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【十二の星の華】ゴアドー島を襲うもの

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【十二の星の華】ゴアドー島を襲うもの

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「戦線後退! これ以上の戦闘は無意味だ。後は野外決戦を行うぞ」
 みとが撃ち出したサンダーブラストの数を考え、洋は声をあげた。
「撤退ですか? 解りました。トナカイの準備をしておきます」
 その言葉に頷いたみとは用意していたサンタのトナカイの傍へと駆けていく。
 みとが操縦できるように座り、後から駆けて来た洋が後部へと座って、機関銃を構えた。
「ベトナム戦争の名物攻撃、ガンシップアタックだ。みと、敵ゴーレムに対し左旋回し、攻撃継続。ビームなんぞ喰らうなよ」
 ソリが浮き始めると、洋は1体のゴーレムに狙いを定めながら、告げる。
「ガンシップ方式……確か徹底的に対地攻撃を行うために考え出された方法でしたね。円を描きながら地上に向けて銃撃し続ける。わかりました」
 こくりと頷きながら、告げられたとおりにみとは左方へと旋回するようトナカイに指示を出し、ソリを傾けた。
 洋が操る機関銃の弾は、狙いを定めた1体のゴーレムへと円を描きながら、吸い込まれるように飛んで行く。
 ゴーレムは腕部をソリへと向け、エネルギーを集めると、ビームを撃ち出して来た。
 みとはトナカイへと指示を出して加速させ、寸でのところで、それを交わす。
「みと、良くやった! 反撃するぞ!」
 傾いてしまったソリを立て直す彼女に、洋が声を掛け、再び、機関銃の引きが円を引いた。
「皆さん、頑張ってくださいーーー!!!」
 声を張り上げ、エメネアは応援している。
「エメネアさん、喉を潤してくださいな。先ほどからずっと声をあげているでしょう?」
 玲は用意していた茶をエメネアへと差し出す。
「ありがとうございます、玲さん」
 エメネアは微笑んで、その茶を受け取って、一口で飲み干した。
 叫びっぱなしで喉が渇いていたのだろう。
 お代わりを注いだ後、玲は前方で戦う仲間たちの戦闘技術を目に焼き付けておく。
「今のところ、こっちに来る気配はないようだねぇ。ただ護衛しててもつまらないしちょいと話でもしようぜ」
 ゴーレムのことが分からない以上、近接してでしか戦う術を持たない東條 カガチ(とうじょう・かがち)は、恐ろしいと思って、エメネアの護衛を買って出ていた。
 そんな彼が、ゴーレムが前方で止められていて、やって来る気配がないことを確認するとエメネアへと声を掛ける。
「どうして誤作動したのか分かれば再び同じ事を繰り返さなくて済むよねえ。何を、どうしたら、何が、どうなったのか。話しながらまとめてこうぜ」
「何を、どうしたら……えーっと、私を、地下の通路の奥まで歩き進ませたらー……でしょうか?」
 カガチの問いかけに、エメネアは当時を思い出して、答え始める。
「何が、どうなったのか……は、並んでいたゴーレムが、突然動き出して、私を追いかけ始めたんですよー」
「来る途中に聞いた話と変わらないね。本当に、ただ歩き進んだ以外、何もしていないんだね? ……まさか、敢えて『誤作動』させたわけじゃないよねえ? 例えば、血の気の多い、ミルザム側の若者共を誘い込む為に……とか」
 エメネアの答えを聞き、カガチは笑みながら、問い詰めた。
「そんな、まさか、なことしないですよー」
 問い詰められてもエメネアは笑顔でそう言い返す。
「そうだよねえ。おつむ弱そうなお嬢さんにゃあそこまで考えられねえか」
「むー……おつむ弱いは余計ですーーー!!」
 カガチの言葉に、エメネアは頬を膨らませる。
「通常ゴーレムという存在は主の命に忠実なはずですから、エメネアさんが命ずれば止まりそうな気もしますけれど、主は違う方なのでしょうか……?」
 拗ねているようなエメネアへと、不意にエヴァ・ボイナ・フィサリス(えば・ぼいなふぃさりす)が問いかけた。
「地下通路にゴーレムが存在すること自体、此度のことで知ったわけですから……私が主ではないと思いますよ」
 エメネアは、彼女へとそう答える。
「セオリー通りでしたらゴーレムの作動には一定の手順を踏まねばならず、それを破った場合に暴走ということになりますが……そもそも正しい手順はご存知ですか?」
 更に訊ねるエヴァに、エメネアは首を横に振る。
「それが分からなければ対処のしようもありませんね」
 結局、全てを倒すしか術はないのだとエヴァは肩を落とした。
「私が守ってあげます、エメネアさん」
「ありがとうございます、詩穂さんー」
 只管応援するだけとうエメネアを案じて、護衛を買って出た騎沙良 詩穂(きさら・しほ)に、エメネアは微笑んで答える。
「……って、あれ? エメネアちゃんは応援するだけなの? 一人前のプリーストならば補助魔法などで援護できないかな?」
「それは……皆さんに活躍してもらえれば、と思いましてーーー」
 視線を逸らしながらエメネアが答えると、詩穂は「そんな遠慮しなくても」と苦笑いを浮かべた。
「話をしている場合じゃないよ!」
 気付けば、前方で戦う仲間たちの間を切り抜けてきたゴーレムがエメネアたちへと近付いてきていた。
 輝く銃器――ブライトマシンガンを構えた美羽がエメネアの前に出て、ゴーレムに向けて引き金を引く。