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いい湯だな♪

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いい湯だな♪

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    ★    ★    ★
 
「まだ、パンツを被らない奴らがここにこんなに残ってたか」
 とりあえずのパンツーハットの布教を終えたPモヒカン族たちが、ぞろぞろとホールへと戻ってきました。
 運悪く、ホールの端にいたアルディミアク・ミトゥナたちに絡もうとします。
「これは、纏めて吹っ飛ばすべきかしら」
 せっかくののんびりとした時間を邪魔されたアルディミアク・ミトゥナが、左手に星拳ジュエル・ブレーカーを出現させました。
「ちょっと待ったあ!」
 突然そう叫んで割り込んできたのは、シオン・エヴァンジェリウスとウォーデン・オーディルーロキ(うぉーでん・おーでぃるーろき)です。
「大浴場の平和は、ワタシたちが守る!」
「そうじゃ。裸で乳繰り合っているバカップルの邪魔はさせぬのじゃ!」
 えー、その言い方はないんじゃないのと、アルディミアク・ミトゥナがちょっと戦意を削がれます。
「汚物は洗い流すのじゃあ!」
 そう言うなり、何かの鬱憤でも晴らすかのように、シオン・エヴァンジェリウスとウォーデン・オーディルーロキがPモヒカン族に突っ込んでいきました。
「面白くなってきたじゃないか。まぜろー!」
 当然、ゴチメイたちが放っておくわけがなく、乱戦にまざってきました。これでは、Pモヒカン族たちはひとたまりもありません。
 あっという間に、残っていたPモヒカン族たちは倒されてしまいました。
「さあ、これで、大浴場の平和は守られたわ。これで、心おきなくバカップルしてね」
「バ、バカップル……」
 平然とシオン・エヴァンジェリウスに言われて、アルディミアク・ミトゥナがプルプルと左手の拳を振るわせました。
「どうどうどう」
 アラザルク・ミトゥナがアルディミアク・ミトゥナの怒りを抑えます。大人です。
 ここで、星拳の力を解放でもされたら、さすがにまずいことになります。
「それにしても、ツカサはどこで何をやっているんでしょ」
 ちゃんとスライムを持ってきて、大浴場に阿鼻叫喚を巻き起こすように命令しておいたのにと、シオン・エヴァンジェリウスがちょっとつまらなそうに言いました。
 とりあえず、その月詠司ですが、シオン・エヴァンジェリウスとウォーデン・オーディルーロキが暴れている間に、ちゃんと大浴場の中に入ってきてはいます。スライムも、無事に大風呂や流れるお風呂に放しました。
 
