 だが実のところを言えば竜斗の脳裏には、この光景が焼きついてしまっていたのである。
 果たして今夜、彼は眠れるだろうか。