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第6章 秋の味覚を食べて贅沢三昧

「いっぱい頭使ったからちょっとお腹すいちゃった。レストランにでも行ってみよう♪」
 風華は500万Gの入ったバックを大事そうに抱え、和風のレストランへ入る。
「何にしようかなー。沢山あって迷っちゃうよ」
「ご注文はお決まりで・・・って風華ちゃん!?」
「あれー、じんじんだ。ここでバイトしているの?風はただいちばんになりたかっただけなんだけどね、ちょこっと何か食べて帰ろうかなって来たの」
 それを聞いた透乃が見せの外で、じーっと風華を見つめる。
 “目当てじゃないなら私が代わりに食べたい”と、少女へ電波を送るように視線を送る。
「協力してくれた人は食事にあまり興味ないっぽいから、1人で楽しむことにしたの♪」
 彼女の視線を無視してメニューを眺める。
 シカトされた透乃は、きゅーんと小動物にしょんぼりとする。
「いらないなら私が食べるっ!」
「芽美ちゃんっ、透乃ちゃんを止めてください!」
「やめて透乃ちゃん、食べ物のためにそこまで落ちちゃいけないわ」
 無理やり店へ侵入しようとする彼女の腕を、芽美が陽子と一緒にひっぱりその場から引き離す。
「私のご馳走がー、秋の味覚がーっ」
 透乃の悲しそうな声がフロア内に響き渡る。
「500万G残っているなら、オレの借金が返せそうなんて思ったり・・・」
「心がささくれちゃったからこうして食事に使っちゃうことにしたの♪」
 協力してくれなかったのを根に持ち、陣の借金を払ってあげようとしない。
「ウェイターさん、松茸の鴨肉の巻み焼きとタラバ蟹のガレットをお願い。それとねー、食事用の飲み物は玉露にしようかな」
「なぁ風華ちゃん、まじで頼むよ・・・」
「何してるのウェイターさん。早く厨房に行って作らせてよ。とろいと店にクレームだしちゃうからね」
 なんとか払ってもらおうと頼む彼に対して少女は冷酷に言い放つ。
「はぁ・・・働かなきゃいけないないなんて。何ですり返られた時に気づかないんだオレ・・・」
「そうがっかりしないで。支払いが早く終わるように手伝ってあげてるんだから」
 厨房の中にいる弥十郎が陣を元気づけようとする。
「ありがとう弥十郎さん。弥十郎さんはオレの救世主や・・・」
「そんなたいそうなものじゃないよ。善意でやってることだからね。で、注文は何かな?」
「えっと松茸の鴨肉の巻み焼き・・・ズワイ蟹のガレット、玉露だって。(くそっ高いものばかり頼んで・・・)」
「分かった、今から作るね」
 松茸をお肉でくりと巻き、高温の油で揚げる。
「ウェイターさん、お水くらい持ってきてよ。それとおしぼりもね」
 気が利かない従業員だと苛々している風華は、椅子の上に座って足をぷらぷらさせて呼び鈴を鳴らす。
「はいはい、今持っていきますよっと」
「客に返事をする態度じゃないね。原点っと」
「ちょ、ちょっと。それ何!?」
 ご意見用紙に書き込む少女を見て、陣が慌てて止めようとする。
「風の目の前にいるウェイターさんの態度が悪いから、バイト代をひかせよう思っているの」
「や、止めてくれ!それだけはーっ」
「じゃあちゃんと接客して♪デザートを今のうちに頼んでおこうかな、待っているの退屈だし。みかんと柚子アイスのパフェをお願い♪お土産に梨のタルトをもらおうかな、お家に帰った後にゆっくり食べたいの」
「えっと柚子アイスのパフェと、お土産に梨のタルト・・・」
 陣は復唱して注文内容を確認しながら伝票に書く。
「そういえばご飯ものとサラダを頼んでなかったかな。伊勢海老のリゾットとぉ、秋刀魚と焼きなすのサラダが食べたいなぁ。そんなにいっぱい食べられないからとりあえずそれだけー」
 メニューを閉じた風華はグラスの水に口をつけて料理を待つ。
「出来たよ陣さん、持っていてあげて。注文の紙は壁に貼っておいてね、後で確認するから」
「美味しそうやね」
 トレイに乗せて風華のテーブルにへ運ぶ。
「お待ちどうさま」
「わぁい美味しそう♪」
 かぼすを松茸の鴨肉の巻み焼きにかけ、ホークでぱくっと食べる。
「この歯ごたえいいねっ。んー、ガレットの美味しい」
 蟹の香ばしい香りを楽しみ、もぐもぐと頬張る。
「どうぞ・・・。(美味しそうに食べよって・・・ちくしょうっオレは数時間何も食べてないのに!)」
 出来上がった料理もテーブルへ運ばれていく。
「食材が新鮮だね♪ぷりぷりの海老っ。シェフの腕がいいのかな?火の通り具合が凄くいいね。サラダも美味しい♪」
「(そりゃ、弥十郎さんが作ったんやからね。その辺のやつと全然ちゃう)」
 食べている姿を見ながら陣は心の中で呟く。
「んぐっ。ふぅ・・・」
 風華は玉露を飲んで満足そうに息をつく。
「あ、デザートきた♪あまぁ〜いものは別腹だね。ごちそうさまー。そろそろ帰ろうかな」
 会計を済ませてお土産のタルトを受け取り店を出る。
「これは冷蔵庫で冷やしておいて別の日に食べようかなー。2回目があるとしたら、皆どんな手で勝とうとしてくるのかな。なぁんて♪」
 うきうきとデパートのビルから出て、ご意見箱に紙を入れて帰っていく。
 方や天国、方や人並み以下の生活を強いられた地獄のような日々。
 休日が1日たりともなく働き生徒たちの給料が支払われる度に運営が現れ借金を回収される上に、全て返し終わる日がいつか、一生かかって返しきれるものなのか借金に苦しみ不安で夜もろくに眠れない日々が続いた。

担当マスターより

▼担当マスター

按条境一

▼マスターコメント

皆様、1時間逃げ切ることが出来たでしょうか。
はたまだ騙されずに済んだでしょうか。
借金を払うことになってしまった方たちは、1年中働いていることでしょう。
返し終わるのがいつになるか分かりませんね。

一部の方に称号をお送りさせていただきました。
それではまた次回、別のシナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしております。