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無法者と怪盗と契約者と

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無法者と怪盗と契約者と

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■帰路(夜明け前)


「なんか無駄になっちゃいましたね、この予告カード。ちょっと残念です」
「ホントにやるつもりだったんだ……」
「でも香菜ちゃんをいっぱいぎゅっとしたから大満足です」
「……」

 柚は『香菜ちゃんの心を頂きます。』と書かれているカードを手にしながら、三月と帰路についていた。


「セレスの心が盗まれちゃうのも、しょうがなかったのかな」

 皆と別れて歩く理沙が独り言をつぶやいていた。

「まあ、事件も丸く収まったし、あとはセレスが返ってくるのを待つだ……け……」

 はっとして止まると、震えて頭を抱え込む。
 顔からは真っ青と言っていいほど血の気が失せていた。

「それまでの晩御飯はどうするのよおおお」


「マスター、どことなく嬉しそうですね?」
「さっき雅羅の結晶がさ、伝えてきたんだ。私が納得して了承したんだから、この件は終わりってね」
「それが嬉しいのですか?」
「どこまでもまっすぐな人だなって、それがちょっと嬉しくてね」

 手をつないだ帰り道。
 クスリと笑う大助に、七乃もまた嬉しくなって握る手に力が入るのだった。


「さっきのアレ、本気で言っていたのか?」
「ん? アレって?」
「別れ際、ユートピアに何か話しかけていただろう」
「ああ、あのことね」

 前を歩いていたルカルカがくるりとダリルに向きかえる。
 その顔には不敵な笑みが浮かんでいた。

「普通に悪いことをする怪盗なんて溢れすぎていてつまらないじゃない? だから『どうせ怪盗をするなら目に見えて良い事をする怪盗になりなさい。そうしたら許してあげる』って言っただけよ」
「犯罪を助長させる気なのか?」
「ダリルも気付いていたんでしょ? あの子が攻撃を受けていたとき、反撃して隙を作れば逃げられたはずなのに、自分からは決して攻撃しようとしなかった。そういう子は嫌いじゃないわ」
「やれやれ……」

 ととと、と先に行くルカルカを、ダリルはゆっくりとした足取りで追いかけた。


担当マスターより

▼担当マスター

和泉 水晶

▼マスターコメント

こんにちは、こんばんは、おはようございます。和泉 水晶です。

久しぶりのシナリオとなりますが、いかがでしたでしょうか。

今回はさっくりと書けるかな……と思っていたのですが、皆様が作る物語、というのを再確認させられました。
参加してくださる皆様のアクションで、話の流れはどんな風にでも変わっていきます。
それが楽しい部分でもあり、難しいところでもあると実感いたしました。


それではこの辺で。また皆様にお会いできる時を楽しみにしております。