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リアクション
第5章 昼休みのクリスマスフェア
「よし、クリスマス団子を食べるわよ!」
「なんで団子なの? ケーキじゃなくて!?」
変装をした女の子が2人、商店街に駆けてきた。
「ケーキは後でみんなと食べる。その前に最近食べれていない団子よ、団子! みたらし団子が食べたーい」
赤い髪、赤い目の女の子――高根沢 理子(たかねざわ・りこ)は、団子屋さんにまっしぐら。
「店内で食べるのはナシね。1時間しか時間ないんだから。ええっと……」
もう一人の、緑の髪、青い目の女の子――小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)はきょろきょろあたりを見回して、行く場所を決めていく。
今日はクリスマスイブだというのに、ロイヤルガードの美羽は前日から仕事で宮殿に缶詰状態だった。
なんとかお昼休憩を1時間もらえたので、代王の理子と共にクリスマスフェアで賑わう街へ出てきたのだ。
「おお、可愛いじゃん」
「ね、彼女達暇? 団子なら俺らがおごってやろうか」
「暇じゃないっ」
「ひまひゃなひ!」
ナンパしてきた少年達を突き飛ばすかの勢いで、美羽と団子を咥えた理子は次の店にGOGOGO!
二人とも、蒼空学園の制服を着ている。
普通の制服ではなく、美羽バージョンの制服だ。
かなりきわどい超ミニスカ。
寒いし恥ずかしいとちょっと抵抗した理子だけれど、街に出てからはいつも同様、中がちらりと見えても気にせず、活発に走り回っていた。
そんな彼女達に、女の子を物色中の青少年たちが次々に声をかけていくが。
「ゴメン、時間ないの」
「きゅーけがおわっちゃうー」
話も聞かずに、2人は次の店へ次の店へと飛びついていく。
「ああやっぱり、ミニスカならサンタの衣装ね。これってすっごい可愛いっ!」
「うん、可愛い〜っ。これで仕事しよう、そうしよう!」
美羽と理子はショーウィンドーに飾られていたミニスカのサンタの衣装がとっても気に入ってしまい、1着ずつ購入した。
「んーと、プレゼントは決めてあるんだ」
サンタの衣装を買った後。
2人が突撃したのは、雑貨屋だった。
「ペンとかだと、もっと働けーって言っているみたいで嫌よね。うーん」
「迷うよね〜……あ、この袋可愛い。これも買おっと」
理子が皆に配るプレゼントを選んでいるうちに、美羽はコハクへの贈り物とラッピング袋を購入し、他の物とは別に大事に持っておく。
「よし、これにしようっ」
理子が選んだのは、シャンバラの冬景色の絵葉書だった。
ひとつひとつ紙袋にいれてもらって、大きな袋の中に入れて抱え持つ。
「えっとあとは、ケーキとチキン、ノンアルコールのシャンパンとか調達できる店は……」
道路に出て、商店街を見回した2人は、同時に1つの店に目を留めた。
「あのケーキ屋さん! お洒落〜っ」
「チャンス、急げ!」
同時に言って、決定!
赤い看板の、可愛らしい装飾のケーキ屋に走って行って、列に並ぶ。
昼時であったため、そこまで並ぶこともなく、目的の苺のケーキをゲット。シャンパンも同じ店で購入することができた。
「チキンはどうする?」
「寮で焼こう! 生のチキンくださーい!」
肉屋で注文をすると。
「あいよ。こっちはサービスだよ!」
店長がおまけにクッキーをつけてくれた。
「やった、ありがと〜」
「また来るね!」
理子と美羽は笑顔でお礼を言って、買った物を抱えて歩き出す。
「そろそろ戻らないとね」
「もっと買い物したいけどっ、その分、夜騒ごうね」
「うん!」
互いの顔が見えないくらいの沢山の荷物を持って。
慌ただしく、2人は宮殿へと帰っていく。
短い休み時間に沢山の幸せを詰め込んできた。
ご飯は食べられなかったけれど、お腹いっぱい、胸いっぱいだ。
「さて、仕事頑張らなきゃね、リコ」
「夜、時間作るためにもね、ファイトー!」
顔は見えなくても、互いにすっきりとした笑顔を浮かべていることも良く解る。
そして、夜には……可愛いミニスカサンタの衣装で、皆を驚かせて。
大切な人達と共に、もっと楽しい笑顔を浮かべるのだろう。
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