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合コンしようよ

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合コンしようよ
合コンしようよ 合コンしようよ

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    ★    ★    ★
 
「ファッションの素敵な人はいないのかな。きゃわたん」
 謎の擬音を発しながら、立川火星【びぃなす】が周囲のファッションチェックを開始した。まず、ださい白衣などは論外である。ちなみに、火星は【びぃなす】と読む。ちゃんとテロップもついている。「かせい」ではなく【びぃなす】、【びぃなす】。大事なことだから三回言ったので、もう刷り込まれたことだと思う。
「ん?」
 何か、殺気のような物を感じて、もくもくとフライドチキンを囓っていたドクター・ハデスが周囲を見回した。
「気のせいか……」
「んーっと、三姉妹のように、あからさまに派手なのも……。ゴチメイは、ゴスロリとしてはバラエティに富んでいるが、最先端とはもう言えないのだな……。おや、あれは?」
 壁の花と化しているエメリヤン・ロッソーを見つけて、立川火星【びぃなす】があらためてファッションチェックを行った。
 お手製の手縫いらしいゆったりとしたローブ。随所に重ね布や刺繍が施されていて、かなり豪奢だ。整った顔立ちに豪奢な金髪、さらに、頭に生えた角が立川火星【びぃなす】的にトレンドである。
「ちょっと、そこのあなた。なかなかいいセンスをしているではないか」
「ど、ども……」
 突然声をかけられて、エメリヤン・ロッソーがびくっとしながらも、おずおずと答えた。
「特に、その色合い。カラーセンスもいいのだな。シルエットバランスもななかなか。それに、この生地。パラミタカシミアと見たのだよ。いい、とてもいい。これについては、わらわもいろいろと研究しているのだ。だが、それにもまして、その髪。これが大正解だな。わらわのような盛り髪が、ファッションをきわだてる……」
 話しだしたら止まらない。自信の知識をマシンガントークでまくしたてる立川火星に、ひとみしりなエメリヤン・ロッソーがドン引く。
「えっ、えっ……と、あ、あれ……あれ……」
 思い切り言葉に困ったエメリヤン・ロッソーが、離れた所にいる織田信長を指さした。その豪奢な装束はこの集団の中でも結構目立っている。
「おお、あれもなかなか……」
 興味をそそられたのか、立川火星【びぃなす】が離れていく。エメリヤン・ロッソーは、ほっと安堵の溜め息をついた。
 
    ★    ★    ★
 
「わあ、ゆる族の人も参加しているんだあ」
 会場でちょろちょろとしている土器土器はにわ茸やモップス・ベアーキネコ・マネーたちの色物ゆる族たちの姿を見つけて、ゆる族好きの立川るるが目を輝かせた。
「おう、なかなかにスタイルのよい女子じゃのう」
 一人ポツンと椅子に座ってもじもじしているベアトリーチェ・アイブリンガーを見つけて、土器土器はにわ茸が近づいてきた。
「うわっ、変な茸来た。どうしよう、どうしよう……」
 心の中で来ないでーと悲鳴をあげながら、ベアトリーチェ・アイブリンガーがうつむいた。くねくねわきわきとしたいやらしい動きをする茸のゆる族など、生理的に受けつけない。
「む、コハク、何かあったらすぐに飛び出すわよ」
「もちろん」
 じっとベアトリーチェ・アイブリンガーを見守っていた小鳥遊美羽とコハク・ソーロッドが、いつでもバーストダッシュで土器土器はにわ茸を銀河の果てまでぶっばそうと身構える。
「そこのおぜうさん!」
「は、はい」
 ついに土器土器はにわ茸に声をかけられて、ベアトリーチェ・アイブリンガーが小さく悲鳴をあげる。
「わしの真理子は、どこにおるかのう?」
「はいいっ!? 吉井さんなら、あっちのテーブルに」
「おう、すまんのう」
 道? を聞いただけであった。
 どっと、ベアトリーチェ・アイブリンガーが脱力する。思わず、小鳥遊美羽たちも転けた。
「ところで、おぜえさん、いいスタイル……」
「ひー」
 まだ終わってなかったのかと、ベアトリーチェ・アイブリンガーが顔を引きつらせたとき、ガウタマ・シッダールタがやってきた。
「スタイルですかな」
「その通り。均整のとれた、ミロのビーナスのようなスタイルが理想であり、真理じゃけん」
「真理! その言葉を待っていました。ここは、なぜか真理について話す人が少なくて。どうですか、あちらで、たっぷり真理について語り合おうではありませんか」
「い、いや、わしは、真理子の元に……」
 戸惑う土器土器はにわ茸の背を押していきながら、ガウタマ・シッダールタが軽くベアトリーチェ・アイブリンガーに会釈した。どうやら、助けてくれたらしい。
「あっ、ちょっと優しい人かも……」
 ガウタマ・シッダールタの後を視線で追うと、予期せずしてブルタ・バルチャの姿が視界に入ってきた。
「ひっ」
 おどろおどろしい魔鎧然としたその容姿は、生理的に受けつけない。いったいどこに視線をむけたらいいのかと、ベアトリーチェ・アイブリンガーが頭をかかえた。容姿としては、百歩譲って、ピンクモヒカン兄貴のゲブー・オブインあたりが限界である。
 ベアトリーチェ・アイブリンガーが再び顔をあげると、向かいの席に誰かがちょこんと座った。
「お菓子食べていい?」
 リリ・スノーウォーカーのテーブルのお菓子を食べ尽くしたノーン・クリスタリアが、追加が来るのを待ちきれずに食べ物の余っているベアトリーチェ・アイブリンガーのテーブルにやってきたのだった。
「ええ、どうぞ」
 ベアトリーチェ・アイブリンガーが、笑顔で椅子を勧める。
「ありがとうございます」
 ノーン・クリスタリアにくっついてきた御神楽舞花がお礼を言って椅子に座った。
 お菓子がたくさん残っているらしいと知って、ビュリ・ピュリティアや小ババ様も集まってくる。なんとなく、にぎやかになるベアトリーチェ・アイブリンガーの周りであった。