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リアクション
五章 金を目指して
「へっへっへ、あの占い師が連れてきた占い師の占いも当たるもんだな」
「あの、海京の母って名乗っていた奴か? そうだな、そのおかげで親分の為に金を持っていけるぜ」
赤いフード付きコートを着た二人組が金庫室で金を詰めていた。
「ああ、そいつのおかげでここには何時も以上に人がいる。そのおかげで金を持っていく時間もできたな」
――ガチャ
突然、金庫室のドアが開いた。
「誰だ!」
「動かず、武器を捨てるであります」
ドアを押しながら、パンドラガンを構え葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)は、二人組の前に立った。
「貴様! 何者だ!」
二人組は床に袋を置き、一人は銃、もう一人は刀を構えた。
「この際ですので活動資金を稼いでおくでありますよ」
「貴様こそ銃を……ぐっ!」
ゆっくり吹雪に近づこうとすると二人は、急に倒れ気絶した。
「悪党からさらに強奪するとは……」
二人が立っていた位置のすぐ後ろに隠形の術で姿と気配を隠していたイングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)が、レーザーマインゴーシュを二振り構え立っていた。千里走りの術で後ろに回り込み、剣の柄で二人を気絶させたようだ。
「金目の物を詰めるであります」
そう言うと、吹雪とイングラハムは二人組が落とした袋に金を詰め始めた。
「おばあちゃん、急がないと戦いに巻き込まれちゃうよ」
そう言うと、朋美とトメは吹雪とイングラハム居る金庫室に入ってきた。
「敵でありますか?」
「キミ達こそ、泥棒?」
朋美達と吹雪達はそれぞれ、戦闘態勢に入った。
「ボク達は、報酬としてお金を少し貰うだけだよ。残りはどうなっていいから、少しくれないかな?」
「ダメであります。ここにあるのはすべて、自分達の活動資金であります。びた一文も上げるつもりはないでありますよ」
朋美と吹雪が睨み合っていると奥の壁が砕かれ、赤いフード付きコートを羽織った男が現れた。緑色の機械でできた右腕を突き出すように現れた男は、フードから同じ緑色の髪を覗かせながら朋美と吹雪達の方向を見ていた。
「侵入者が居ると見てきたが、海京の母一行も居ましたか」
男は、腕に付いた埃を落としながら腕を引き、腰を落とし突撃の構えをし、
「丁度いい、君達もついでに消せれば、何かと都合がいい、一緒に死んで貰いますよ。」
吹雪と朋美に飛ぶように向かってきた。
「吹雪! 先に行くのだよ! 後で落ち合おう!」
「分かったであります!」
イングラハムは二振りのレーザーマインゴーシュを胸の前でクロスする様に構え、男の攻撃を受けた。
「お金が目的じゃなかったし、おばあちゃん! ボク達も逃げよう!」
吹雪と朋美、トメはドアから逃げていった。
突撃の衝撃で埃の舞う部屋で一人佇んでいた男は、埃が収まりイングラハムがいるだろう場所を眺めた。
「三人逃がしましたか。まあいいでしょう、一人は始末することができましたから……おや?」
イングラハムは壁にぶつかる瞬間、二振りの剣で何とか軌道をずらし、壁に叩きつけられずに済んだ。そして、隠形の術と千里走りの術を使い、逃げることに成功したようだ。
「こちらにも逃げられましたか。」
男はドアに背を向け、元来た場所に戻っていった。
六章 占い師を目指して
「うぉー!」
「占い師様のため!」
長原 淳二(ながはら・じゅんじ)が廊下を曲がると、赤いフード付きコートを来た二人組が襲いかかった。
「おら! どけぇ!」
淳二は腐敗の呪杖を走りながら構えアルティマ・トゥーレで冷気の風を起こし、二人を吹き飛ばした。
