百合園女学院へ

薔薇の学舎

校長室

波羅蜜多実業高等学校へ

少年探偵と蒼空の密室 A編

リアクション公開中!

少年探偵と蒼空の密室 A編

リアクション


ANSWER 28&30 ・・・ 女友達&封印の問題 ファタ・オルガナ(ふぁた・おるがな)ヴェッセル・ハーミットフィールド(う゛ぇっせる・はーみっとふぃーるど)

「ファタ・オルガナじゃ。春夏秋冬真都里(ひととせ・まつり)の携帯にかけても、応答なしなので、もなかにかけてみたのじゃ。おぬしの方はどうなっておる?」
「もしもーし。もなちゃんこと、小豆沢もなか(あずさわ・もなか)でーす。えっ、知ってるって。ファタっちこそ、なかなか連絡つかなかったんで、心配してたんだよ。なんかあったのー。こっちはね、だいぶ、楽しくなってきたところ。もなちゃんが、トイレに行ってる間に、まつりんがさらわれちゃったっぽいんだよ! くししししし」
「それは、たしかに、笑いごとだな。本当にうれしそうじゃな。おぬしもなかなか悪よのう」
「ロンドン塔の方に連れてかれちゃったみたい。それでね、もなちゃん、誘拐犯人にいじめられてるまつりんの様子を念写してみたんだ。いま、画像を送るね。ファタっちも、これ、みてみて」
「ほう、通好みの画像じゃな。いかにも、スケベそうな親父に、裸の真都里が、トマトをぶつけられておるのか。んふふふ。一見、嫌がっている風を装って実はなかなか喜んでおる、変態ちっくな感じじゃのう」
「さすがは、ファタっち。読みが深いよね。もなちゃんは、街のみんなに、この画像をみせて歩くつもりなんだ」
「住人たちに真都里を探すのを協力してもらうのか」
「ううん。まつりんがマジェスティックを歩けなくなるようにするために、決まってるじゃん」
「おぬしのおかげで、真都里は退屈することがなさそうじゃな。ところで、わしもこれから、ロンドン塔に行かねばならぬ。ちと、ヤボ用があってのう。そこで、お願いがあるのだが、真都里が塔内で虐殺されたとか、拷問されて発狂したとか、適当なことを言って、そこら付近の住民が塔に押しかけるように、焚きつけてもらえぬか? わしが塔についたら、とりあえず、真都里には、もなかからよろしく、と伝えておく。礼は、それだけでいいのじゃろ」
「うん。助けてなんてこなくていいよ。ファタっちが危ない目にあわないように、注意してね。話はわかった。もなちゃんは、街の人が暴動を起こして、ロンドン塔をブッ壊してくれるように、がんばって扇動するね。もなちゃんのパートナーをギロチンで殺したロンドン塔をやっつけてくださいとか、お願いしまくるよ。くしししし。果たして、まつりんは、生き残れるかな」

