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【蒼フロ3周年記念】蒼空・零 ~1946年~

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【蒼フロ3周年記念】蒼空・零 ~1946年~

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 闖入者は、白一色だった。
 白ランにアンノウンスカルフェイスという最高に怪しい服装、それが、角材を持ってバットよろしく振り回し、嵐のように暴れている。ぶんぶん角材を振り回すたび、新竜組のヤクザはわっと逃げる。たまに運の悪いのや逃げ遅れた者が一撃を浴びては、オモチャのように吹き飛んでいた。
「あぁ、通りすがりのヒーローだ。気にすんな」
 ヒーローを自称しているが、この男をヒーローと思っている新竜組の手合いはいないだろう。誰もが口々に叫んでいた。
「『白ドクロ』だ! 『白ドクロ』を止めろ!」
 と。
 このとき怪人『白ドクロ』こと柊恭也は、車が入るため正門が開いたのをきっかけに、マスクを被って突入したのだった。彼は最初に秋月葵に出会って以後、ずっとこの格好で新宿ヤクザの盛り場を無作為かつ無差別に襲撃していた。その無茶苦茶な強さは、あっという間に伝説となって広まったのである。彼を見るヤクザが皆、恐怖に駆られているのがその証拠だろう。
 大型車両から降りてきたのは二人組だったが、恭也の大暴れを見ると、うち一人が意味ありげにウインクして先に行ってしまった。(その二人というのは、『人買い』という触れ込みのエース・ラグランツとメシエ・ヒューヴェリアルであった)
 恭也に情報を提供したのが秋月葵であることは言うまでもない。その葵自身、『白ドクロ』に従って襲撃に参加していた。
 雑魚をさっと掃討して、葵は首を巡らせた。
「おっと、目標はあの建物と予想っ♪ それじゃあ〜ミッション開始だよ♪」
 行こう、と彼女は恭也を誘い、二人で階段を駆け上る。

 恭也、葵からやや遅れて、正門に姫宮みことと早乙女蘭丸、六本木優希も到着していた。
 みことは目を見張った。
「え……えと………チヨさん監禁の予想地点……ですよね?」
 ヤクザが多数倒されていた。呻いている者もあるが、大半が失神している。だらしなく口を開けたまま伸びているのもいる。とりあえず皆、息はあるようだがなんだか散々なことになっているではないか。
「待って! ヤクザの生き残りがいます!」
 優希がいち早く二人連れに気がついた。うち一人はなんとも目つきが悪い。彼女はすぐに機転を利かせ、
「私は報道記者です。事件と思われますが、取材させてもらっていいですか?」
 とかしこまった。インテグラルの力を与えられたヤクザは危険な存在だと聞いている。目の前の男たちがそうでないという保証はなかった。敵なら、記者と思わせ油断させてその隙に……。
 ところが杞憂に終わったようだ。
「チヨ嬢を救いに来たってんだろ? 俺たちも渋谷側だ」
 という目つきの悪い男は土方伊月で、温厚そうな連れの男は涼介・フォレストなのだった。
「ここで暴れた人は本殿に突入したようですね。中にいる敵がなんであれ、私たちは退路を絶って包囲していきたいと思っています。皆さんも協力してくれますね?」
 大きめのロイド眼鏡を、ちょんと指で押し上げて涼介は微笑した。

 さて真司、桂輔、アルマであるが、彼らは正面の邸宅ではなく、その離れにある小屋に向かっていた。