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昔を振り返り今日を過ごし未来を見よう

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昔を振り返り今日を過ごし未来を見よう
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■時は、過去


 現在、2024年。決戦の数日前、地球、瓦礫の山が立つ焼け跡。

「ここに来るのは二度目、か」
 シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)は以前訪れた時と変わらぬ、いや以前よりも風化が進んだ気がする散々たる場所を見渡した。ここはシリウスの生家が存在していた場所なのだ。
「……前、訪れた時はここでリーブラに会って……」
 シリウスは遺産相続云々で訪れた時の事を思い出していた。あの日、導かれるように扉を開けた事によって始まった彼女との冒険。
「……今は離れ離れだが、あいつなら元気にしているだろうな」
 就職によって自分は百合園女学院の教師となり彼女は今頃、頑張ってシャンバラ宮殿に勤めているだろうと表情をゆるめ思いを馳せたが、
「……」
 近付く知った靴音にシリウスはゆるめた表情を引き締め、振り向いた。
 そこにいたのは
「来たか、シリウス」
 サビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)。現在共に活動する相棒。
「あぁ、来たぜ、サビク。話をしようじゃないか……覚悟は出来てる」
 シリウスは先程の優しい思い出を振り払い、問いただした。これから語られるのは心楽しいものではないと何となく察していた。それでも聞く必要がある事だと覚悟はしている。
「……話す前に何か気付いた事はあるかい?」
 シリウスの覚悟の目をじっと見てからサビクは話のとっかかりにと訊ねた。
「いい加減、気づいてるよ……いうほど自分が普通じゃなさそうだってのは」
 シリウスは何とも言えぬ顔で答えてから
「誰に聞いてもオレの実家を知るやつはいない、役所の記録は偽造されていた。それでもって……あの、神の力だ」
 視線を瓦礫の山から握り締めた拳に向けつつ細工を施された記録に妙な力に猜疑の言を口にする。
「……」
 静かに自分の話に耳を傾けてくれたサビクに
「……教えてくれ、オレは何者なんだ?」
 シリウスは射殺すのではと思える程金色の瞳を鋭く細めた怖いほど真面目な顔を向けた。
「……関わる所だけ、手短に話そう」
 サビクは静かに瓦礫の山を見やりまずはと
「ここ……キミの生家とされている場所は、研究施設だった」
 最初の真実を明かした。
「……研究施設」
 シリウスは改めて瓦礫の山を見た。生家ではなく研究施設として。
 その横顔を見ながら
「十二星華が女王のクローンという話は覚えているね?」
 と訊ねるサビクに
「……あぁ。それがオレとどう関係が……」
 うなずき、シリウスは恐る恐る話の先を促した。
「その技術を再生に転用しようとした者がいた。新王国の勃興期、内紛やテロで殺された要人……国が安定するまで、わずかでも彼らを生かそうとね」
 サビクはシリウスではなく研究所のなれの果てを見ながら話を続けた。
「……もしかして」
 サビクの話の行き着く先を察しつつも信じられぬ信じたくない様子でシリウスはサビクの横顔をにらんだ。
 サビクはゆっくりとシリウスの方に振り返り
「その通りだよ。キミはその計画で作られた……ボクも少なからず関わっていた」
 シリウスにとってあまりにも残酷な真実を告げ、一枚のレポートを渡した。
 レポートを受け取ったシリウスはさーっと確認し、サビクが明かした核心、自分の正体が聞いた通りであると知ると
「はは……なんてこった。オレもサビクたちと……アイツと一緒だったってか。そりゃ、両親はいねぇよな。おかしいと思ったんだよ……どうにも……運命ってやつは……」
 優しくない話に空笑いをしつつ言葉を詰まらせた。覚悟はしていたが、実際に身に降りかかると胸が締め付けられ、していた覚悟は崩れる。
「……で、結果はどうなったんだ?」
 シリウスはまだ言葉を詰まらせながら訊ねた。
「それは今のキミとこの場所が答えさ。計画は失敗、さらに鏖殺寺院の攻撃で全ては失われた」
 サビクは真っ直ぐにシリウスと研究所跡を見比べて言ってから
「……シリウス、キミは、ボクらとは違う。研究者はキミを実の子のように愛してたそうだ。だから……キミは普通の人でいいんだよ」
 大切な仲間であるシリウスを励まそうとサビクは辛い真実の中にある優しい真実を伝え、少しでもいつものように元気になってくれればと願う。
「ありがとう、サビク……大丈夫だ。ただ……少しだけ……泣いてもいいかな……?」
 言葉詰まらせるにも限界が訪れ堪えていたものが溢れそうになりながら言った。
「……いいよ」
 サビクはそう言うなりシリウスに背を向けた。他人に泣き顔を見られるのは嫌だろうという気遣いで。
「……」
 背後でシリウスの泣く気配を感じながら
「……(……どんな時でも空は青いな)」
 サビクは雲一つない蒼空を仰いだ。