    ★    ★    ★
 
「ふう、さすがにちょっと疲れたわね……」
 お酒を飲んだ後に暴れたので、真っ赤な顔をしながらココ・カンパーニュが言いました。ちょっと、足取りが乱れています。
「そういうときこそ、エステだぜ。さあ、お客さん、カモーン」
 そんなココ・カンパーニュをゲブー・オブインが手招きします。
「あれれ、なんであれ、全裸なんだ!?」
 そんなゲブー・オブインを見て、ココ・カンパーニュが言いました。
 どうやら、ココ・カンパーニュたちには、ゲブー・オブインの腰に巻いているタオルが見えていないようです。バカには見えないタオルなのでしょうか。
「エステぇっ? おっもしろそうじゃん。やってもらおうじゃない」
 バタンと、ココ・カンパーニュがエステ用のベッドに倒れ込みます。
「任せとけって、お客さん。じゃあ、まずはパンツを引っぺがして……」
「穿いてないから平気」
 ロングバスタオル一枚のココ・カンパーニュがあっけらかんと言います。まあ、以前にも、この大浴場ではすっぽんぽんでマッサージサービスを受けたことがあるので、そのへんはあまり気にしてはいません。
「ただし、見たら殺す。変なとこ触っても、殺す。いちおう、うちのメンバーがちゃんと見張ってるからな」
 星拳エレメント・ブレーカーをこれ見よがしにゲブー・オブインに見せつけながら、うつぶせになったココ・カンパーニュが言いました。見回すと、他のゴチメイたちの視線が、ザクザクとゲブー・オブインに突き刺さります。
「じゃあ、次は我かな」
 順番待ちをするように、ジャワ・ディンブラが言いました。どうやら、順番に揉まないといけないようで、これは命がけの重労働になりそうです。
「そ、それじゃあ、揉ませていただきます」
 そう言うと、ゲブー・オブインが横になったココ・カンパーニュの身体を揉み始めました。
「おっ、お客さん、逞しいですねえ」
 意外と肉付きがよくてぷにぷにして見えますが、結構筋肉質です。肉が締まっています。もみほぐすには相当力を入れないと跳ね返されそうです。
「もみもみもみと……。うーん、タオルがあると、うまくもめませんな。とってしまいましょう」
 そう言って、ゲブー・オブインが、ココ・カンパーニュのタオルを剥ぎ取りました。はりのある背中と、プリンとしたお尻がむきだしになります。
 もみもみもみ……。もみもみもみ……。
 ここぞとばかりに、ゲブー・オブインが、ココ・カンパーニュの全身をくまなく揉み始めました。
「おおっと、手が滑ったあ!」
 なんだか、わざとらしく叫びながら、ゲブー・オブインがするりと脇から手を滑り込ませて、たっゆんをわしづかみにして揉み始めます。
「えへへへへへ……」
 至福の感覚に、ゲブー・オブインの顔はとろけそうです。
「で、そういうことしたら殺すって言ったよなあ」
 そう言ったココ・カンパーニュが、ゲブー・オブインの腹に軽く手を当てました。ボンという音と共に、拳圧でゲブー・オブインの内蔵ごと腹が吹っ飛んで大穴があきます。
「うぎああああ、死ぬ、死ぬる……!!」
 血まみれになって、ゲブー・オブインが床の上を転げ回りました。
「――やっぱり、邪なこと考えていたみたいだね」
 他のゴチメイたちと一緒にゲブー・オブインをツンツンとつつきながらマサラ・アッサムが言いました。
「まあ、試してからでよかったですね」
 ペコ・フラワリーが、ゲブー・オブインを蹴って目を覚まさせました。
「はっ、俺様はいったい何を……」
 あわてて腹のあたりを確かめながら、ゲブー・オブインが言いました。確か、大穴を開けられたはずですが、なんともなっていません。無事です。
 どうやら、マサラ・アッサムにその身を蝕む妄執をかけられて、ゲブー・オブインは自らの煩悩で墓穴を掘ってしまったようです。
「というわけで、真面目にやらないとどうなるかは分かっただろうから、いっちょう本番頼むぜ」
 そう言うと、本物のココ・カンパーニュがベッドの上に横になりました。
「わ、分かりやした、お客さん」
 さすがに、ゴチメイ相手では、本気で土手っ腹に穴を開けられかねないと分かって、ゲブー・オブインが真面目に揉み揉みします。とはいえ、背中やお尻や太腿は触り放題ですから、思いっきり役得なのには変わりありませんでした。
 思わず笑いがこみあげそうになるのを、ゲブー・オブインは命がけで我慢しました。
「貴様、なんと羨ましいことを!」
 のぼせて流れる風呂を流されてきたブルタ・バルチャが、それに気づいてむっくと立ちあがりました。
「君の身体が目当てだ。君と繋がりたい。将来的にはゴチメイメンバー全員を僕のハーレムに加えたい!!」
 などと、わけの分からないことを叫びながら、ブルタ・バルチャが流れる風呂の中に大波を蹴たてながら突進してきました。
「まあまあ。元気ですわねえ。燃やしちゃいましょうかあ」
「それが、後腐れないな」
 チャイ・セイロンとジャワ・ディンブラが、火術でブルタ・バルチャを灰にしようとしたときでした。
「はうあっ!?」
 バシャンと水飛沫を上げてブルタ・バルチャが倒れました。そのまま、再び土左衛門のようになって流れる風呂を流されていきます。またのぼせてしまったのでしょうか。
「やれやれ、騒がしいぜ。さて、ちょっと滑りが悪いな。オイルかローションはと……」
 そんな騒ぎをよそに、さらなる揉み揉みを楽しもうと、ゲブー・オブインが周囲を見回しました。
「こんな所にあったか、いつ動いたんだ?」
 用意しておいた赤いローションの入った桶を流れる風呂のそばで見つけて、ゲブー・オブインがそれに手を突っ込みました。
「はうあっ!?」
 そのまま、ゲブー・オブインが流れる風呂に落っこちて、ブルタ・バルチャの後を追っていきました。
 ゲブー・オブインのSPを吸い取った桶の中のマジック・スライムが、うねうねと波立ってそれを見送りました。
「うーん、これでいいのか? いや、やはり、スライムは女の子に絡みついてなんぼだろう。行けー、頑張れー」
 茂みに隠れていた月詠司が、フラワシを使ってスライムをゴチメイたちの方にけしかけようとしました。その背中には、いつの間にか『女の子にスライムをけしかける』と使役のペンで書かれています。もちろん、シオン・エヴァンジェリウスの仕業でしょう。
「い、いた、あれが犯人よ。デリートしなさい、許可します」
 アリアス・ジェイリルに背負われた天城紗理華が、月詠司を指さして言いました。いつの間にか、水着からロングバスタオル一枚に着替えてぐったりとしています。おそらくは、大風呂でマジック・スライムに襲われたのでしょう。相変わらず、マジック・スライムは天城紗理華の天敵です。
「承知しました」
 命令を受けて、風紀委員たちが一斉に月詠司とマジック・スライムに火球を放ちます。
「うぼあ!?」
 ふいをつかれた月詠司が吹っ飛んで、そのまま流れる風呂を流されていきました。もちろん、マジック・スライムは消し炭です。周囲も調べられて、流れる風呂の底に潜んでいたものも、桶に入っていたものも、すべて駆除されました。
「情けない。やはり、またツカサはスライム以下なの。もっと鍛えないと」
「そうじゃのう」
 シオン・エヴァンジェリウスの言葉に、ウォーデン・オーディルーロキが他人事のように言いました。