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最強! 煩悩吸収型ホムンクルス!

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最強! 煩悩吸収型ホムンクルス!

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第3章 煩悩の趣味
「ほむ〜せんたーくーばーさーみー」
 ホムンクルスが尚も蒼空学園のいたるところを破壊しながらも、歩き回っていた。
 が、2階まであった背は徐々に縮み、普通の大人の背まで低くなっていた。

「こっちは洗濯バサミだ!!」
「おう!」
 キロスが、一般生徒たちから煩悩を聞き出したり、ホムンクルスのしゃべる煩悩を聞いてははそれに関係する品をあげていく。
 そのたびに紫月 唯斗(しづき・ゆいと)は、まるでハヤブサのような速さで走り出しては、その品を持ってきていた。
「持ってきたぜ」
「さすが……おい、これ女性用下着がぶら下がってるが」
「まあな、その辺から持ってきてるからな。女性用下着がほしいってやつもいるかもしれないから問題ないだろ」
「問題あるだろ! ……ま、背に腹は代えられないから投げておくか」
 キロスは、勢いよく結人から受け取った女性下着付洗濯バサミをホムンクルスへと投げた。
 ホムンクルスの男の子はそれを手で受け取ると、軽く飛び跳ねた。
「ほぉ〜む〜、りあじゅう、りあじゅう……バクハツバクハツバクハツ」
 するとホムンクルスは次の願いを言い始める。
「また、オレの煩悩かよ……」
「さすがの俺も彼女は調達できないぜ?」
「キロスくん」
 唯斗とキロスが話していると横から杜守 柚(ともり・ゆず)が声をかけてきた。
「私、キロスくんの煩悩を叶えたいです。でも、どうやって叶えれば良いんですか?」
「おおう? あーどうすればって言われてもオレにはどうすれば良いのかわからん」
「リア充のカップルを爆発させれば良いんじゃないのか?」
 すかさず横から唯斗が助言する。
 その言葉にキロスは、口を少しあけたまま唯斗を見た。
「あのなー」
「カップル達を応援すれば良いんですね!」
「えっ……お、おう」
 目を純粋に輝かせる柚に思わずキロスは縦に首を振った。
 そのまま柚はカップルを捜して走り出してしまった。
「何か勘違いしているとおもうぜ?」
「……」
 唯斗とキロスは顔を見合わせる。唯斗はおもしろいことになったとばかりににやけていた。

「がんばれー、がんばれー」
 柚はなぜか木の影に隠れて、カップル達を影から応援していた。
「なにをしている」
「カップルの応援ですよ!」
 柚は意気込んだ表情で、カップル達を応援しながら見守る。
 その向こう側でなにやら状況がおかしな事になっていることにキロスは気がついた。

「……」
 女の子らしき人物が微動だにせず、道で立っていた。
 その周辺に三人が囲む形で立っていた。
「……さ、さすがのスコリアもこれは予想外だよ!」
 フユ・スコリア(ふゆ・すこりあ)汗をかきながら驚いていた。
 フユの目の前で微動だにしない女の子は、石化済みだった。
「ど、どうするのこの子」
 ユーリ・ユリン(ゆーり・ゆりん)は焦り口調でフユに言った。
 本来であればホムンクルスによってこの姿に変えられたのはホムンクルス達に追いかけられたユーリのはずだった。
「『かわいい少年少女男の娘を石化させたい!』って煩悩……叶えるとは、ホムンクルスて凄いのですね」
 石化になった女の子をじっくりと観察しながらバンシー・トゥールハンマー(ばんしー・とぅーるはんまー)が言うと、ユーリはゆっくりと頷いた。
 その言葉に、たははとフユは笑ったが、ユーリはため息をついた。
「ここは僕たちが犠牲になって……」
「たち……?」
 ユーリの言葉に素早くフユは後ずさりした。
「スコリアもだよ?」
 ユーリは首を横に傾けながら、笑顔で話した。
「ゆ、ユーリちゃんだけで大丈夫だよぉ〜!!」
 フユは猛スピードで左へ右へと逃げ出した。
 それを追いかけるユーリ。そしてそれを楽しそうにバンシーは眺めていた。

「なんだかカップル応援どころじゃなくなってるみたい?」
 影から眺めていた柚とキロスは表に出ると、駆け回るふたりを目で追った。
「きゃっ」
「っと!?」
 走り回るフユにぶつかり、柚は大きくバランスを崩し、キロスの胸元へと倒れ込んだ。
 キロスが慌てて支える要に手を出したが、そのタイミングが襲ったのか柚を抱きしめるような形になってしまった。
「あ……ごめんなさい。お怪我とかはありませんか?」
「お、おお。そっちこそ大丈夫か?」
 柚はそのまま、キロスはそっぽを向きながら照れ笑いをしあった。が
「……何をしているのかな?」
 突然冷たい声がキロスの背後から響く。
 冷たい視線のようなものを感じ、キロスはおもわず背筋が伸びた。
 キロスの後ろで鬼のような形相で杜守 三月(ともり・みつき)が立っていた。
「あれー、聞こえなかったかなあ? 早く柚から離れてくれない?」
「な、何もやましいことはしてないからな!」
 慌てて、キロスは柚から離れるが、三月の怒りは収まっていないようだった。
「もしかして三月ちゃん怒ってる?」
「別に怒ってないよ?」
 心配そうに柚が訪ねるが、三月は笑顔で答えた。
 さらに恐怖感を覚えながらキロスはゆっくりとその場から逃げようとする。
「どこに逃げるつもり? まだリア充の煩悩が解決してないよ」
 にこやかな笑顔でキロスの首元をつかむと、ホムンクルスへと投げかけた。
「うおおおおっ!?」
「バクハツバクハツ」
 見事キロスの身体はホムンクルスに抱きつく。
「爆弾を」
 静かな口調で三月が言い放つとどこからか唯斗が現れ、どうぞと軽い爆弾を手渡される。
 そのまま綺麗な花火がホムンクルスのそばであがった。

 その数分後、その場所には黒こげになったキロスと。
 がっしりとユーリに捕まえられ、フユが立たされていた。
「ゆ、ユーリちゃんだけでいいよ〜」
「旅は道連れだよ! それに、元はといえば、スコリアのせいでしょ!」
「ふぇええええっ、まって! こ、心の準備がぁぁ」
 スコリアが涙目になりながら暴れる間にもゆっくりと「せーきーかー」などと言いながらホムンクルスが近づいてくる。
 ホムンクルスの手から伸びる白い光が二人を包み込んだ。
「わあ、かわいらしい石像が二体もできましたね〜」
 しばらく木陰に隠れていたバンシーはまったく動かなくなった二人へと歩み寄った。
「本当はこの石化解除薬で簡単に石化をもとにもどせますけど……」
 青色の小瓶を取り出し、それをゆっくりふると再びポケットに直しこんだ。
 そしてユーリの頭の上に銀色のきつねをポンと乗せると、ポケットから今度はデジタルカメラを取り出した。
「かわいい〜っ!!」
 その後2時間近くは動かない二人の撮影会が続いたらしい。