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イコン博覧会(ゴチメイ隊が行く)

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イコン博覧会(ゴチメイ隊が行く)
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リアクション

 
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「ああ、やられてしまったのう」
 アルス・ノトリアが、擱坐したゲイ・ボルグ・アサルトを見て、残念そうに言う。
「まあ、一機撃破であるから、褒めてやるべきじゃな」
 相手も強かったのであるからしかたないだろうとアストレイア・ロストチャイルドがアルス・ノトリアに言った。
「やっぱりイコンは撃ち落としてなんぼよね」
 激しい空中戦に、ちょっとわくわくしながらシルフィスティ・ロスヴァイセが言った。
「いけないいけない、警戒もしなくちゃ……あれっ? あそこに、変なイコンが一瞬見えたような……。一応、ヴィゼントに連絡したおこうかしら……」
『了解した。お嬢や他の者にも、一応警戒するように伝えておく』
 シルフィスティ・ロスヴァイセから連絡を受けたヴィゼント・ショートホーンが、携帯のむこうでそう答えた。
 
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「はあ、やっぱりイーグリットはいいよなあ。イコンって言ったら、空中戦だろ、空中戦」
 シリウス・バイナリスタが目をキラキラと輝かせて言った。
「よし、決めた! 帰ったら旅支度だ。サビク、天御柱学院に行くぜ!」
「はあ? 留学する!?」
 唐突とも言えるシリウス・バイナリスタの宣言に、サビク・オルタナティヴがちょっと面食らう。
「どうせ一機選ぶなら一番いい奴にしたいだろ? 今なら学校同士の関係も悪くねぇし、短期留学で操縦から集中講義受けてこよう!」
「キミってヤツは……、どこまで常識外れなんだ。面白い、やろう。その爆発力、信じてみようじゃないか」
 覇気に満ちたシリウス・バイナリスタに同調して、サビク・オルタナティヴが言った。
 
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「ありゃりゃ、最高スペックの二機が、真っ先にリタイアしてもうたやん。こりゃ、番狂わせや」
 ちょっとほくほくしながら、大久保泰輔が言った。
「まあ、イコン戦は中の人の技量が、大きく結果に反映しますから」
 軽くメガネのフレームを持ちあげて、フランツ・シューベルトが言う。
「それ以外に、機体同士の相性とか、状況もぎょうさん影響するさかい。戦いは水物っちゅうことやな」
 その結果がどうなるのか楽しみにしながら、大久保泰輔が言った。
 
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「いた、獲物だ、獲物。ぶっこわーす。バラバラの、ぐちょぐちょだぜ!」
「きゃー、ますたー、やっちゃって、やっちゃってー♪」
 味方の激しい戦いを回避する形で移動していた是空が、最悪の相手に発見されていた。初っぱなの攻撃を他人にとられたジガン・シールダーズが、飢えた獣のように是空に狙いを定めたのだ。
っ、油断したか……。さっきやられたので、動きが鈍い……」
 高機動を発揮して逃げようとした朝霧垂が、晃龍オーバーカスタムが繰り出したワイヤーにまともに動きを封じられてしまった。
 そのまま光条サーベルの餌食になるかと思われたとき、上空からアサルトライフルの銃弾が降り注いだ。
 是空が動けなくなったのでいつでも倒せるとふんだ桜葉忍のブレイブハートが、先に晃龍オーバーカスタムを仕留めにかかったのである。
「いい雨じゃねえかあ」
 装甲が銃弾を弾く音が、不規則なベルの音のようにコックピット内に響き渡る。
 構わず突っ込んでいった晃龍オーバーカスタムではあるが、さすがにまともに敵を斬る動作はできず、しかたなくショルダーアタックで是空を弾き飛ばした。ワイヤーが絡まって身動きの取れない是空が、転倒してころころと転がっていった。
 なおも、空中から攻撃を続けるブレイブハートに、高速で近づく機体があった。平等院鳳凰堂レオのアイオロスだ。
「味方をやらせはしない!」
 平等院鳳凰堂レオが、ダブルビームサーベルを左右に広げたアイオロスで突っ込んでくる。
「避けよ!」
 織田信長に言われて、あわてて桜葉忍が回避行動をとった。音速を超えて二機がすれ違い、直後にブレイブハートの左フロートユニットが宙を舞って地面に落下した。
 さすがにバランスを崩しながらも、機体がななめのままブレイブハートがマジックカノンを速射する。光弾がアイオロスの残したベーパーを吹き飛ばしたが、本体はすでに遙か彼方に遠ざかっていた。
「避けきれなかったか。速いぞ!」
 追尾しきれずに、桜葉忍が唇を噛んだ。
 だが、一方のブレイブハートの方も、すぐに追加攻撃を与えるというわけにも行かない状況だった。高速すぎる機体は、旋回半径もそれなりの物を必要とする。イコンは現行の戦闘機などと比べて遥かに自由度が高いが、それでも、高速戦闘時の急制動などは機体とパイロットに多大な負担をかけるので実質不可能だ。
「戻ってきたときが勝負だ」
 桜葉忍が晃龍オーバーカスタムを諦めて、空中で敵を待ち構えた。
 
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「あれ、レオくんだよね。頑張れー」
 ジェラール・バリエにだっこされた祠堂朱音が、空中戦を繰り広げるアイオロスにむかって手を振る。
「こ、こら、あまり暴れるな」
 バランスを崩しかけて、ジェラール・バリエがちょっとあわてる。そのとき、遥か高空をそのアイオロスが超音速で通りすぎた。一瞬の沈黙の後に、激しい音共にソニックブームの余波が地面にあった軽い物を勢いよく吹き飛ばした。高度が高いからいいものの、これが低空だったら観客席はほとんど全滅だ。
「うう、無茶しやがって。こっち来んなー」
 ひっくり返されたジェラール・バリエが、祠堂朱音の下敷きになって呻いた。
「朱音、ちょっと不穏な連絡が……」
 ジェラール・バリエが打ち身をさすっていると、横でシルフィーナ・ルクサーヌが祠堂朱音と須藤香住に何やら耳打ちした。