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遺跡に眠る謎と託された想い

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遺跡に眠る謎と託された想い

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第五章 見つけたわ! 

「ほんと、調査隊はいったいどこまで行ったのかしら……」
「私達、結構遺跡の奥まで来たと思うわよ」
そう愚痴をこぼしながら行方不明になった調査隊を探すのはセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)の両名である。
「それにしても拾った調査隊が落としたものって……なにかおかしいわよね?」
「どういうことかしら?」
「武器とか盾とか、そういった装備品が落ちているのに回復系の道具が1個もないのよ」
「敵から逃げるのに必死だったとかじゃないかしら?」
「うーん……それでも何か引っかかるのよね……。それに魔法使い系の装備品も落ちてないのよ」
「確かに少し不自然ね」
彼女たちが拾った調査隊の道具を見て、セレンフィリティは首を傾げた。
しばらく歩くと二人は少し開けたエントランスのような場所に出た。
「ここは……」
「セレン、あれを見て!」
セレアナの指差した先には行方不明になっている調査隊がまさに疲労困憊といった様子でうずくまっていた。
「……君たちは?」
「調査隊……でいいのよね? 助けに来たわ」
「ほっ、本当かい!?」
助けという言葉で調査隊のメンバーはようやく笑顔を見せた。
「喜ぶにはまだ早いわ。喜ぶのはここを脱出してからにしましょう。もうじき他の救出班がくるから、もう少しの辛抱よ」
「傷ついた人は私に言って。治療するわ」
そう言うとセレアナは傷ついた調査隊を回復魔法で治療しはじめた。
「やっぱり携帯電話とかの連絡手段が断たれていると不便ね」
「そうね。じっと待つしかないものね」
「あっ、あの……」
セレアナから治療を受けた調査隊の一人が申し訳なさそうな顔で
「ところで二人はどうしてそんな恰好をしているのですか?」
と、質問してきた。
「セレン、後で話があるわ……」
「いつものことじゃない。気にしない気にしない」
そう言いながらセレンフィリティは調査隊が手に入れた遺跡についての情報をまとめていた。
「……はぁ」
「苦労が絶えないのですね……」
「心配ありがとう。治療終わったわよ」
「ありがとうございます」
二人は他の救出班が来るまでひたすら情報収集と治療に専念したのであった。

****************************************

「……この音は」
「あっ、もしかして調査隊の方ですか!」
セレンフィリティ達の元にどうやら救出班が到着したようだ。
「ルカルカね。一応治療は一通り終わらせたわ」
「ありがとう、セレアナ」
そう言うとルカルカは外で待機している淵にテレパシーによる通信で調査隊が発見されたことを報告した。
「……淵、調査隊の人たちを発見したよ! 今から脱出するから搬送の準備お願いね!」
「あぁ、わかった。準備を進めておく。任せておけ」
頼もしい相棒の声をきいてルカルカは接続を切った。
「調査隊の人たちを脱出するなら僕が同行するよ。ヴォルフラム、大丈夫だよね?」
「はい、救出路は確保できています。」
「それじゃあ、お願い! これ調査隊の人たちの名簿だから全員いるか確認するのに使ってね」
「ありがとう。助かるよ」
堀河 一寿(ほりかわ・かずひさ)ヴォルフラム・エッシェンバッハ(う゛ぉるふらむ・えっしぇんばっは)は調査隊を脱出させるために準備をしようとした。
「まっ、待ってください!」
すると調査隊の青年が何やら話があるということで彼らを引き留めた。
「この遺跡の最奥にいる守護者に僕らは倒されてここに避難していたのですが、倒そうとしても普通の攻撃はほとんど効きません」
「えっ、それじゃあどうすればいいの……」
ルカルカは不安そうな声で呟いた。
「あっ、でもダメージを与える方法は見つけました。けれど僕らがその方法を発見した頃にはもうみんなボロボロで……。なんとかここまで逃げてきたのです」
「それで、その方法は何かしら?」
セレンフィリティは食い入るように彼の言葉に耳を傾けた。
「理由はわかりません。けど、守護者は回復魔法でしかダメージを与えられないのです」
救助班のメンバーは全員驚いた表情を浮かべた。
「そんなこと、あるのですね……」
ヴォルフラムは守護者という存在にどうやら興味が湧いたようだった。
「それにあの守護者、僕らを倒すというよりは何かを守っているように見えました。きっと守護者はなんらかの意思を持って動いていると思います。なので、できる限りでいいのでその意思を確かめてきてほしいのです」
調査隊の人たちは深々と頭を下げてお願いしていた。
「わっ、わかったわよ! だから頭を上げて!」
セレンフェリィティ達はこれを快く承諾した。

「それじゃあ僕らは彼らを連れて外へ脱出するよ」
「セレンフィリティさん、もし守護者の意思が分かれば後で教えてもらっても構いませんか?」
「わかったわ」
「ありがとうございます」
一寿たちは脱出の準備が完了し、彼らを連れて脱出に向かった。
「待ってー! ルカもついていくよ!」
「いいのですか? ルカさんはセレンフィリティさんたちについていかなくても」
「うんっ。それに外にいる淵と連絡取れたほうが便利かなーって!」
「しかし……」
「ヴォルフラム、いいじゃないか。二つに一つ……「両方」なんて、欲張れないさ」
「そういうことだよっ! ルカの事は気にしないで早く脱出しよ!」
「わかりました。ではこちらです、先を急ぎましょう」
そういうと3人は調査隊を連れて脱出に向かうのであった。