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合コンしようよ

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合コンしようよ 合コンしようよ

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「立川るるです。よろしくー」
 キマク家の有力者と見込んで、立川るるが魔威破魔三二一にも名刺を渡す。
「これって、なんか役にたつのかよ?」
「ええ、(るる的には)とっても」
 別に女に何かもらってもここではあまり嬉しくないと、魔威破魔三二一が立川るるの名刺をスカートのポケットに捻り込んだ。
「ようし、俺様も、素敵なプレゼントだぜい」
 そう言うと、南鮪が、魔威破魔三二一にパンケチをプレゼントした。ちゃんと、ワンポイントで魔威破魔三二一らしきシルエットのキャラクターがプリントしてある。パンツに関しては、細かいところまで気配りの届く男、それが南鮪であった。
「うう〜ん」
 喜んでいいのかどうか、ちょっと魔威破魔三二一が戸惑う。
 キャラ物のパンツはちょっと嬉しいかもしれないが、男の子から女の子に対してのプレゼントとしてはどうだろう。
「将来作るテーマパークのお土産のサンプルとしてもらっておくわ」
 そう言って、自分自身を納得させると、立川るるの名刺の入ったポケットにパンティーをしまい込んだ。名刺に引っ掛かって、ちょっとポケットから端っこがはみ出してしまっているが、魔威破魔三二一はまったく気づいてはいなかった。
「ヒャッハァ〜! 知っているか、浦安のあれはまだまだ小物。あの乱土の4倍の4倍の4倍の4倍ぐらいのでかさの環亜瑠土が亜米利加には存在するんだぜ、多分空京ぐらいでけえ」
 とりあえず、又聞きと想像で南鮪が適当に言った。
「ふはははは、そんな物はまだまだ小物。このパラミタには、もっと巨大なテーマパークを作る場所があるぜ」
 まだまだ上には上があるとばかりに、グンツ・カルバニリアンが言った。
「先の我が恐竜騎士団と帝国の反逆者の戦いで、アトラスの傷跡にある宇宙港が大きなダメージを受けただろう。おかげで、マスドライバーの運用は正式に中止になったらしい。とはいえ、これだけの施設を遊ばせておくのはもったいない。そこでだ、俺はアトラスの傷跡に一大テーマパークを作るようにラミナ・クロス団長に進言するつもりだ。どうだ、凄いだろうが」
「本当!?」
 さすがに、魔威破魔三二一がその話に目を輝かせる。
 キマクの近くに、そんなテーマパークができるだなんて、夢のようだ。
「ヒャッハー。おいおい、まるで自分の手柄のように言うんじゃねえぜ。そんなアイディアは、他の奴からもごまんとお偉いさんに提出されているんだぜ」
 すかさず、南鮪が突っ込んだ。実際、パラ実生たちは、マスドライバーを最初から遊園地の乗り物の一つだと思い込んでいたので、誤解と妄想が現実になるだけに過ぎない。
「なに、そんじょそこらの奴らと俺とでは、ここが違う」
 そう言って、グンツ・カルバニリアンが自分の頭をちょんちょんと突いてみせた。
「テーマパークの名前は、アトラスに替わりパラミタの大地を支えているドージェ・カイラスを称えてドージェ・カイラス国立記念遊園地、略してドージェランドにするのだ。神と称えられるドージェ縁の遊園地となれば、そこを襲うなどという不届きな輩を牽制できるし、何よりも、ドージェ信者がわんさかと遊びにやってくるという寸法だあ」
「ふっ、俺様だって、負けちゃいないぜ」
 魔威破魔三二一の前で、グンツ・カルバニリアンと南鮪が、奇しくもテーマパークのプレゼンテーションを繰り広げ始めた。
「おいおい、あんまり頭から信じちゃいけねえぜ」
 それをキラキラした目で見ている魔威破魔三二一に、浦安三鬼が釘を刺した。
「口じゃあ、なんとでも言えるもんだ。俺だって、今ある施設を改造するだけなら、どでかいテーマパークを作ってみせるぜ」
「あなたがあ?」
 いったん期待を裏切られているだけに、すっごく疑わしそうに魔威破魔三二一が浦安三鬼に言った。
「とはいえ、実現できなければ、本当に絵に描いた餅じゃん。もう、そういうのにだまされるのはこりごりよ」
「なんだか、俺がだましたような言いぐさだなあ」
 どうして、話がこっちにむくと、浦安三鬼が魔威破魔三二一に言った。
「ここは、やっぱり、実現してもらわないとね」
 魔威破魔三二一は、グンツ・カルバニリアンと南鮪を見比べながら言った。
 
    ★    ★    ★
 
「これが、わしが旅先で撮ってきた写真じゃけん」
 そう言って、土器土器はにわ茸が、吉井真理子のいるテーブルの上に、持ってきた写真を広げた。
「は、はあ」
 吉井真理子としては、いろいろな男性に声をかけられてよりどりみどりという展開を期待したのに、ずっと土器土器はにわ茸に陣どられて、他の男が寄ってこないという、実に悲しい結果になりはてていた。
「最近、気が楽になったろうから、本来の業務に心をはせるのもよかろうに」
 暗に、吉井 ゲルバッキー(よしい・げるばっきー)のことをほのめかして土器土器はにわ茸が言った。ゲルバッキーのことは周知のことなので、たいていの者が顛末を知っている。吉井真理子にとって厄介事が少し減ったのは事実だろう。その分を、他のこと、できれば、自分との恋愛にむけてほしいと、土器土器はにわ茸は示唆しているのである。
「わしも菌類じゃけん、真理子とは相性も抜群じゃ」
 土器土器はにわ茸はそう自称するが、吉井真理子から見れば非食用の毒茸に思えてしかたない。それ以前に、ゆる族なのだから、菌類ではなく、完全な着ぐるみである。
「とりあえず、わしの連絡先として、名刺でも……」
 そう言って土器土器はにわ茸が自分の名刺を取り出したとき、突然どどどどっと駆けてきた者がいた。
「立川るるです。立川るるの名刺をよろしく。空京旅行代理店もよろしく!」
 そう言うと、立川るるが土器土器はにわ茸を押し分けて自分の名刺を吉井真理子に手渡した。
 
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「はうう。誰も声をかけてこない。ここには、運命の人はいないのかなあ」
「そういうこともあろう。だが、待っていては、友達はできないのだよ」
 ポツンとあぶれていた小谷愛美に、シー・イーが言った。他にも、神戸紗千やビュリ・ピュリティアなどが集まって、いつの間にやら女子会のような状況になっている。
 人が多すぎると、逆に埋もれてあぶれてしまう者も少なからず出るのだった。
「商談は失敗かなあ」
「そうなのですか?」
 苦笑いするミルキー・ヘミングウェイに、よく分からないなあとエレーネ・クーペリアが淡々とした口調で聞いた。
「あー、こんな所にいた。立川るるです。ニルヴァーナでのお仕事があったら、よろしくお願いいたします。空京警察の方でも、採用試験がありましたらお知らせください。それと、ミャオ老師の道場は新弟子募集してます? 孤児院で、人手が足りなかったら、遠慮なく声をかけてください。あ、運転のナビゲーター募集していたらよろしく。ええっと、ビュリさんには……」
 名刺を配りつつ、ビュリ・ピュリティアだけは、遊び人になんと言えばいいのかと困ってしまう立川るるであった。