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【第四話】海と火砲と機動兵器

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【第四話】海と火砲と機動兵器

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 同時刻 迅竜 医務室
 
「はい、必ず。みなさんを助けますっ」
 迅竜の医務室に担ぎ込まれた患者達――電子戦攻撃によって操られた十機のジェファルコンのパイロットたちや、海京の避難シェルターにから迅竜に搬送された負傷者たちに向けて高峰 結和(たかみね・ゆうわ)は宣言した。
「すまん結和!こいつは頼んだ!」
「大丈夫です、引き継ぎます!」
 少しずつ培った自信は力になる。
 アヴドーチカ・ハイドランジア(あう゛どーちか・はいどらんじあ)から任された患者を引き継ぐ結和の声には以前よりも自信が感じられた。
 少しずつ、任せられる範囲が広がっている。
 後進が頼もしくなることは、アブドーチカにとっても喜ばしいことだ。
「ししし、しっかりっ。だ、だいじょぶ、だからっ」
 結和とアヴドーチカが動き回る中、エメリヤン・ロッソー(えめりやん・ろっそー)も精一杯の力で二人を助けていた。
 それでもやはり人手は不足しており、結和たちは大変だ。
 三人と一緒に忙しく動き回っているアンネ・アンネ 三号(あんねあんね・さんごう)
「本当に人手が足りないね。そこが僕の仕事なんだけどさ!」
「でも、こんなに心強い人がこれだけいるんですもの。きっと乗り切れます」
 そう言うのはテレジア・ユスティナ・ベルクホーフェン(てれじあゆすてぃな・べるくほーふぇん)だ。
 元々、海京で看護師として勤務する傍ら天学生をしていた彼女は、避難用シェルターに運び込まれたけが人の救護をしていた。
 彼女のイコンであるイルマタル
 更には、葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)コルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)の運用する伊勢も合流したことで、結和たちが患者を搬送するのに用いる大型飛空艇ドール・ユリュリュズは安全に飛ぶことができたのだ。
「自分達もお手伝いするであります!」
「ワタシたちにもできることがあったら言って」
 吹雪とコルセアも、伊勢のイコンデッキを開放することで収容した市民たちの対応が落ち着くが早いか、救護班のサポートに来てくれていた。
 それだけではない。
 今回、医療班には結和に加えてイルミンスールからジェニファ・モルガン(じぇにふぁ・もるがん)マーク・モルガン(まーく・もるがん)も来てくれているのだ。
 空京と海京を訪れていた所に今回の襲撃に巻き込まれたジェニファたちは事情を知ると、協力を申し出たのだ。
 そうした経緯から、二人は今、ヒール能力を使って医療班に協力している。
「はい。これで大丈夫」
 また一人、怪我人をヒール能力で癒したジェニファは、結和に声をかける。
「結和さんもイルミンの人だったのね」
「ええ。ついこの前まで教導団に留学していたから、戻ってきたばかりですけど」
 会話しながら二人はてきぱきと医療行為をこなしていく。
「でも、迅竜にイルミンの人がいて良かったわ」
「それは私もです。何より、医療班を手伝ってくれる人がいてとても助かってます。ありがとうございます、ジェニファさん」
 言葉を交わしつつ、二人が更に医療行為を進めていると、マークが告げた。
「姉さん、結和様、また新しい患者が到着したようです」
 彼女たちの戦いはまだ続くようだ。