リアクション
* ドストーワは、とびねこ被害に悩まされていた。 毎年一定の被害がありそれは致命的なものではないが、今年は現状のように戦時下であり、食糧難になれば遠征する兵を出せない。 主に、砂漠芋などの収穫のときを狙ってくる。どれだけ護衛を配しても、その数や百二百ではなく、すべてを護りきれないのだ。しかも、戦術にもそれなりに長けており、獣人兵と言えど侮ると怪我をさせられる。 裏の山岳に生息しているのだが、高所に巣を作っているため、獣人らはこれを駆逐できないでいた。 「拙者ども、とびねこ退治の専門家でござる。この道、五十年」 徐晃は、しごく真剣な表情で述べた。ドストーワの執政官は是非とも退治を依頼すると応えた。 「手が届かぬなら、誘き出せばよろしい」 「しかし、今、収穫期ではない。おそらく来ぬぞ。 次の収穫は、まあもうすじゃが……。次が上手くいかないともう兵は出せなくなる、対策は練っておきたいのう」 「その前に、潰してしまうのがいいでござろう。 心配後無用。 仲間に、とびねこを誘き出させる」 蔵を二つ、用意できるかと彼は問うた。 兵らは、一つの蔵を豪華に仕立て、しかし中身は空にした上で、警備を厚くした。適度に戦ったら、兵を退かせ蔵に入らせ閉じ込めてしまう。 もう一方の蔵に、今ある食糧をすべて移しておく。 とびねこに接触したレジーヌとエリーズは、 「とびねこさん。さっきは手荒な真似をしたごめんなさい」 「いいにゃ。おれたちひもじいにゃぁ。たべものくれたらゆるすにゃ」 二人は、山の麓まで行き、飛びかかってきたねこを倒し、家まで案内させたのだった。 あらかじめ徐晃と示し合わせておいたように、豪華でない方の蔵の襲撃を示唆した。 とびねこにとっては例年以上の餌を得る結果となり、また、ドストーワは三日月湖方面への最出兵を諦めざるを得ないこととなった。ドストーワは、黒羊郷へ食糧・物資の援助要請を頼みに、使者を送り出した。 黒羊郷は食糧の貯蔵庫を持っており、臨時の際にはいつでも、ここから蓄えを出せるようになっている。 同盟国として、最大の戦力であるドストーワが兵を出せないとなれば、これに応じてくれぬことはないだろう。 「やったぁ。レジーヌ、これで私たちもふもふできる?」 「戦争が終わったら……」 「もーふ、もふ♪」 徐晃が戻ってくる。 「徐晃さん、サングラス……その格好で?」 「うむ。本当は……早く戦争を終わらせ、彼らにも食糧を戻してやるべきでござろうかな」 「とびねこさんも、第四師団で雇って食べさせてあげられたら、いいかもね」 |
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