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リアクション
残り4ターン
「さあ、もう残り時間も少なくなってきました。はたして、全員時間内にゴールできるのでしょうか。今、ウォーデン・オーディルーロキさんのゲキさんとフレキさんがゴールしました。甚八さんも、アーサー・レイスさんのカレーを平らげて、今、ゴールラインをまたぎました」
★ ★ ★
「助かりました」
やっと辿り着いたオルカに救い出されたキャプテン・ワトソンが、ほっと人心地ついた。
「よし、これで再び全員が揃ったぜ」
「ああ、だが、今回は大会を制圧することはできなかったのだよ」
少し残念そうに、ゲシュタール・ドワルスキーがジャジラッド・ボゴルに言った。
「作戦は悪くなかったはずだ。寄生虫と自称小麦粉によるドーピング。みよ、この漲るぱぁわぁを!!」
「いや、それを言ったら、鳥の方がよっぽど速い気が……」
ポーズをつけるジャジラッド・ボゴルに、キャプテン・ワトソンが突っ込んだ。
「ううむ、オレたちに有利でないレギュレーションを定めた大会自体に罪が……」
「何か言いたいことがあるですぅかぁ」
どうやって聞きつけたのか、大会本部から拡声器を持ったエリザベート・ワルプルギスがジャジラッド・ボゴルたちにむかって叫んだ。
「いーえー、いい大会でしたー。また出たいでーす」
「うむ、ならいいですぅ」
とりあえず屈したジャジラッド・ボゴルに、エリザベート・ワルプルギスは満足したようだ。
「よし、次こそ、オレたちが大会を牛耳るぞ」
「そのためには作戦を練らねばな」
「まず、ペットたちの特殊能力を使えるようにするところから始めないといけないのではないでしょうか」
「では、そのためには……」
エリザベート・ワルプルギスに聞こえないように、ジャジラッド・ボゴルたちはぼそぼそと小声で相談を始めるのだった。
★ ★ ★
「おかしいなあ、ティーカップパンダの名前の秘密の封印は解いたつもりだったのに、真の力が発揮されていないんだもん。これはもしかして、合体技が不足していたのかも……」
あまり芳しくなかった成績に、騎沙良詩穂はパンとティーを前にしての反省会の真っ最中であった。
「そうよ、あなたたちは二つで一つ。これから、真のパンティーになるため特訓なんだもん。頑張るんだよ」
騎沙良詩穂は、そうティーカップパンダたちに言い聞かせるのだった。
★ ★ ★
「よかった。やっとビスマルクもゴールしたようだぜ」
ちょっとほっとしたように、七尾蒼也がジーナ・ユキノシタに言った。
「やっと……、やっと……。しくしくしく……」
「えっ、あ、あのその……」
あまりにふるわなかった成績に、ジーナ・ユキノシタが涙ぐんでうつむくのを見て、七尾蒼也がしどろもどろになってあわてる。
「ジーナを泣かせたのは貴様であるかあ!! 我が力の前に散るがいいわ!!」(V)
「えっ、何……、うぼあ……」
どこにいたのか、突然突進してきたガイアス・ミスファーンに、七尾蒼也が吹っ飛ばされた。
その間に、ビスマルクがジーナ・ユキノシタを開放する。
「ありがとうございます、ビスマルク。それで、あの、そのー、ガイアスさんは今までどこにいらしたのですか?」
★ ★ ★
「おねーちゃん、やっとフォルテシモ、帰ってきたよ」
ティセラブレンドティーを飲みながら、あんパンやメロンパンを食べ散らかしたノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)が、エリシア・ボックさんに告げた。
「やっとですか。待ちくたびれてしまいましたわ」
それでも、ほっとしたようにエリシア・ボックが言う。
「うん、もうお腹いっぱいだよ」
ノーン・クリスタリアが、お腹をポンポンと叩いて言った。
★ ★ ★
「ぱんだー」
「パンダー」
「ぱぱんだー!!」
ティーカップパンダ軍団が、ゆるゆるパイレーツに負けじと気炎をあげる。
「それはいいから、早く俺を助けろっていうんだ!」
「ぱんだ!?」
待ちくたびれた朝霧垂が、何度もティーカップパンダたちに叫んで、やっと縄が解かれた。
★ ★ ★
「やれやれ、やっと開放であるか。面白い見世物だった、だがこれで終幕だ」(V)
ロビーに縄を解いてもらったジュレール・リーヴェンディが、コキコキと身体の各関節を動かしながら言った。
「まったく、そんな幟を立てていたから呪われたのではないのか?」
ロビーが背負っているダークサイズの宣伝幟やゼッケンを指してジュレール・リーヴェンディが言った。
「まあまあ、単なる宣伝だから。広報撮影部隊としては、これくらいしないとねえ」
カメラ片手に、カレン・クレスティアが答えた。
「だが、思いっきり大会報道関係者から睨まれた気がするのだが……」
「そ、それは……いいんだもん」
痛いところを突っ込まれて、カレン・クレスティアは適当にごまかした。
★ ★ ★
「むー! んんん、んむー!!」
簀巻き状の布団と縄がばっさりと切断されて、中から南部ヒラニィに簀巻きにされていた琳鳳明が現れた。あまりに淋しかったのか、頬に微かに涙の跡が残っている。
「ぷふぁ。し、死ぬかと思ったんだもん……」
酸素酸素と、思わず琳鳳明が深呼吸する。
「ありがとう、小剛」
琳鳳明は、カチリと刀を鞘に収める小剛に礼を言った。
★ ★ ★
「よく辿り着けましたね。感心感心」
ルイ・フリードが、門次郎を撫でてやりながら言った。
「さて、では、他の猫さんたちに挨拶をして回るとしましょう」
ルイ・フリードはひょいと門次郎をだきあげると、大会本部の方へと歩きだした。