「ファタ・オルガナじゃ。なぜ、留守電になっておる。ヴェッセル・ハーミットフィールドは、どうした? クロシェット・レーゲンボーゲン(くろしぇっと・れーげんぼーげん)と二人揃って、やられてしまったのか。ようするに、ベス。クロ子。早く返事をするのじゃ」
「ミッフィーちゃんでも、クロ子でもなく、オレは仙 桃(しゃん・たお)だよ。んー。なんだ。ファタか。にしても、キミのパートナーのヒルダはかわいくないよねぇ」
「大きなお世話じゃ。仙桃。おぬし、なにをしておる」
「実は、いまは電話中なんだけどさあ」
「それはわかっておる。そこにいてなにをした。そっちは、どういう状況なのじゃ」
「俺がわざわざ説明する必要もないような気が。黒白兄妹のどちらかに代わるね」
「相変らず、つかみづらいやつじゃ。おーい。ベスか、クロ子。電話にでろ」
「おー、ファタ。こっちは大変だったぜ。けっこうバイオレンスな展開になったんで、肉体言語の専門家仙桃さんにきてもらって、一仕事してもらったんだ。っと、仙桃、俺をミッフィーちゃんって呼ぶな」
「んふ。仙桃にやられた連中の姿を想像すると、楽しくなるのう。おそらく維新をさらった連中の仲間じゃろうな。さっさと地獄へ墜ちろじゃ」
「なんだか知らねぇけど、今日は、その、維新ってやつの名前をよく聞くな。ところでさ、ファタ、おまえ、こういうの、くわしかった気がするんだけど」
「こういうのとは、どういうのじゃ。それから、情報交換はギブアンドテイクじゃぞ。ギブギブが許されるのは、わしと十五歳以下の少女たちだけじゃ」
「あー、この街の支配者のメロン・ブラックは、間違いなく悪人だ。仙桃がブチのめしたやつの手下どもから、直接聞きだしたんで、確実な情報だぜ。メロン・ブラックは、市内にいくつかパワースポットをつくって、この土地の霊的な力を自分の都合のいいように管理・運用している。やつは、地球の大魔術師だそうで、封じ込められてただか、力を失ってうらぶれてただかのところをノーマン・ゲインに助けられて復活! パラミタにきたらしい。少女たちをさらったのも、切り裂き魔事件も、メロンがかんでるみたいだ」
「わかった。わかった。もうお腹一杯じゃ。メロン・ブラックを叩きのめしに、わしは、ロンドン塔にむかうぞ。クロ子にもよろしくな。では、達者で」
「く、クロ子と呼ぶなと言っているであろう! せっかくテーマパークに遊びにきたのに、ベスも仙桃もファタもどうかしておるのだ。さっきもベスに、街中でいきなりミサイルを全弾発射しろとか言われて、自分は焦ったのだよ」
「あれは、パワースポットを壊すフリをして、ヤバイやつらをおびきだす作戦だぜ。うまくいったろ。そんじゃあ、ファタ、俺にも教えてくれ。メロン・ブラックは、独自の魔術を使う。主に使っている印は、Nを二つ合わせたような崩れた感じの六芒星に、えっと、あとは、なんだっけ」
「五つ葉のクローバーじゃ。ノーマンがわざわざパラミタに呼んでくる大魔術師で、その印を使うものと言えば、一人しかおらぬな。アレイスター・クロウリー。そう言えば、切り裂き魔とクロウリーは、同国の同時代人じゃ。どちらも正体不明の犯罪者と言う点で共通しているのう。魔術でやりあうには、厄介な相手じゃ。人海戦術プラス肉弾戦でゆくぞ。ベス、おぬしも街のものを扇動して、暴徒と一緒にロンドン塔へこい。悪魔の城を打ち壊すぞ」
「おおおお。ファタ。その印でパワースポットとアクセスできたぜ。とりあえず、ここは無力化完了! あのな、メロンちゃんは、各所のパワースポットを連動させて、とにかくスゲぇやつの召喚を狙ってるらしいんだけど、小拠点を一個一個見つけてつぶしてくよりも、コントロールセンターをつぶした方が早いよな。よし。俺も壊しに行くぜ。ロンドン塔」
「そこにはたくさんの可愛いものがピンチの状態でいるようだ。オレ参上、決定」
「仙桃。竜形態だ。背中に乗るぜ。クロ子。今度こそ、本当にミサイルポッド全弾発射だ」
「デートスポットを破壊とかそんなことをしていいのか?」
「よく言うだろ、押してダメならもっと押す!」
「そんな格言は存在していないし、会話も成立していないのだよ」

「ファタ・オルガナじゃ。ヒルデガルド・ゲメツェル(ひるでがるど・げめつぇる)。おまえにぴったりの仕事を用意したぞ」
「ハッハァー!! ゾクゾクして濡れちゃいそう・・・!!」
「なんの説明もなく、話が通じるとは、さすがは戦闘狂の撲殺魔じゃ。ヒルダ、マジェスティックのロンドン塔へこい。標的は、メロン・ブラック博士。やつの仲間はどうにでもしてかまわん。わしも、ベスたちも、それに暴徒と化した市民も一緒じゃ。バイクをカッ飛ばしてこい」
「了解した。姉御。今夜は長い夜になりそうだね」
「ブレーキなしじゃ。塔で会おうぞ」