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 現在から数年後。

 四人の美女が住まう素敵なおうち。

 夕食時。
「……リリンちゃん……ご飯まだ?」
 神月 摩耶(こうづき・まや)が椅子に座って台所に立つ裸エプロンのリリンキッシュ・ヴィルチュア(りりんきっしゅ・びるちゅあ)を楽しそうに鑑賞しながら訊ねた。
「あともう少しでございますので、少々お待ち下さいませ」
 リリンキッシュは手を止め、リビングの方に振り返った。
「……リリン様、こちらの準備は出来ましたわ」
 食卓の準備を終えたアンネリース・オッフェンバッハ(あんねりーす・おっふぇんばっは)はリリンキッシュを手伝うべく台所に引っ込んだ。

 台所。

「リリン様、お料理の準備は如何ですかしら?」
 アンネリースはリリンキッシュの背後から抱き締めながら準備の具合を覗き込む。
「お、お料理はもうすぐ出来上がります故、い、今暫しのご辛抱を……」
 リリンキッシュは作業を続けながら答える。
「今日のリリン様、素敵ですわ」
 リリンキッシュの素敵な姿に思わず胸を鷲掴みにし耳元で囁く。そうリリンキッシュの姿は摩耶と伴侶であるアンネリースを喜ばせるためにチョイスしたものだ。
「……って、アンネ様、あ、危ないですから」
 包丁を手に持ったまま驚くも身体を退く様子は無い。
「……リリン様♪」
 アンネリースはリリンキッシュの反応に扇動され、耳元に軽く息を吹きかけたりと悪戯をしていく。
「あ、アンネ様ぁあんっ♪」
 リリンキッシュは頬を赤らめ悶えて声を上げるも嫌がる様子は一切見せず、されるがまま。
「少しお腹が空きましたわ。何か味見をしてよろしいかしら」
 アンネリースはリリンキッシュに密着したまま艶やかに訊ねた。
「あ、味見でございますか? それでしたらあちらの料理を」
 リリンキッシュはサラダ用の野菜を洗いながら出来上がっているおかずに顔を動かした。
 その時、
「それでは、早速味見をさせて頂きますわ……んちゅっ♪」
 アンネリースはリリンキッシュを抱き寄せ深いキスをした。
「ふぁ、あ、味見……って、味見する先が違いますぅ」
 アンネリースから解放されたリリンキッシュは開口一番控え目に言った。
「……一口だけでは味が分かりませんわ。もっと頂けるかしら」
 アンネリースはそう言うないなやリリンキッシュを物陰に引き込む。
「……アンネ様ぁあ」
 リリンキッシュは抵抗せず、そのままアンネリースに身を委ねた。
「リリン様、リリン様ぁっ♪」
 物陰に引き込んでからアンネリースはリリンキッシュを押し倒しエプロンを剥ぎ、遮る物を失い露わになった褐色の肌に口づけをし、隅々までゆっくりと味見をしていく。
「ああ、アンネ様ぁぁ……♪」
 リリンキッシュはアンネリースの唇が触れる度に身体を震わせ、アンネリースの名前をひたすら叫ぶのだった。
 聞こえるのは流しの水が放り出した野菜に当たる音と物陰から聞こえる嬌声ばかり。

「……ご飯、遅くなりそう」
 摩耶は台所の様子を見てぽつりと洩らした。
「……どれもいまいちね」
 クリームヒルト・オッフェンバッハ(くりーむひると・おっふぇんばっは)はソファーで雑誌をつまらなさそうに読んでいた。
「クリムちゃーん♪」
 台所でのいちゃつきを眺めた後、摩耶は甘えるような声を出してソファーで雑誌を読むクリームヒルトに擦り寄った。
「あら、摩耶」
 クリームヒルトが雑誌を閉じてサイドテーブルに置くなり摩耶がちょこんと膝に座った。
「ん〜、幸せねぇ」
 クリームヒルトは摩耶を抱き締め、ピンク色の髪に顔を埋める。視線は台所のいちゃつきを鑑賞中。
「クリムちゃん、何読んでいたのー?」
 摩耶が先ほど読んでいた雑誌についてクリームヒルトに訊ねた。
「つまらない雑誌よ」
 と、クリームヒルトはすっかり雑誌から興味を失い、摩耶の頭を撫でて愛でていた。
 摩耶は雑誌に手を伸ばし、
「へぇ〜、お気に入りとかいる?」
 中身を確認しながら何気なしにクリームヒルトに訊ねた。男女モデルの特集が載っている雑誌であった。
「いないわ。それって確認?」
 クリームヒルトは雑誌を摩耶の手から奪い取り、サイドテーブルに戻した。
「だめ? だってボクはクリムちゃんの可愛いお嫁さんだよ?」
 摩耶は可愛らしく頬を膨らませる。
「いいわよ。摩耶のそんな顔が見られるならね」
 クリームヒルトは返事とばかりに摩耶の頬にキスをした。
 その時、台所の奥から何かが落ちる音共に激しい声が聞こえ空気を振るわし、摩耶とクリームヒルトに薪をくべる。
「クリムちゃん」
 リリンキッシュ達に触発され、何かしたくなった摩耶は身体を入れ替え、クリームヒルトと向き合う形に座り変えた。
「……クリムちゃんが見ていいのはボクだけだよ♪」
 摩耶はクリームヒルトを抱き締め、深い口づけを交わす。
 摩耶が唇を離すと
「あらあら、アンネったら。本当にリリンが好きなのね♪」
 クリームヒルトは艶やかに笑み、今度はクリームヒルトから口づけをした。
 そのまま一つになるかのように強い抱擁をかわしたまま摩耶がクリームヒルトを押し倒した。
「へへへ、クリムちゃん、大好き♪」
「摩耶」
 摩耶とクリームヒルトは手慣れた手つきで互いの服を脱がせ合い、一糸纏わぬ姿で絡み合う。
「……クリムちゃん、今すぐ欲しいの、クリムちゃんが欲しいのぉ……っ。はぁ、クリムちゃんっ、クリムちゃぁんっ……♪」
 摩耶はクリームヒルトを抱き締めたり胸に顔を埋めたりあらゆる所に口づけをして心も身体も満たしていく。
「ちょっ、摩耶ったら。駄目よ、摩耶ぁっ♪ あ、あんっ」
 クリームヒルトは摩耶の唇が肌に触れる度に摩耶を抱き寄せ嬉しそうに悲鳴をあげた。

 それぞれ至上の食事を行っていた。

■■■

 覚醒後。
「やっぱり、ピンク色にしてよかったね♪」
 摩耶は明るい未来を選択して間違い無かったと満足だった。
「……はい」
 言葉少なではあるがリリンキッシュも満足していた。
「当然でしょ。あたし達には明るい未来しかないんだから♪」
 クリームヒルトは十分楽しめたため最高の笑顔。
「……本日は有意義な一日でございましたね」
 アンネリースは体験した未来を振り返り、感想を口にした。