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夏休みの大事件

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夏休みの大事件

リアクション

   エピローグ

 少し、時間を遡る。平太たちの第五班が試験を受け始めた時刻だ。
 明倫館のとある場所に、ミシャグジに通じる洞窟がある。今は封印、偽装されてどこにあるか定かではない。平太が欠片を拾ったのもこの近くだ。
 そこに、三道 六黒(みどう・むくろ)両ノ面 悪路(りょうのめん・あくろ)はいた。ただし、入り口付近だ。
「どうだ?」
「すんなり手に入ったことが腑に落ちませんが、ほぼ情報は出揃ったようです」
 悪路は【ユビキタス】で、クラウドに侵入、<漁火の欠片>や「黒い犬」について纏められたデータを回収していた。
 本来、これほど簡単に侵入できるはずもない。まるで何者かの手引きがあったかのようだ、と悪路は思いながらも、着物の袖に指を入れ、それを摘み出すと、
「なかなか、面白い特性があるようですよ」
と言った。
「何が出来る?」
「他人の嘘を見抜き、姿かたちをそっくりに真似る。ただし、能力や知識までは模倣出来ないようです。それに、同時に使えるようですね」
「ほう……しかし、どう使う?」
「それはいくらでも考えられるでしょう」
「黒い犬については何か分かったか?」
「結論はまだですが、オーソンという元ポータラカ人というのが、有力な説のようですね。ただ、漁火との関係がまだ分かりません」
「漁火か……」
 六黒はにやりと歯を見せた。
「あの女があれで終わったとは思えぬ。彼奴等は持つ力の一端を晒したに過ぎぬ。ならば、その力の全てを晒け出させよう。その上で、我が力に吸い上げる……」
(過ぎたる欲望は、身を滅ぼすぞ)
 突如、頭の中に声が響いた。二人は瞬間、顔を見合わせ、六黒は「梟雄剣ヴァルザドーン」を引き抜いた。
「誰だ!」
(分かっているはずだ。そのためにわざわざ手を貸してやったのだからな)
 林の中から、二人の人物が現れた。一人は、白いローブのような物を纏っていた。肌も白く、髪は金色で腰より長く伸びている。瞳は灰色で、線が細く、男か女か分からない。
 頭に直接語りかけているのは、この人物のようだった。
(事前に知っておいたほうが、理解はしやすいだろう)
「まさか――オーソンですか?」
 たった今、見たばかりの情報の中に、黒い犬から人間の姿に変わったオーソンの写真があった。【ソートグラフィー】で写したものであるから、正確さについては疑問が残るが、目の前の人物によく似ていた。
 そして今一人は、紛れもなく女性だった。口を開いた瞬間、それが誰であるか、今度は六黒にも分かった。
「お久しうござんすねえ、旦那方」
「――漁火
 女はにんまりと笑みを刻んだ。

担当マスターより

▼担当マスター

泉 楽

▼マスターコメント

泉 楽です。「夏休みの大事件」リアクションをお届けします。
今回のメインは、試験、漁火の欠片及び黒い犬についての調査の三つです。これらを交互に書いています。
試験は人数の都合上、三人体制となりました。第一関門は、三人の内、一人でもクリアできるスキルや道具があれば突破、そうでない場合は減点となっています。「一人クリアしても、残り二人は?」というツッコミもあるかと思いますが、このゲームの性質上、と目を瞑ってやってください。
またチームの組み合わせは、平太以外は適当に組んであります。他意はありません。ご了承ください。

以下、<漁火の欠片>についてのまとめです。ネタバレになりますのでお気を付け下さい。

現在、<漁火の欠片>の持ち主として判明しているのは、
・ベルナデット・オッド(本来の持ち主は北門 平太。ベルナデッドが持ったまま、行方不明中)
・宇都宮 祥子さん
・戦部 小次郎さん
・両ノ面 悪路さん
以上の四名です。この内、PCの皆さんが知っているのはベルナデットと宇都宮 祥子さんの二名のみで、戦部 小次郎さん、両ノ面 悪路さんの所持に関しては、PL情報となります。

欠片の能力は、
・他人に化けられる。どんなスキルを使っても見破れないが、能力や記憶の模倣は不可能。
・嘘を見破る。ただ「嘘をついている」ことだけが漠然と分かる。変装やスキルを使った変身なども「嘘をついている」として見破れるが、欠片を使って化けている相手が対象の場合は不可。
・痛みを感じない。
・怪我をしたときの回復が早い。リアクション上で重傷を負っても、時間が経てば再び動けるようになる。
以上、四つです。これは、PC全員が知っているとして構いません。
誰が持っていても、効果は同じです。欠片の持ち主がその旨をアクションに書いた場合、そのリアクション内においては、他PCでも使用できるとします。

今回の話はこれで終わりですが、物語自体は実は続くのです。
次回、どうなるか分かりませんが(本当にまだ分からない)、またお会いしましょう。その時は、よろしくお付き合いください。