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リアクション
#6
「開いた! シャッターが開きました! 涼介君と茜さんがやってくれたようです!」
シャッターが開いたのを涼介と茜の手柄と思いこんだ陽太は、喜々として声を上げる。
「やれやれ、行こうかのう」
グランが腰をあげ、
「がんばるでござるよ! ダークサァイズ!」
オウガが気合の声を入れる。
「オウガ殿、今のはダークサイズの一員のようであるな」
アーガスがボソリと突っ込む。
「ふはははっ! いよいよ俺の大活躍だ! お前の出番だ、シャンバランブレードッ!」
正義は両刃の片手剣を掲げる。
「あたい、お腹が空いてきたよ」
「福、スペシャルランチはこれが終わったらだ。さあ、仕事だ」
ちょっぴりごねる福を、永谷が促す。
「ここはヒーローらしく、味方のピンチに現れるというのはどうでしょう」
「何を言っておるかクロセル! そんなことをしていたら、出番がなくなってしまうぞ」
目立ち方を考えるクロセルに、マナがまた説教する。
「番組全部自分のものにしようなんて、欲が過ぎるわよ、ダークサイズ! 私がみんなの楽しみのために、やっつけてあげるわ!」
理沙はテンションマックスで放送局にダッシュ。
「みんなのためっていうより、自分のためよね、理沙。ま、私もだけど」
理沙を追って舞も銃を構えて走り出す。
「よっしゃあっ! 待ちに待った俺の出番! こういうのは腕っ節の俺に俺に任せとけ! ダークサイズ切り込み隊長ラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)! 正面突破してくる奴にゃあ、俺のドラゴンアーツが火を吹くぜ!」
ラルクは拳をガチンとあわせ、盛大に雄たけびを上げる。
「ダークサイズ前衛部隊! 俺に続けえ!……って誰もいねえのかよ!」
ラルクのような肉体派は少なく、彼の気合いと裏腹に、第一線に飛び出したのは彼一人。
「ああもう畜生! 俺一人でもやってやらあ!」
ラルクは一足先に一階に降り立ち、向日葵救出隊を迎え撃つ。
それに対峙するのは、クレセントアックスを携えた、グラン、アーガス、オウガ。
グランがアックスを振り下ろし、ラルクはその柄を左手で受け止める。
「爺さん一人でこの筋肉の壁、越えられるか?」
「爺さん呼ばわりするでないわ、この小僧っ子が!」
続いてアーガスのブリザードがラルクの足元を攻め、オウガの雅刀が、彼の左手をふさぐ。
「悪いが三人で相手させてもらうわい」
と、グランが言うが早いか、正義をはじめ、救出隊が彼らの脇をすり抜けていく。
「あっ! ずりい、おまえら! おい、ちょ、待てよ!」
正義は放送局のブースにいるはずのレコルダーと通信する。
「レコルダー、ダイソウトウはどこにいる?」
「さっき7階に上がっていかれました」
「よし、やつは7階だ!」
陽太がエレベーターを指さす。
「あれで上がりましょう!」
そこへ、結局ダイソウと面接ができず、非常に機嫌の悪い円が姫晶ロケットランチャーを放つ。
「どわ! 危ねえ!」
ロケットはエレベーターに命中し、大きな爆発を起こす。
「結局ボク、面接できなかったよ。戦闘で結果を出して、幹部を目指すしかないね」
「くそ! どうする?」
「こっちが階段だよ! ここから行くしかないね」
と、そこに茜、涼介、エミリーが合流し、救助隊を呼び込む。
「向日葵は?」
「自力で脱出してたけど、ダイソウトウのところに向かったみたいだ」
「階段なんかでへこたれるもんかっ」
理沙が階段に通じるドアを開ける。すると、
ぽふっ
理沙の頭に小麦粉の塊が降ってきて、彼女のポニーテールが真っ白に染まる。
「だあぁっ! 何これ!」
明日香が仕込んでおいた罠である。
たじろぐ理沙を追い抜いて、正義が階段に足を掛ける。
すてんっ
ニコがあらかじめ氷術で凍らせておいた床に、正義は見事にすっころぶ。
「いてええ!」
したたか後頭部をぶつけた正義は悶絶している。
「あははは! ダークサイズの罠にかかり、みじめにすっころぶ正義の味方!」
上から響く声の主は、ダークサイズ宣伝DVD撮影中のカレン。
「人が悶絶しているのを面白がるなんて許せません! お茶の間のヒーロー、クロセル・ラインツァートが相手です!」
「よいぞクロセル! ヒーローらしいところを見せてやるのだ!」
マナの後押しで、勢いよく正義を飛び越えて、凍った階段を飛び越えたクロセル。
ガン!