「先程から待ち伏せが多いですね」
「ああ、これで十人目ですね」
後ろから追いかける山葉 加夜(やまは・かや)が淳二に声を掛けた。
「止まれ! 小僧!」
淳二達が廊下を走っていると、道を塞ぐように男が立っていた。男は赤いフード付きコート着ており、右手に全てのものを吸い込むような黒い色の両刃の剣と左手に同じ黒い色の本を持って立っていた。
「待てと言って、止まる馬鹿がいるかよ!」
そう言うと、淳二は再度アルティマ・トゥーレで冷気の風を起こした。しかし、道を塞ぐ男が持つ剣を振るうと冷気が元々無かったかのように消えた。
「なっ! 魔法が消えた!」
「魔剣士のようネ。あの剣に何らかの魔法を付けているみたいネ」
戸惑っている二人の後ろからロレンツォ・バルトーリ(ろれんつぉ・ばるとーり)が現れた。
「やはりイルミンスールが近いだけはあるな」
そう言うと、男は左の本を開きながらブリザードで氷の嵐を呼び出し、右の剣を水平に薙ぎ剣先からアルティマ・トゥーレで冷気を出し衝撃波のように飛ばし攻撃してきた。
淳二はファイアストームでブリザードを加夜は、歴戦の魔術で衝撃波を飛ばし衝撃波を相殺した。
「くそっ! 後少しで占い師までたどり着けるっていうのに!」
淳二は罪と死で闇黒を放つも男の剣でかき消された。
「みんな、魔法しか使えないからあの男に攻撃できないヨ」
男と三人は攻防を繰り返し、中々先に進めないでいた。
「遅れて登場するのが、ヒーローってものよね!」
「途中で道を間違えたり、敵にやられそうになったのによく言うわよ」
セレンフィリティが【シュヴァルツ】【ヴァイス】で乱射をし、それを援護にセレアナがフロンティアソードでライトブリンガーを放ち、男の持っている剣を弾いた。
男が態勢を戻し、切り返して来る前にセレアナは淳二達がいる場所まで引いた。
「人数的に有利だがここは狭い、防戦に入られるとなかなか抜けれないな。……おまえ、今から俺が霧を作って男が目を眩ませている、その内に横を抜けるぜ」
「分かったネ」
そう言うと、淳二はアルティマ・トゥーレで廊下と天井を凍りつかせ、威力を押させたファイアストームを凍りついた床に当て霧を発生させた。
「目眩ましか、なかなか考えたな小僧! だが!」
「すまんな! おまえを攻撃するためじゃないんだ」
淳二は地獄の天使で闇の翼を作り、男の攻撃が通らない上を通り、淳二が男に声を掛けたことによって上を向いたため、隙をついてロレンツォが脇を通り過ぎていった。
「あなたの実力なら私達と戦えると思いますが、終わる頃には占い師、捕まっていると思いますよ?」
加夜がにっこりと男に声を掛けると、
「ちっ! 命令を守れなかったから後でボスに怒られるな……おい! お前ら今度会ったら容赦しねぇからな!」
男は加夜達を睨めつけながら窓を割り逃げていった。
男をすり抜けた淳二とロレンツォは、占い師を追いかけていた。
「いた! 待ちやがれ!」
淳二が占い師を発見し、追い付き捕まえようとすると、
「きゃぁ、やめて! 叩かないで!」
「占い師じゃないヨ!」
占い師の髪そっくりのカツラを付けた女の子だった。ロレンツォは淳二を止め、女の子が転んで怪我した傷をヒールで直した。
「占い師の野郎! こんな汚い真似しやがって!」
更に激高した淳二は、占い師を捕まえるために走り出し、ロレンツォもそれを追いかけた。
淳二とロレンツォは待ち伏せを蹴散らし、裏口のドアを開けようとしていた占い師を発見した。
「よくここまで来たのう、褒めてやるぞ。……その力、妾のために使わぬか?」
「お断りだ! 何も知らない一般人を利用する奴の仲間になるか!」
淳二は走り出した。占い師は火術で動きを止めようとするが、ロレンツォの氷術で相殺され淳二を止める事ができない。淳二はそのまま占い師の前まで走り、思いっきり殴り飛ばした。