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カノンを取り戻せ『完結編』

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カノンを取り戻せ『完結編』

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【ブレイズ小隊の場合】



「【ブレイズ1】エンゲージ」
「【ブレイズ2】エンゲージ」
 続々とエンゲージしていく対精鋭部隊【ブレイズ小隊】のイコンたち。
 織田信長は密集隊形を敷いている敵部隊に対して、半包囲するように指示を出す。
 そして方位の輪が完成するとまず敵の共感機コームラントとこちらの長射程武器搭載機同士の打ち合いとなった。
 信長の【ブレイブハート・エクセリオン】の大型ビームキャノンが、杏の【ポーラスター】の大型ビームキャノンが、紫音の【ゲイ・ボルグ アサルト】の肩部マジックカノンが、一斉に火を吹いて密集している強化人間のイーグリットを一機撃ち落とす。パラシュートが開いたのは確認済み。
 対して3機いる教官機のコームラントから飛んで来る大型ビームキャノンのエネルギーの束は、密集していない上こちらがバラけているので回避は比較的簡単だった。
 そしてイコン同士が争っている側で大助が魔鎧七乃の空飛ぶ魔法↑↑で強化人間のイーグリットの背後に回りこみ燃料系統に攻撃を加える。
 【魔拳ブラックブランド】は発動すると甲の家紋が光り輝く。輝く拳を振るいながら大助はイーグリットをおもいっきりぶん殴った。
「ぐ! 燃料系統にトラブル発生! 脱出する!」
 エゼキエルが機体を放棄し脱出する。
 と、そこに遅れてミレリアとカノンがやってきた。
「みんなー、お待たせ! あたしの歌で元気になってね!」
 ミレリアが自らの姿を3Dホログラフィで空中に投影しながら、演奏を始める。
 すると敵の士気は一気に向上し、全線にわたって積極的な攻勢を仕掛けてくる。
 と言っても、敵の主武器はマシンガンなので移動間射撃は行えず、撃っては突撃し、突撃しては撃つの繰り返しになる。
 そのタイムラグが学園側のイコンにとってつけこむ隙となった。
 攻撃が止む一瞬の瞬間にこちらの射撃を叩き込み敵の連携を崩していった。
『皆さん戦場データ及び戦況を報告しますぇ』
 風花が【イロドリC】の情報網を通じて独自にプログラミングしたソフトで戦況を分析し逐一報告する。
「俺はあれから成長した。だからお前では俺には勝てない!!」
 紫音がそう叫びながら強化人間の一人ゼキエルに向かっていく。
 【加速】、【高速機動】、【回避上昇】を使いながら単騎敵中に突入し、ビームサーベルでぜキエルのイーグリットのビームマチェットと切り結ぶ。
 紫音は上から、ゼキエルは下から武器を振るい、ぎっちりと噛み合う。
 鍔迫り合いになる。
「くっそおおおおおお!」
 こうなると最早パワーと根気でどうにかするしかない。
 紫音の操縦桿を握る手に力が入る。
 敵機行動予測プログラムのおかげで攻撃はこちらが有利だが敵もなかなかに勢いを崩さない。ミレリアの『歌』の効果もあって、攻撃は力強い。
 そこで、S@MPが新曲を披露する。
「リュート・アコーディアプレゼンツ、『虹色の絆』! たのむぜ、コンマス」
 S@MPは空母に迫る対空ミサイルを迎撃しながら戦域支配のために『音楽』を奏でる。

 コンマスの和希のギターのメロディーがリードを取る。
 妙子のギターがハーモニーを重ねる。
 そしてルカルカのキーボードと佐那のキーボード、アレックスのアコーディオンが厚みを加える。
 そしてクリストファーとクリスティーのコーラス。ルカルカと佐那のコーラス、フレイとグリムゲーテのツインボーカルが主旋律を高らかに歌い上げる中で、ルースのベースと真一郎のドラムが激しくビートを刻む。


雨上がりの午後は 陽射しの女神様の祝福
虹色の架け橋を越えて 君の物語を始めよう
無限に広がる出会い 心の扉を開こう 
白紙の地図へ…旅立ちを印し 今 飛び立とう


 紫音は『歌』の援護を受けて気力を上げると
「お前達は俺達を裏切った、その報いを受けてもらう!! お前達の裏切りで傷ついた者達、死んで逝った者達の想いを背負って逝け」
 と叫びながらゼキエルに斬りかかる。
 横薙ぎのその一閃はイーグリットの首を切断してゼキエルに脱出を強いる。
 

セピア色の過去 色褪せない思い出に  
モノクロの未来 鮮やかに彩る希望へ


 ツインボーカルは力強くメロディを重ねる。
 そこにコーラスが加わり『歌』はさらに厚みを増す。


駆け出す空へ羽ばたく夢 きらめく世界を進もう
生きる事に迷う時は 素直な気持ちが導くよ 
時々、遠回りして 紡がれる絆を輝きに変えよう
今 伝えたい 透き通る想い…あなたに会えて良かった


 そして【ブレイズ小隊】が激戦を繰り広げている頃、【アサルト小隊】やその他の対雑魚戦のメンバーは補給、修理、治療を受けていた。
 そしてまた一方で、単独で地上の精鋭を受け持つジガンは高笑いをあげながら激しくてきと切り結んでいた。
「アギャギャギャ! テメー強そうだな! あ?! 殺し合いの始まりだぜぇぇえええ!」
 狂人は狂った予測のつかない太刀筋で敵のイコンを切り刻んでゆく。