百合園女学院へ

薔薇の学舎

校長室

波羅蜜多実業高等学校へ

幸運の守護札を見つけ出せ

リアクション公開中!

幸運の守護札を見つけ出せ
幸運の守護札を見つけ出せ 幸運の守護札を見つけ出せ

リアクション

「お掃除なのですよー。さっきハズレた人は気の毒でしたけど……」
 緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)は普段は青年の姿をしているが、今は可愛い幼女の姿のハルカちゃんである。巫女をするならば、こちらの方が似合うだろうし。
 ハズレは大抵開けるとプチ被害に合うようになっているのだが、粉が跳んだり発砲スチロールのビーズが跳んだりと散らかってしまう。
 爆発はお守りのハズレとしては値しないし危険だから、という理由で笑って許せる範囲の比較的無害なものが選ばれる。
「わぁ、可愛い」
「お仕事頑張ってね」
 参拝客達に頭を撫でられるのはまんざらでもない。元の姿とは違う待遇も結構楽しいものなのだ。

「ハルカたんだー! ノーマルな巫女服も似合うねぇ」
 佐々良 縁(ささら・よすが)はハルカを見つけるなり、頭をなでなで。まるで撫でればご利益があるような感じだ。
「コントストで上位狙えるかもね」
 佐々良 皐月(ささら・さつき)も縁にならってなでなで。
「そんなにされると頭ぐしゃぐしゃになってしまいますよー」
 ちょっと困り気味にハルカは頭を押さえる。見ている側はその仕草が良いらしく、ループになる。

さささんとこで食事しよう、と佐々木たちの水餃子で二人はお腹を満たす。
「よすが、結構美味しいね」
「でしょ、皐月に食べさせたくて」
 佐々木は「今日は幸せ二人組が来てくれること多くて、良い年になりそう」と言っていた。
 守護札を探しつつ、雑談中心にゆっくりと歩く。
「なんか、デートみたいだね。気のせいだけど」
「え、そのつもりだよ」
 手が触れ合い、手をつなぐ。お互いの手があたたかい。
「じゃあたつみんのとことか行こうか?」
「あ、でも少し、守護札探そう」
「……そうだね、皐月」
 後に石灯籠の中にあった【学業成就】【厄除祈願】を見つける。



「はい、熊手は大きいから気を付けるんじゃぞ」
「お題ちょうど頂きますー」
 ルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)イリア・ヘラー(いりあ・へらー)と二人タッグで巫女として熊手や羽子板を売っていた。
 商品とお金の受け渡しタイミングの息がよく合っている。
 凄いと言われると、イリアは「だって自慢のダーリンだもの」とぎゅっと腕を手に取る。
「ほらほら、そんなに抱き付くと服に皺がついてしまうぞ」
「そうだよね。後で写真撮影したいもん。崩れてないかな」
「大丈夫じゃぞ」
 そんなやり取りの中、まわりからは「仲良し夫婦」と太鼓判を押された。



「やりぃっ! セレアナー、守護札こんなに見つかった!」
 セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)は嬉しそうに守護札をたくさんかかえてセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)のもとへ駈け寄る。
「セレン一体どうしたの、その量」
 他は探すのに四苦八苦している人もいる中、はたから見れば強奪でもしてきたのだろうかと思ってしまう。20個ぐらいはある。
「色々探し回ったら結構とれたの!」
セレアナが飲み物調達に行っている間に、取ってきたようだ。
「一人でそんなに持ってると、バチ当たりになるんじゃないの? 一つづつで良……」
 まさかセレンが短時間でこんなに見つけてくるとは、と感心してしまうところでもある。セレアナが言いかけたところで、セレンフィリティは守護札を開けてしまった。

びゅびゅっ

 セレンの顔に水がかかってびしょびしょになってしまった。セレアナはハンカチですぐにふいてやる。
「言わんこっちゃない……」
「ご、ごめん」
 お互い二人分の未開封は取っておいて、多く取ってしまった方は隠し直すことにした。
「ね、帰るまでこれ開けないことにしない?」
「なんで」
「今ここでハズレ引くの怖くて。さっきのは良い行いしなさいって教訓……なのかな」
 ぐぅ、とセレンフィリティのお腹が鳴る。探し回っていたらお腹を空かせてしまったようだ。
「焼きそばとかが美味しそうだから、食べる?」
「食べる食べる! セレアナー、お腹空いた―」
 セレンフィリティは思わずセレアナに抱き付く。
 帰宅後で開封した守護札は【神恩感謝】【厄除祈願】だった。



 焼きそば、フランクフルト、お好み焼き、サンドウィッチ、飲み物。
 メニューが豊富なアクロ・サイフィス(あくろ・さいふぃす)たちの出店は列ができるほどだった。
「お好み焼き一丁できましたよー」
 アクロができあがったものをフィンランに渡す。
 ソースやマヨネーズの食欲を誘う匂いが、香ばしい。
 アクロが料理担当、フィンラン・サイフィス(ふぃんらん・さいふぃす)がそれを手伝いつつ接客。シベレー・ウィンチェスター(しべれー・うぃんちぇすたー)は飲み物担当接客、の三人で切り盛りしている。
「シベレー、飲み物くれる?」
 火の元から手が離せないという理由でアクロが頼むと、ストロー付の飲み物をシベレーはすぐに持っていく。
「どうぞ。水分補給はこまめにしてくださいね」
「わかってますよ。シベレーがいるから大分助かります」
「(私もいるんだけどね)焦がさないように気を付けてねー」
 フィンランはお好み焼きにトッピングをし終えると客に渡す。
 しばらくすると客も引けてくるので、シベレーは「巫女さんたちに差し入れしてくる」と飲み物を配りに行った。
 その帰りで、守護札をみつけたようで、【良縁祈願】【学業成就】を拾った。
 良縁はもう叶っているし、フィンランに渡してあげようかな。