シャンバラ教導団へ

百合園女学院

校長室

薔薇の学舎へ

【第十一話】最終局面へのカウントダウン、【第十二話(最終話)】この蒼空に生きる命のために

リアクション公開中!

【第十一話】最終局面へのカウントダウン、【第十二話(最終話)】この蒼空に生きる命のために

リアクション

 同時刻 迅竜 格納庫
 
 獅子奮迅の活躍を見せる迅竜イコン部隊と綾瀬。
 彼等を押しとどめるべく、スミスは更なる軍勢をけしかける。
 物量を前に迅竜イコン部隊が押されかけた時だった。

「声が聞こえる……仲間達の……人々の声が……悲鳴でも絶望でもない……これは……決して諦める事は無い意思……『希望の心』……私の中に力が溢れる。ありがとう人々よ。貴方達の正しき心が……力をくれる。行こう! ドラゴランダー! バグベアード!』

『ガオオオン!!(オオオオオッ! やられたと思ったものだが…どっこいパワーが溢れるぞ! ハーティオン、こいつはリベンジマッチだ!
一度負けた相手には、我らが二度と負けるわけにはいかん! 真っ二つに叩き割ってやれい!)』
 
「呼ビ声ガキコエル……。鈿女。我輩ハ行ク。ハーティオンガ呼ンデイル。アルティメット・ソウル・オーバテクノロジーエネルギー……ファイナルセーフティー、アンロック。ハートクリスタルエネルギー、フルパワー」
 
 コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)の心に龍心機 ドラゴランダー(りゅうじんき・どらごらんだー)星怪球 バグベアード(せいかいきゅう・ばぐべあーど)が呼応する。
 そして、三つの心が一つになった後、三人はキング・ドラゴハーティオンで戦場へと飛び出す。
 
『【超龍星合体!】! 『宇宙に邪悪が溢れても、心の力が輝く限り正義の光は燃え盛り、いつか銀河を希望で照らす! 超龍星合体!キング・ドラゴハーティオン! 希望の心に照らされて 奇跡と共にここに見参!』
 
『ほう! まだそんな面白いものを残していましたか! けれど、今更それが一つや二つ増えたところで!』
 グリューヴルムヒェンの前に立ちはだかるキング・ドラゴハーティオン。
 そして、ハーティオンは声高に宣言する。
 
『魔鎧鍛冶スミス! 力を競わせる事で互いのさらなる力を目覚めすその思想…それには正しさがあるのやもしれん! しかし、それは互いに競おうとする心……そう、『互いを思いあう心』あってこその正しさ! 貴方の目指す力の境地……その場所は心無き破壊の力だけでは決してたどり着く事能わず!」
 
『それがどうしたというのです!』
『こういうことだ! 魔鎧鍛冶スミス!』
 
 ハーティオンの言葉に続き、バグベアードが迅竜に通信を入れる。
『鈿女。ハーティオンヤ、皆ガ仕掛ケル。迅竜ニ積ンダシステムガ、イケソウナラバ頼ム。ソウ、迅竜ニ関ワッタ、全テノ竜ノ……人達ノ心ヲ一ツニスル……『ドラゴン・ハート・システム』ノ起動ヲ……!」
 
『了解。ぶっつけ本番で起動するわよ!』
『問題ない。全員で勇気を出し合い補えば』
『――100%でしょ? わかってるわよ』
 
 そして迅竜から暖かな光が溢れる。
 
『これは……想いの光! あっ!』
 
 歌菜が驚きの声を上げたのも束の間。
 なんと、今までゼロだった機体のエネルギーがみるみるうちに満ちていき、フルへと到達する。
 
 もう迅竜機甲師団の表情に絶望はない。
 彼等の表情にはただ、希望があるだけだ。
 
 そして、胸に宿った希望を力に、彼等は一斉に動き出す。
 
『まずは私達だ! いくぞみんな! おおおおおッ!』
 先頭に立つハーティオン。
 胸のクリスタルから現れる一振りの剣。
『【聖・心・剣】!』
 彼はその剣を力強く握り締め正眼に構える。
『心通わぬ力がどれほど強大になったとしても、その力が未来を作る事は決してない! 人々の無限大の心の輝き!その身に刻みつけよ! ゆくぞ! 必殺! 銀河!真っ向両断斬りぃぃーーっ!!』
 
 ハーティオンの剣がグリューヴルムヒェンを斬りつけた直後、迅竜イコン部隊の一成攻撃が炸裂する。
 直後、全域通信でエクスの声が響く。

『おい、唯斗、言われていた全竜、そして黒き蛍によるコンビネーション『リヴァイアサンアサルト』のデータは完成しているぞ。全ての竜による一斉攻撃、威力だけで言えば間違い無く最強』
『ああ。今がその時だ』
『うむ。さあ皆、我等の番だ! 既にデータは届いておるな! いくぞ、すべての力を結集した一撃――リヴァイアサンアサルト!』
 
 エクスの号令により、エネルギーをフルまで回復した機体が一斉に動き出す。
 
 心竜と“ツァオベラー”がグリューヴルムヒェンを捕縛し、更にはその防御壁を中和する。
 最初に動いたのは漆黒の二機だ。
 次々に“ユーバツィア”の脱着を繰り返しながら各々の持ち味を活かした攻撃を連続で叩き込む“クライドシュランク”。
 その攻撃が終わるや否や、間髪入れずに“シュピンネ”が前回の戦いで捕獲したシルベルタイプを操り、一成攻撃を仕掛ける。
 次いで放たれるのは艦竜と“カノーネ”による連続砲撃だ。
 巻き起こる凄まじい爆風。その中から鍛竜と“シルト”が飛び出し、ラッシュを叩き込んだ後、殴り飛ばす。
 鳳竜と“フリューゲル”がぞれぞれ紅蓮と漆黒の翼を広げながら追撃、追い抜いたところで双方がビームライフルを放ち、再度吹き飛ばす。
 
 ――そして。
 
 刃を最大まで伸ばした断竜とシュベールト。
 二機が大上段より剣を振り下ろし、グリューヴルムヒェンを叩き切った。
 
『ば、馬鹿な……!』
 もはや声も出ないスミス。
 だが、エネルギーをすべて使い果たして停止した竜と蛍に対し、まだ、彼の機体は動いている。
 
『私の……勝ちだぁっ!』
 声高に宣言するスミス。
 それを遮るようにルカルカが叫ぶ!
 
『まだよ!』
 満身創痍のグリューヴルムヒェン。
 その前に、同じく戦闘で満身創痍となった迅竜が立ちはだかる。
『迅竜! 全速突撃!』
 ルカルカの命を受け、迅竜は全速でグリューヴルムヒェンへと体当たりする。
 正面から迅竜の体当たりを受け、パラミタ内へと押し戻されていくグリューヴルムヒェン。
 それだけに留まらない。
『全武装、一成発射!』
 ルカルカの号令とともに、迅竜は零距離からすべての武装を一斉に発射した。
 
『ああ、これぞ。まさに私の求めていた最強の――』
 満足げな表情と声音でスミスは呟く。
 その呟きはすべて発せられるよりも前に、爆発によってかき消された。