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【蒼フロ3周年記念】蒼空・零 ~1946年~

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【蒼フロ3周年記念】蒼空・零 ~1946年~

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●Interlude part1 -2

 ダークヴァルキリーの翼をはばたかせ、中願寺 綾瀬(ちゅうがんじ・あやせ)は夜の空から1946年の東京を見下ろしていた。
「これで……メインとなる三日間、その一日目が終わったということですわね」
 仮に今、空を見上げる人がいたとしても、遙か高みにある綾瀬を、しかも黒い天使のように黒ずくめの彼女を、見て判別することはできないだろう。
 今日一日、綾瀬は傍観者として、過去から来た者たちが、あるいは、この時代に生きる者たちが、ある者は自覚的に、またある者は我知らず、時代を変えようという悪意に抗っているのを観察してきた。
「過去へ行き、未来を変えようとする者……そして未来を変えさせないために、過去へ行く者……一つだけ確実に言えるのは、そのどちらもが自分勝手な理由で本来の時の流れを書き変えようとしているということですわ」
 綾瀬のまとう衣、その名も漆黒の ドレス(しっこくの・どれす)が問いかけた。
「……どちらもが書き換えようとしている――とは?」
 単純なことですわ、と、黒い目隠しの下の唇を、ほんのわずか、綾瀬は歪めた。
「考えてもご覧なさい。結局のところ、過去へ行き何かしらの行動を行うと言うことは、自分たちが『今』生きている世界とは違う世界を構成することになると思いませんか? なぜなら、過去の時代に『現在の彼・彼女ら』は存在しないので」
 ゆっくりと黒い翼は上下する。まるでこの空をかき混ぜ、混沌の泡を生じさせようとしているかのように。
「まぁ、逆の考えをするならば、どんなに自分たちの意志で『世界を守る為に過去へと行くんだ!』と意気込んで行動しているとしても、それは大きな流れから観てみれば『既に起きていた出来事』なのかもしれませんわね」
「もう少し、わかりやすく言ってもらえない?」
「つまり……昔の肥満様が地球とシャンバラを繋がれたわけですが、それは『未来から来た契約者達の活躍があっての出来事』だったのかも知れない、と言うことですわ」
「そうすると、奇妙なことにならない? 未来からの干渉が過去を作ったのなら、その未来は、どこから来たのか……ということに」
「さて……」
 綾瀬はドレスの問いに答えず、冷たい空気を求めるように高度を上げていった。
「想像するは可能でも、人の身には判らない問いですわね。卵が先か、鶏が先か……うふふ」
 綾瀬は傍観者、あらゆる世界の傍観者。
 過去においても、傍観させてもらうとしよう。
 しかし人よ、知っているか。正義の女神は目隠ししているということを。
「どちらにせよ、今この私にとってこれから起こる出来事は、初めて経験するモノですので純粋に楽しませて頂きますわ」