ジュレールが仕掛けた金ダライが、クロセルの頭を直撃する。
「ぐおおぉぉ……」
うずくまるクロセル。
「クロセル……あわれな……」
マナの同情せざるを得ない。
カレンとジュレールは、罠にかかったのを確認して、ぱっと上へ逃げていく。
どうにか一階から二階へのいたずらのような罠をくぐりぬけ、三階に差しかかろうとしたとき、踊り場に大きなタンコブを作って倒れている、侘助と火藍。
「あっ、二人ともどうした!」
「う、うう……はめられた」
「一体今度はどんな罠が?」
そこに突然祥子が躍り出て、攻撃を仕掛けてくる。
「おわ! しょ、祥子!?」
「なぜ俺たちを攻撃するんですか!」
「おほほほほ! 今日の私は、ダークサイズ女近衛兵、宇都宮祥子よー! 面白そうだから、今日はダークサイズにつくことにするわ」
「裏切ったなー!」
「だってこっちの方が味方がいっぱいなんだもん」
「く、こんなところで時間を食ってるわけにはいかない!」
涼介は祥子目がけて光術を放つ。
「うっ! く、今日のところはここまでよー!」
不利と見るや、そそくさと階段を下りていく祥子。
「な、何がしたかったんだ、あいつ……」
「ふあぅー、助けてぇ」
と、そこに氷雨と夜桜がとたとたと階段を下りてくる。
「今度は何だ?」
「上の階でが女の子をいぢめられてるんだよぉ。助けてあげて」
「きっと向日葵だ! この上は4階だな」
ダッシュしていく救出隊。
「夜君、ボクちゃんとできてた?」
「上手なお芝居だったよ」
「えへへー。ダイソウトウ様も褒めてくれるかな」
★☆★☆★
一足先に4階にたどり着いている、ザカコ、ヘル、向日葵。
「さっきちらっとダイソウトウが見えた気がしたんだけどなー」
きょろきょろする向日葵。
「あれ? おいザカコ! あれラジオのスタジオじゃねえか?」
ヘルが指さす方を見ると、スタジオのブースが並んでいるのが見える。
寛太がにやにやしながら、録音し、透乃たちも未だに試行錯誤しているようだ。
「そうですね」
「これだよこれ! ダイアークのPRに持って来いじゃねえか。ちょっと寄ってこうぜ」
「秘密結社なのに、放送していいんですか?」
「何言ってんだ! 使わない手はねえだろ? 俺たちの目的は、あくまでダイアークの宣伝だぜ」
と、ヘルは向日葵のことを忘れたようにブースへ向かう。
「まあ、ちょっとなら」
とザカコも興味深げにブースへ入っていく。
向日葵は二人にお構いなしに廊下を曲ると、
「あ、いた!」
そこにはタンタンを連れたダイソウトウの姿。
「よーし、ダイソウトウぶっとばーす」
向日葵がダイソウに向かおうとするとき、
「やいやいっ! さっきはよくもコケにしてくれたわね!」
と、郁乃が割り込む。
郁乃は向日葵を追い抜いて、
「悪の栄える試しはなーいっ!」
と鉄拳をお見舞いする。
しかし、郁乃の拳はダイソウをすり抜ける。
「ええっ!?」
これはタンタンがギミックのために作り上げたダイソウの立体映像。
郁乃の拳は、ダイソウの隣にいたタンタンにヒットする。
関節部がスカスカのタンタンは、あっさり首がもげて、ガシャンと倒れる。
「わあ! ご、ごめーん!」
慌てる郁乃。
「ふわ……では、休止モードに入ります」
と、タンタンは気にする様子もなく眠ってしまった。
「あら、偽物だったのね……」
向日葵はそれを見ると、踵を返し、階段をまた昇ろうとする。
そこへ陽太達が追いつく。
「あっ! 向日葵さん!」
「むっ、ダークサイズだなっ」
と向日葵が警戒する。
「ち、違う違う! 私達はあなたを助けるために来たんだ! うわ、メイド服かわいいな!」
涼介がようやく向日葵の誤解を解く発言ができた。
「向日葵さんはとりあえず、放送局を出よう」
と、涼介が言葉を続けると、向日葵は首を横に振る。
「あたし、ダイソウトウぶっとばすまで帰らないよっ」
向日葵は拳を握って見せ、決意の固さをうかがわせる。
「俺たちが一緒なら大丈夫だろう。まずはダイソウトウを何とかしなければ」
永谷が前進を促す。
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