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コミュニティ・フェスティバル2

 
 
「そこで、何かが現れた。はい、判定して」
 ころころころ……。
「成功です」
 悠久ノ カナタ(とわの・かなた)に言われてダイスを振ったペコ・フラワリー(ぺこ・ふらわりー)が、ちょっと嬉しそうに言いました。
「相手はゴブリンだな」
「わーい、すぐにファイヤーボールをぶつけるのだあ」
「いきなりかい!? それ以前に、ビュリは剣士だったんじゃ……」
 即座に攻撃しようとするビュリ・ピュリティア(びゅり・ぴゅりてぃあ)に、マサラ・アッサム(まさら・あっさむ)が突っ込みました。
「じゃあ、ファイヤーソードで攻撃なのだ」
「だから、持ってないって!」
 懲りないビュリ・ピュリティアです。
「じゃあ、ファイヤーソードで攻撃した気になったが、ただの剣だった。ダメージ判定を……」
 そのへんは、うまく進めるマスターの悠久ノカナタでした。
「うおっ、カナタ、こんな所で何をしているんだ!?」
 魔道書読書会の会場である図書館にむかう途中でちょっとコミュニティスペースをのぞき見した緋桜 ケイ(ひおう・けい)が、予想もしなかったパートナーの姿を見つけてちょっと驚きの声をあげました。
「なあに、誰かいたの?」
 一緒にいたソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)が、テントの垂れ幕を分けて中を覗きました。
「なんだ、カナタじゃねえか。これから図書室行くんだが、一緒に行かねえか?」
 雪国 ベア(ゆきぐに・べあ)が、マスタースクリーンに隠れるようにして座っている悠久ノカナタに聞きました。
「わらわは、今忙しいのが、見て分からぬか?」
 しっしっと、悠久ノカナタが雪国ベアにむかって軽く手を振りました。
「いったい、ここで何をしているんだよ?」
「もちろん、ゲーム同好会の展示で、実際にテーブルトークゲームをやっておるのだ」
 マスタースクリーン、ダイス、キャラクターシート、マップを前にして悠久ノカナタが言いました。よく見ますと、テーブルの上にはフィギュアもいくつか転がっています。
「そんな同好会、コミュニティにありましたか?」
 文化祭のパンフレットをパラパラとめくりながら、ソア・ウェンボリスが首をかしげました。
「同好会であるからな、現在イルミンスールで申請中だ」
 ちょっと言いにくそうに、悠久ノカナタが説明しました。
「なあんだ、幽霊部か」
違う! 単に、絶賛申請中なだけだ」
 雪国ベアに軽く呆れられて、悠久ノカナタが思いっきり言い直します。
「それで、何をやっているんだ?」
「ふっ、『イルミンスールの伝説』という、『イルミンスールの冒険』に続くオリジナルのサプリメントなのだ」
 緋桜ケイに聞かれて、悠久ノカナタがエヘンとチッパイの胸を張りました。
「まあ、と言うわけで、わらわは今忙しいのだ。それとも、ケイたちも入会するか? 今なら、絶賛会員募集中だぞ」
 ひょいひょいと、悠久ノカナタが手招きします。
「まあ、また今度と言うことで。さあ、御主人、さっさと行こうぜ」
 あっさりと、雪国ベアが勧誘を断ってソア・ウェンボリスたちの背中を押しました。
「ああ、ちょっと待つのだ。これ……」