校長室
【十二の星の華】夢の中の悲劇のヒロイン~小谷愛美~
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第5章 事件を引き起こした者 「好きな夢を見られる女王器。しかも、その夢は具現化して現実になる。って言えるほどハッピーな代物じゃないような……」 たまたま夜遊びをしていた桐生 円(きりゅう・まどか)は、蒼空やイルミンスール、百合園でそれぞれ起きた事件のあらましを聞いて、エメネアの元へと向かっていた。 蒼空学園の女子寮で起きた事件は、終幕を迎えたらしく、女子寮らしい姿を取り戻している。 「エメネアちゃん、お話を聞かせてもらいますよぅ」 御神楽 環菜(みかぐら・かんな)を引き連れて、エメネアの部屋を訪れていたのは神代 明日香(かみしろ・あすか)とパートナーのノルニル 『運命の書』(のるにる・うんめいのしょ)だ。 円と、そして夢から戻ってきたトライブもそれに着いて、彼女の部屋へと入っていく。 「こんな危険なものなんで使ってみたか教えてみなさい」 突然の来訪者に驚きを見せるエメネアに、円が直球を投げかける。 「効果を実際使ってもらって話を聞きたい……というのはありましたよー」 「好奇心から、てことかしら? バーゲン禁止にするわよ?」 応えるエメネアに、円が告げる。 「それはいやですー。えっとですね、この女王器は、ちゃんと使えば良い夢を見ることが出来るものです。でも、今回は愛美さんやミーミルさん、瀬蓮さんが、それぞれの希望や思惑、願望を夢として見てしまったため、今回のような事件になってしまったんですー」 だから、自分や女王器に非はないのだ、と応えた。 エメネアが応えている間、円は彼女の瞳の色を窺う。 「ちょっと落ち着きのない思慮の足りない人が謹みをもてるように、私が家庭教師になって謹みを身につけるよう調教」 「教育」 「してあげます〜♪」 明日香が環菜の方へと向きながら、告げる。 途中、物騒な言葉を明日香が使ったのを聞き、傍のノルニルが言葉を被せたため、環菜には物騒でない言葉が伝わったハズだ。 「そうね。お願いしたいと思うけれど、今日はもう遅いし、明日からにしてあげましょ?」 「そんなっ!」 頷く環菜に、エメネアは動揺した。 明日香は喜び「明日からが楽しみですぅ」と告げながら、ノルニルと共に部屋を後にする。環菜も早々に部屋を出て行く。 エメネアの様子を疑っていた円であるが、瞳の色を窺っても変化が見られないことから、本当に好奇心から使用したのだろうと納得する。 「1週間はバーゲン禁止ね。大事を起こしたのだから」 「っ! 円さんもひどいですー!」 そう告げると、応えるエメネアの声を聞きながら、彼女も部屋を後にした。 「なあ、本当に洗脳は解けているのか?」 最後まで残ったトライブが壁に背を預けたまま、エメネアへと問いかける。 「疑われているのですよねー? でも、私を洗脳していたという鞭、ですか……それを取り上げられたのですよ?」 「洗脳道具が鞭でなく、あんたが解けている振りをしているというなら、話は別だろ?」 応えるエメネアに、トライブは問いかけ続ける。 「それが事実だというなら、俺はあんた――エメネアを守るために、ティセラに協力するぜ?」 告げるトライブ。エメネアは柔らかく微笑んだ。 「……気のせいです。今回の事件だって、発端は私の好奇心によるものですよー」 言いながら、トライブを扉の方へと促す。 「もう遅い時間ですし、お帰りください。おやすみなさいですー」 「お、おい」 開けた扉から廊下へと追いやって、エメネアはひらひらと手を振ると、ゆっくりと扉を閉めた。
▼担当マスター
朝緋あきら
▼マスターコメント
朝緋あきらです。 まずは参加ありがとうございました。 様々な役者が揃うと人魚姫の物語も変わるものですね。 愛美の行動自体も元の物語とは違うものだったので、大分変わってしまいました。 それでも、彼女が人魚姫として、王子と末永く幸せに暮らせることになったのは、夢へと干渉し、彼女に協力してくれた皆さんのおかげです。 それでは、またお会いしましょう。