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【祓魔師】イルミンスールの祭典

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【祓魔師】イルミンスールの祭典

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第7章 イルミンスールの祭典 Story3

「“飾りつけ担当”の皆さん〜。大至急、校長室まできてくださぁ〜い」
 祓魔術を担う者たちに集合するよう校内放送をする。
「オイラたちのこと?飾りつけ楽しそうーっ」
「そんなはずないだろ。はっきりとばらすわけないからな」
 大はしゃぎするクマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)の頭を、ポンッとエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)が軽く叩く。
「なるほど。毎年、なんでこの時期にこんなお祭りをやっているのか思えば、こういうことだったんだね」
 涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)も足早に校長室へ向かう。
 扉を開けるとすでにエリザベートが待機していた。
「お待ちしてましたよぉ〜♪」
「封魔術について教えてもらえるかな」
「はぁ〜い♪今年は、2重に敷くことにしましので〜。内側と外側の担当に分かれてもらいますぅ」
「客でない者がやってくる可能性を考えてということだね」
 万が一のことを想定したのなら、内側が最重要ポイントなのだろうと頷く。
「おそらくディアボロスも…」
「えぇ…。なので、出入り口辺りは弥十郎さんたちに担当してもらっているんですよぉ、涼介さん」
 言葉を途切れさせた彼に、必ずといっていいほどありえると言う。
「テスカトリポカを狙うため…?」
 黒のテスカトリポカを奪い返すためなのだろうかと、清泉 北都(いずみ・ほくと)が首を傾げる。
「うーん…。それもあるでしょうが、どっちを襲撃してくるかわからないですからぁ。絶対どっちが〜なんて言えないですぅ」
「北都さん。相手は嘘も言う魔性だよ、言葉に惑わされないようにしないとね」
「そうだったね、涼介さん。気をつけなきゃ…」
「はーい、エリザベート校長。途中で抜けたりしたら…やっぱりなんか影響あったりしますか?」
「封魔術のほうは特に、抜けられると困っちゃますぅ。発動の準備も手間もありますしぃ、詠唱中も集中してもわなきゃいけないですからぁ〜。歌菜さんも、あの子たちが心配なのですねぇ?」
「ちゃんとパラミタで暮らせるようになるのかなー…って」
「あちらのほうも、何人かいるのでー。一応、大丈夫だとは思いますよぉ〜」
「そ、そうですよね。(仲間だもの…信じなきゃ)」
 エリザベートの言葉に“彼らに任せておけば、きっと安心なはず…!”と心の中で呟く。
「校長、祭りには一般客も参加するのか?」
 事が起これば普通の客が巻き込まれるんじゃないかとダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)が想定する。
「えぇそれはもちろん…。本当なら今回は、人型のロボットなどでダミーを用意しようかと考えたんですがぁ。それだと気づかれてしまうかもですからぁ〜」
「ここでサリエルの弱体化を行ってると、感づかれるからか…」
 ディアボロスが紛れ込むなら、すぐに偽者の客だとばれる。
 心苦しくもそう決断しなければならない事態のようだ。
「かといって、犠牲にするわけにはな。カルキの飛翔竜の軍団には、一般人の避難を優先してもらおう」
「んー、やっぱり来るみたい」
 コレット・パームラズ(これっと・ぱーむらず)は“何やら仕掛けてくる”と御信託のお告げを言う。
「エリザベート校長、1つ提案があるんけど。発言いいか?」
「何ですかぁ?」
「ディアボロスを祓うために、彼女を封印するための祓魔術の陣だと嘘をついてみるのはどうだろうか?」
「オヤブン的にはね、驚かせた隙に祓ったらどうかなってことなんだって」
「ううん〜。一輝さん、それだと陣を破壊しにかかってきちゃったらどうするんですかぁ?」
 “驚かせるどころか、必死になって壊そうとしたら…”とエリザベートがかぶりを振る。
「あわわ、オヤブンっ」
「それは考えてなかったな…」
「ちょっ…何!?本物のほうを気づかれるのはまずいって!」
 主の目的を達成できなくなると七枷 陣(ななかせ・じん) が反対する。
「暴れられたら計画があぼーんやないか」
「封魔術に使うものを、脅しとして使うのは俺としても却下だ」
 ダリルも“あまりにもリスクが高過ぎだ”と告げた。
「そ、…そうか」
「ねぇ、オヤブン。時間稼ぎなんだし、それを使うのが問題なんじゃないかな。どうせ嘘なら、偽者作っちゃえばいいと思うの」
「なるほど、それもありか。しかし、手伝ってくれる人手が…」
「俺たち2人でよければ協力するよ、天城くん」
「あぁ、助かる。ありがとう、クリストファー…」
 天城 一輝(あまぎ・いっき)は周りを見て異論がなさそうな様子にほっと息をつく。
「封魔術を教える前に、まだ何かご提案があれば〜。どんどん話してくださいよぉ〜」
「エリザベート校長。ギャザリングヘクスなどの追加魔法でのオプションを加えるのはどうかな?」
「ん〜、封魔術にのせるってことですかぁ?そういうのは〜魔道具の発動条件同様、できないんですよねぇ〜」
「ううーん、やっぱり無理か…」
「提案してくれただけでも感謝ですよぉ♪」
 発言することに意味があるため、エリザベートは肩を落とすエースに、気にしちゃいけないですよ♪などと微笑みかける。
「校長、質問いいか?」
「はぁ〜い、何ですかぁダリルさん」
「今回の術を過去に行使したことは?その反作用の有無、祭典は術と如何なる関連性を持つのかどうか知りたい」
「もちろんありますよぉ〜。サリエルが器を持った時、対応を考えていては手遅れですからねぇ…。それと封魔術による反作用はないですよぉ、祭典はあくまで主となる目的を隠すためのものですぅ〜」
「騒いでいるだけと思われておけば、本当の目的を達成しやすくなる。それに、ここで何か行っていると感づかれても、人の出入りの多さでたどり着けないってことだね?」
「その通りですぅ〜涼介さん!」
 人ごみが多ければ多いほど、追跡から逃れる確立が高くなるのだと告げる。
 無用に騒ぎを起せば、知るべき情報が得られなくなるのは向こうのほうなのだ。
「これから忙しくなるので〜。10分休憩だけとりましょうかぁ〜」
 デスクの小さな砂時計をひっくり返し、砂が落ちきるまで休憩時間とした。