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パラミタ・イヤー・ゼロ ~愛音羽編~ 

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パラミタ・イヤー・ゼロ ~愛音羽編~ 
パラミタ・イヤー・ゼロ ~愛音羽編~  パラミタ・イヤー・ゼロ ~愛音羽編~ 

リアクション

 七階・死返(まかるがえし)の間

 佐々布 牡丹(さそう・ぼたん)が、『オーバーロード』でクローンの培養槽を崩壊させた。八紘零の作り上げた、機晶ゾンビを生み出す悪魔の道具――。
 テクノロジーに対しては人一倍、知識と愛情を抱いている牡丹だが、この培養槽だけは残すわけにはいかない。
「人を苦しめるだけの機械など、あってはならないのです」
 そう言って牡丹は、ディシプリンシスターズと共に、培養槽を黙祷した。


 八階・血返(ちがえし)の間

 蛭の姿にされた愛華羽は、花澤 愛音羽(はなざわ・あねは)の話を聞いてすっかり大人しくなっていた。
「こんな姿で八紘零に利用されているままじゃ、愛華羽が可哀そうだよ。
だから、もう眠らせてあげよう……」
 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)が、愛華羽の頭を撫でながら言った。
「――美羽さん。【根回し】で取寄せておいた、これを飲ませてみるのはどうでしょうか」
 そう言って富永 佐那(とみなが・さな)が差し出したのは、パラミタセラピーバエの幼虫であった。
 この蛆虫は、キメラ状態を癒やす性質がある。生きたまま丸呑みするという荒療治ではあるが、これによってソフィア・ヴァトゥーツィナ(そふぃあ・う゛ぁとぅーつぃな)も今の可愛らしい少女の姿に戻れた。
「う、うぅ……。ちょっと気持ち悪くてかわいそうだけど……。動くご飯粒だと思えば大丈夫だよ!」
 美羽は「えいっ」とばかりに、愛華羽にパラミタセラピーバエの幼虫をごくごくと飲ませた。

 30分後。
 愛華羽の身体は蛭から分離し、もとの少女の姿になる。姉の愛華羽とはあまり似ておらず、とても大人しそうな女の子だった。
「彼の彷徨える魂が主の慈悲とお導きを以て、せめて安息に包まれん事を……。父と子と聖霊の御名に於いて」
 エレナ・リューリク(えれな・りゅーりく)が声祷する。彼女の聖なる声を、愛華羽の魂は子守唄のように聴いたことだろう。

「でも、この蛭も放っておくのは気の毒だよね」
 コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)が、愛華羽と分離した巨大な蛭を見下ろした。巨大蛭も、いわば零に利用された被害者である。
 コハクは【アルティマ・トゥーレ】をかけ、蛭の体を凍らせた。そこへ美羽が『爆砕槌』を振りおろす。
 粉々に砕けた蛭の身体を見ながら、美羽は思う。
 八紘零に弄ばれたすべての命に、安らぎあれと――。


 地下施設

「わぁ……。原発さんのなかって、こうなってるんだぁ」
 儀式の阻止を聞き届けた川村 詩亜(かわむら・しあ)は、こっそりと地下施設を探検していた。
「ねぇねぇ、面白そうな石を発見したよ!」
 川村 玲亜(かわむら・れあ)が、姉にむけて手招きをする。
「あまり勝手に歩きまわったらダメよ。原発さんはとっても危ないんだから」
「大丈夫だよ。マークのついているところは入らないようにしてるもん」
 一応、放射線危険区域には入らないよう注意している玲亜だった。
「そんなことよりも、見てよお姉ちゃん。この石、面白い形してるよ!」
「あら、本当ね……。なんだか、まるでパラミタ大陸みたい……」
 川村姉妹が発見した巨大な石は、パラミタ大陸――というよりは、ニコラ・ライヒナーム(にこら・らいひなーむ)の世界コイルによく似ていた。

「その石の前で裸踊りすると、変な神様がでてくるでありますよ」
 同じく地下を探索していた葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)が、川村姉妹に話しかける。
 どこまでも懲りない吹雪は、調査のふりをして核兵器開発の情報を集めていたのだ。
 石の前で踊れば神様がでてくる――。吹雪の発言に興味を持った川村姉妹は、裸にはならなかったが、さっそく踊ってみることにした。
 しかし。
 世界コイルに似た石は、なんの反応も見せなかった。
「もうっ。なにも出てこないじゃない!」
「あれれ? おかしいでありますな」
 吹雪は首をかしげた。
 この石は、世界コイルとは関係がないのだろうか。
「――ま。なにはともあれ、ここは我々教導団にまかせるであります。きみたちは危ないから、早く出るでありますよ」
 と、こんな時だけ教導団っぽくふるまう吹雪であった。
「あーあ。もっと探検したかったなー」
 吹雪に手を引かれて。
 川村姉妹は、原発の地下施設をあとにしたのである――。

担当マスターより

▼担当マスター

水琴桜花

▼マスターコメント

 水琴桜花です。
 お読みいただきありがとうございました。

 いろいろ書くべきことがあるのですが、時間がかなり差し迫っているため、かいつまんでお話します。

 まずですね、最上階でのパワーの合計値は、敵対アクション抜きで【6717】になりました。
「もうやめて、陽鴻烈のライフはとっくにゼロよ!」 という感じでした!

 また今回、すべてのプレイヤーさんに称号をお贈りします。
 私のシナリオに関する結果報告といった、心ばかりの品ではございますが、思い出のひとつになってもらえたら嬉しいです。

 あと、今回重要な展開がございました。
 三種のギフトである『夜灼瓊禍玉』は、リネン・エルフトさん(SFM0003049)と。
『天殉血剣』は、紫月 唯斗さん(SFM0019404)と。
 本リアクションにて、それぞれ契約するに至りました。ありがとうございます!

 とはいえですね。三種のギフトに関しては、契約だけが絶対的に正しいというわけではなく、それ以外の生き方であっても、本人は満足しているだろうということを、ここに付記させていただきます。


 さらに、本シリーズは次回が最終回となります。
 今回で零が死んだので、「えっ?」となった方もいると思いますが、もちろん零の悪意はこのままでは終わりません。
 まだ八紘零に鬱憤をぶつけたりない人、もっと訴えたいことがある人……。
 最終回にしっかりと対決の場を用意いたします。
 もちろん、彼に協力していただくのも有りですので、そのあたりも含めてご期待いただければなと思います。


 相変わらず時間がぎりぎりになってしまい、お礼もおざなりで、大変申し訳ございません。
 また、最低限のチェックはしておりますが、もし間違いがあればご報告ください。修正いたします。

 このたびは、ご参加いただきまして本当にありがとうございます!
 最終回に、またお会いできたらうれしいです。