百合園女学院へ

薔薇の学舎

校長室

波羅蜜多実業高等学校へ

合コンパーティにバトルにお爺さん孝行!?

リアクション公開中!

合コンパーティにバトルにお爺さん孝行!?

リアクション

「そうよ、真珠。私と一緒に別の部屋でお爺さま対策を考えましょう!」
「僕も行きます!」
 祥子と正悟に半ば強引に連れ出される真珠。
「赫夜! オマエの武器はなんだ?」
 強引に某テニススポーツ漫画のようにコーチとして赫夜を鍛え始める総司。
「わ、わたしの武器? それはもう、今は海に沈んでしまった『星双頭剣』」
「バカモノー!! その十二星華一のおっぱいは星双頭剣よりよっぱど強力だぜ!」
「はあ!?」
「オマエの胸は飾りか? そんな事では双丘のフロンティアは開拓できんぞ!」
「総司殿、その字は違う!!」
「ええい! うるさい! オレのやる通り、セクシーポーズをとるんだ!」
「うわ! 恥ずかしい! というか、そのポーズをやっている総司殿が恥ずかしい!」
「…意外と傷つく事をいうんだな…赫夜…」



☆   ☆   ☆   ☆   ☆    ☆   ☆   ☆   ☆   ☆


 その丁度同じ時刻。黒脛巾 にゃん丸(くろはばき・にゃんまる)は弓削 理の到着をパラミタグランドホテル敷地内の茂みで待ちわびていた。
 にゃん丸の脳裏に、日中の真珠の言葉がおもいだされる。
 じーっと真珠を見つめているにゃん丸。落ち込んでいる様子の真珠の姿に
「真珠ちゃんは、その純真さが魅力だというのにっ!」
 と歯ぎしりをする。なんだかんだと面倒見が良いにゃん丸なのであった。
 そのにゃん丸の耳に、真珠と天文部の双子、天文部部長ケテル・ティファレトと副部長マルクト・ティファレトとの会話が耳に入ってくる。
「真珠、そんなに固くならなくてもいいよ」
「そうよ。実の血が繋がったお爺さんなんでしょ?」
「それはそうなんだけど…でも、なんとかお爺さまと上手くお話ししたいの。でもできるかどうか不安…」
(え、おじーさんと仲直りがしたい?)
 にゃん丸は真剣に考え始める。
(孫とはいえ、歳の差がある異性なら、態度がよそよそしくなるのは理解できる。さて、どうすれば真言と真珠の心の距離を縮めれるか…俺の場合どうだったかな…我を忘れて困難に立ち向かった時…これは真珠との関係。お互いのかっこ悪い所を認めた時…これはリリィとの関係だな。)
「しかし、美人の前って緊張するからな…」
 ちらりと横にいるリリィ・エルモア(りりぃ・えるもあ)の顔を見る。
(お菓子を頬張りみっともない顔だ。口に付いてるし)
「くっら〜い青春…」
 お菓子を頬張り、にゃん丸に突っ込むリリィ。
「あんた、そんなんじゃ一生女の子にもてないわよ〜。」
「なによ? …どうせあんたのことだから、真珠のことを心配してるんでしょーう?」
「う! なぜ、それを!」
「あんた、全部独り言で喋ってたわよ…いいわよ、あたしも協力してあげる」
「…ど、どういう風の吹き回しだ!?」
「あんたのためじゃないわよ! 真珠、しいてはあたしのため…そ・れ・よ・り! 見て見てこの美少年! 弓削理ですって! キャー! ステキー!」
「…」
「こほん。弓削 理は真珠のお爺さまと一緒に今日、パラミタグランドホテルに到着するらしいのよ! これは女子の綿密に張り巡らされた情報網から得た情報だから、確実よ」
「お前、こわい…」
「うるさい。弓削 理さんに近づいて、真言お爺さまの弱みを握っちゃえば!? そもそも、なんで弓削 理さんと真言お爺さまがそれほど親密なのか、気になるじゃないの! 藤野家と弓削家…何かあるわね! にゃん丸! あんた泥棒得意でしょ! 弓削理さんの鞄あさってきなさい! 手紙とか入ってんじゃないの?」
「おお、さすがだ」
「ね? 今日の夕方には着くって話だから、いってらっしゃい」
 その言葉に奮起してやってきたのだ。
 だが実はそれ自体もリリィの策略であることをにゃん丸はしらない。リリィはぐっ!! と拳を握り締め、あさっての方向むいて勝利を確信する。
(うふふふふ…美少年の秘密を掴んで、あたしの言いなりよっ!)

 そんなこんなでにゃん丸は上手くリリィに使われて、理の身辺から藤野真言と弓削家のことを探ろうとしていた。
 その時、黒塗りの車が到着し、なかから童話の王子様もかくやと言う美しい青年がおりてくる。弓削 理。その人である。白いシャツにジャケットというラフないでたちではあるが、それがまた、彼の美貌を際立たせていた。
「すっげー美少年…生で見るのでは大違いだな、弓削 理」
 にゃん丸そう呟くと、様子を伺い、しばらく後に明かりが点いたホテルの一室へと壁伝いに向かった。そっと中を覗くと、理の姿が認められる。
(ビンゴ!)
 理がバスルームに入ったころを見計らい、部屋に忍び込むと、音を立てずに理の荷物のなかを探った。幸いシャワーの音がバスルームからしているので、多少音を立てても大丈夫だろう、そう思った瞬間だった。
「何かお探しなのかな?」
「い…っ」
 後ろを振り向くとにこやかにバスローブに身を包んだ理が立っていた。これにはさすがの忍者、にゃん丸も固まるしかない。
「僕のことを調べても、何も面白い事はでてこないよ。…それに君は、おそらく蒼空学園の生徒だろう? 誰かの差し金かな?」
「い、いや、ただ、俺は真珠ちゃんのことで…」
「真珠? …ああ、思い出した真珠ちゃん! 僕はあまり地球では会えなかったけれど、元気にしているのかな。君は真珠ちゃんのお友達なんだね。可愛くなっただろうなあ、真珠ちゃん!」
 つかつかと理はやってくると、にゃん丸の腕をとった。
「で、そんな君が僕に何のよう?」
 有無を言わせぬ理の迫力に、にゃん丸は直接対決をすることを決めた。
「あんたに聞きたい事がある。どうして真言爺さんはあんたを赫夜さんの婚約者、なんていって連れてきたんだ? そもそも、弓削家に真言爺さんは弱みでも握られているのか?」
「弱み? はは! 面白い事を言うね、君は。僕の後見人、すなわち僕の伯父に当たる弓削光政と藤野真言公は非常に強い信頼関係で結ばれた刎頚の友と言うべき存在だ。まあ、昔は一人の女性を争ったこともある…とは聞いているけれどもね」