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半透明な少女の願い

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半透明な少女の願い

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   ☆★☆★☆★


「静香様ー!!」

 ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)の声と足音が、城の内部を駆け巡る。だが、彼女の呼び掛けに答える声は無い。

「助けに行きますからねー!!」

 部屋の扉を片っ端から開けては、その中の調度品の影やら裏側など、手当たり次第に調べている。
 その後ろを、光学迷彩で姿を消したまま桐生 円(きりゅう・まどか)が追う。ロザリンドがドタドタと動く事で、出て来るかも知れない隠れたものを、ディメンションサイトで把握する為だ。

「円さん?」

 円の頭の中に、テレパシーでラズィーヤの声が響いた。

「頼まれていた件ですけれど、今、よろしくて?」
「大丈夫だよ、どうだったの?」

 ロザリンドと円は古城に来る前にラズィーヤに調査を頼んでいたのだ。

「お手洗いに清掃中、は、嘘でしたわ。そして不明者は全員、居なくなる直前に向かったお手洗いが同じですわ」

 円はその言葉を、そのままロザリンドへ送った。

「判ったよ、有難…… いったぁ!」
「円さん!?」

 人に気配には気付いていたものの、テレパシーを使っていることで少しの隙があったのか、円は派手にぶつかってしまい、光学迷彩を解除してしまった。

「大丈夫ですか?」

 ロザリンドが駆け寄る。

「あれ、円ちゃんとロザリンドちゃん?」

 円がぶつかった人物、騎沙良 詩穂(きさら・しほ)は、ズレた眼鏡を直して言った。

「こんな所で何を……って、私達と同じですよね」

 ロザリンドの言葉に詩穂は頷く。

「1階から見て来たけど、何かあった?」

 ハウスキーパーで古城をくまなく探索して来た詩穂は、円とロザリンドの2人とは別の階段から上がり、2階で2人に会ったのだ。

「今の所、何も無かったよ」

 円は首を振る。

「じゃあ、後はこの部屋と、駄目なら地下だね」

 詩穂は扉を開け、ハウスキーパーを使う。円とロザリンドも、後に続いた。

「ん……、あれ? 2人共、ここ!」

 少しの後、詩穂は2人を呼んだ。

「私が先に行きます。お2人は後から」

 パワードスーツで全身を包んだロザリンドが、クローゼットの奥に伸びる階段踏んだ。


「静香様!!」
「ロザリンドさん?」


 手足を縛られた状態の桜井 静香(さくらい・しずか)へ、ロザリンドは駆け寄った。

「大丈夫? みんな無事!?」
「怪我は無い様ですわ。ただ、皆、頭が重たいと……」

 円の問いに答えた泉 美緒(いずみ・みお)自身も、そう言って目を閉じる。

「兎に角、此処から出ないとね」

 詩穂は言いながら、倒れている女生徒達の手足を自由にした。