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食材自由の秋の調理実習

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食材自由の秋の調理実習

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序章



 座席表を家庭科室の扉に貼り付けて、卜部 泪(うらべ・るい)は満足そうに頷いた。
 参加希望の生徒達から料理名と必要食材の希望をまとめた書類の束を何度も捲りながら道具と食材の最終確認をしている雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)。その隣でなぜか高円寺 海(こうえんじ・かい)がチェック済みの道具と食材をそれぞれまとめていた。
「おー、すごい量だな」
 様子を見に来た山葉涼司(やまは・りょうじ)は教壇側の一際大きな机の上に山と盛られた大量の食材を目の前にして、実りの秋の縮図に圧倒し、思わず声を漏らした。
「生徒さんのやる気が目に見えるようで今から楽しみです」
 秋という単語で生徒たちが求めた食材は唸る程に多彩であった。
「色も艶もいい物ばかりだな。これは期待できる」
「そうですよ。釜飯とパスタと炒め物とカレーですってお知らせしたんですけど、見てください。これだけじゃ足りない、秋はもっともっとおいしいんだって、こんなにたくさん」
 紙束を渡されて、並んでいるリストに目を通した涼司は品数の多さに思わずにやりとする。
「自信のある奴ばかりだな!」
「はい!」
 本当にコンテストができてしまうのではないか。そう取れるほどの生徒の意気込みに二人は深く頷いた。
「あ、カレー班の分はあとででいいわ」
 大鍋を手に持った海を雅羅は呼び止める。
「え?」
「あなた野外の希望だったでしょう? 台車がそこにあるから最後に全部まとめて持って行って頂戴」
 お願いされて、確かにまた教室に戻るのは面倒だと感じ海はわかったと頷いた。



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「はーい。座席を確認してくださいねー。エプロンを忘れた人も何枚か用意しているので借りに来てください。あと、初顔合わせな人もいると思うので、出席を取った時に渡したネームプレートも必ず下げておいてくださいね! それと先に提出してくれたレシピにも問題なかったのでそれに沿って調理してください」
 続々と教室に入ってくる生徒達に料理の基本の作り方をコピーしたプリントと事前に貰っていた生徒が個人で持ち込むレシピを本人に返却している泪が声を張り上げた。
「それとですね。時間はたっぷりありますので、焦らずゆっくり丁寧に調理することを心がけてください。では、みんなで楽しみましょう」
 教壇に立つ彼女は点呼を取り終えると授業の大まかな流れを簡単に説明し、最後にそう締めくくった。