シャンバラ教導団へ

百合園女学院

校長室

薔薇の学舎へ

シャンバラ一武闘大会

リアクション公開中!

シャンバラ一武闘大会
シャンバラ一武闘大会 シャンバラ一武闘大会

リアクション

 

第四十三試合

 
 
『続いては、ルース・マキャフリー(るーす・まきゃふりー)選手対、大谷文美選手です』
「さて、オレの相手は誰だ?」
 銜えタバコで、ルース・マキャフリーがけだるそうに武舞台に上がってきた。そして、対戦相手を見たとたん、思わず、銜えていたタバコを落としてしまう。あわてて、胸にある銃と剣をクロスさせたエンブレムについた灰を手ではたき落とす。
「うーん、なんで、私ここにいるんですかあ」
 もう半分泣きだしている大谷文美が、たっゆんな胸の前で握りしめた両手を掲げながらイヤイヤをしていた。頭には、でっかい紙風船を載せている。
「さあ、試合開始です」
「試合って……」
 やっちゃっていいのかと、ルース・マキャフリーがちょっと躊躇する。とりあえず、二丁拳銃をむけて撃つが……。
「きゃーきゃー」
 銃弾を避けて、大谷文美が逃げ回る。
「やはり女性は攻撃できませんねえ
 素早く大谷文美に接近すると、ルース・マキャフリーがトンと首筋に軽い一撃を加えた。
「きゅう〜」
「ふむ、女性には優しくが俺のモットーなんですがねぇ」
 ばったりと、大谷文美が倒れる。身をかがめると、ルース・マキャフリーがくしゃりと紙風船を握り潰した。
『勝者、ルース・マキャフリー選手です』
 
 
第四十四試合

 
 
『さあ、次の戦いは、神崎 輝(かんざき・ひかる)選手対、小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)選手です』
ボクは、みんなに希望を与えるアイドル、神崎輝だあ!
 ショルダーキーボードをかかえ持って現れた神崎輝が、観客にむかってアピールした。846プロの制服であるキラキラのステージ衣装が眩しい。頭には、薔薇の花のついたカチューシャをつけている。
「いいわねえ。イッツ、ショーターイム
 華麗に宙返りをしてステージに現れながら、小鳥遊美羽がそれに応えた。その動きがあまりにも素早いために、鉄壁のスカートの下はチラリとも見えない。頭には、紙風船を載せている。
『それでは、試合開始です!』
いくよ。勝負! ボクの心のように、熱く!
 神崎輝が、爆炎波を放つ。
ロケットダーッシュ
 バーストダッシュでそれを避けると、小鳥遊美羽が大きく回し蹴りをして真空波を飛ばす。
「きゃっ」
 神崎輝が、かろうじてキーボードで受けとめる。だが、衝撃で神崎輝のキーボードがバラバラに吹っ飛んだ。
「止め。すっごいのいっくぅよぉ!
 クルンと大きく前転して、小鳥遊美羽が必殺踵落としを放つ。だが、神崎輝がシャウトでそれを迎え撃ちつつ剣を突き出した
 互いの攻撃が交差し、紙風船と薔薇の花が宙に舞った。
「はうう!?」
 勢い余った小鳥遊美羽が、すってんと床に転ぶ。ゴンという音をたてて頭を打ち、気絶した。
ここで、諦めちゃ……。はうう……」
 踵落としを受けた神崎輝の方も気絶する。武舞台に大の字に倒れた小鳥遊美羽の足の間に重なるように倒れた。『おおっと、相討ちです』
 
 
第四十五試合

 
 
『次の試合は、マグナ・ジ・アース(まぐな・じあーす)選手対、テティス・レジャ(ててぃす・れじゃ)選手の対決となります』
「大丈夫です。敵が十二星華だとしても、全ての力を解放したあなたに敵はいません」
 マグナ・ジ・アースの胸に両手をあてた近衛 栞(このえ・しおり)が、そっとパスワードを唱えた。マグナ・ジ・アースの胸のクリスタルが光を放つ。
「うおおおお、みなぎってきたのだ。絶対に勝つのだ!」
「信じてます。敵は空気です。頑張ってください」
「ちょっと待ってよ、今空気って言ったでしょ!!」
 近衛栞の言葉を耳聡く聞きつけて、テティス・レジャが叫んだ。
「内勤が多かっただけなんだから。いくわよ、燦めけコーラルリーフ!」
 テティス・レジャが片手を高く突きあげると、その腕から槍の柄が現れた。穂先にあたる部分から珊瑚が成長するように光条がのびていき、コーラルピンクの三つ叉の槍となる。
「さあ、試合開始です。マグナ・ジ・アース選手はパイクを構えていますので、これは槍対決となります。はたして、先に頭の上の紙風船を割るのはどちらか」
「大地の戦士推参!! いでよ、大地の下部よ」
 マグナ・ジ・アースが、種籾を武舞台に撒いた。そこから、二体の種モミマンが誕生する。
「意外と卑怯なのね」
 三方から迫られて、テティス・レジャが素早く目を配りながら身構えた。
 左右から、種モミマンが一気にやってくる。右の種モミマンに狙いを定めたテティス・レジャが、コーラルリーフを振って、種モミマンを真っ二つに斬り裂いた。倒れた種モミマンが、崩れてただの種籾に戻っていく。
「隙あり!」
 その一瞬をついて、マグナ・ジ・アースが、パイクを叩きつける。かろうじて頭は避けたテティス・レジャの左肩を、パイクの穂先が斬り裂いた。
「このくらい……。コーラルリーフよ、命燦めく結晶よ……」
 無事な右手でコーラルリーフを持ったテティス・レジャが、星槍を掲げた。その三つ叉の穂先が、目映く輝く。
「まだまだこれからよ」
 星槍の力で傷が完全に癒る。両手でコーラルリーフをしっかりとつかむと、テティス・レジャがそれを振り下ろして種モミマンを唐竹割りにして倒した。
「警告する。もうあなたに勝ち目はない!」
 パイクの穂先をかいくぐって走りながら、テティス・レジャが叫んだ。
「な、何!?」
 マグナ・ジ・アースが一瞬怯む。そこへ、懐に飛び込んだテティス・レジャがコーラルリーフを突きあげた。
 頭の紙風船が割れ、のけぞったマグナ・ジ・アースが武舞台から落下する。
「おのれ、だが俺は敗北は認めん!」
 そう叫んだとたん、マグナ・ジ・アースが爆炎につつまれた。
「自爆!?」
 一瞬誰もがあっけにとられたが、もうもうと立ちこめた黒煙の陰に、ナノ治療装置で修復中のマグナ・ジ・アースをテレキネシスで引きずって逃げて行く近衛栞の姿がチラリと見えた。
『勝者、テティス・レジャ選手です』