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地球に帰らせていただきますっ! ~2~

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地球に帰らせていただきますっ! ~2~
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リアクション

 
 
 
 光差す部屋
 
 
 
 地球に帰郷する東雲 いちる(しののめ・いちる)の足取りは弾んでいた。
「おばあ様、お元気でしょうか」
 年末年始の休みを利用して、いちるは祖母の東雲 エヴァに会いに行くところだ。
 おばあちゃんっ子のいちるだけれど、パラミタに行ってからはあまりに色々なことがありすぎて、1度も会いに行くことが出来なかった。祖母もきっと心配しているだろうし、話したいこともたくさんたまっている。
「いちるの祖母殿に会うのは久しぶりだな」
 ギルベルト・アークウェイ(ぎるべると・あーくうぇい)もパラミタに行くまでの間、いちるの祖母と共に生活した時間があった。
 急に現れたギルベルトに驚きはしたが、いちるが契約した経緯をきちんと話すと、エヴァはすぐにそれを飲み込み、いちるをよろしくと優しく微笑んでくれた。
 その頃のギルベルトは、まだその優しさを素直に受け入れることは出来なかったけれど……今になって、その有り難さが解るような気がする。いちるとパラミタで過ごした日々が、尖っていたギルベルトの心を多少丸くしてくれたのだろう。
 
 見慣れた家までやってくると、いちるは我慢できずに走っていって扉を開けた。
「おばあ様、ただいま!」
 ほどなく軽やかな足音と共に、エヴァが迎えに出てくる。
「お帰りなさい、いちる、ギルベルト。2人とも元気そうね」
 83歳になる祖母は、もともとはイギリス人で、日本人であるいちるの祖父と結婚した。
 代々魔法使いを輩出し、それも女性の方が魔法の才に長けている家系だから、エヴァもまた魔法に対する造詣が深い。
 その為か、エヴァはいちるの可能性を一番良く理解している存在だった。
「寒かったでしょう。すぐにお茶を淹れるわ」
 いちるたちが帰るのを待ちかまえていたように、室内は暖められていた。
 薫り高いお茶を淹れ終えると、エヴァはまぶしそうに孫の姿を眺めた。
「いちるも随分成長したようね」
「ほんと? だったら嬉しいです。私、おばあ様のようになりたくて頑張ってきたんですよ」
 穏やかで魅力ある魔女の祖母に憧れて、いちるはイルミンスール魔法学校に入学した。
 その祖母に成長したと言ってもらえるようになったのは、何よりのことだ。
「おばあ様に話したいことがたくさんあるんですよ」
「私もいちるからたくさんお話を聞きたいわ。パラミタに行ってからどんなことがあったのか」
 エヴァは優しく促して、いちるからパラミタでの話を聞いた。
 パラミタに渡った時のこと。
 イルミンスール魔法学校に入って驚いたこと。
 パラミタで出会った数々の人のこと。
 そして……。
 いちるははにかみながらエヴァに報告する。
「あと……ギルさんにようやく好きって伝わったのよ、えへへ」
「まあ、それは良かったわね」
 エヴァはそう言いながら視線をギルベルトに向けた。
 その視線に照れながらも、ギルベルトはエヴァに約束する。
「これからも、その、大事にする……」
 そんなギルベルトにエヴァは心からの笑みを浮かべる。
「貴方にも光が差したのですね」
 本当にいちるはいい子だわ、とエヴァは愛しくてならないように孫の頭を撫でた。