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●私のカレーは……キューンキューン?

 芝生に腰掛け、手にはカレーライスの皿。
 この皿、何種類も食べられるように、中が小さくわかれているというすぐれものだ。
 涼司の黒カレーもあれば、美緒の手作りカレーもある。激辛という一品、逆に、お蕎麦屋さんテイストの優しいカレーも入れてもらった。
 そしてこれを食べる。これほどの至福がほかにあろうか。
 マリー・ランチェスターとローリー・スポルティーフ、二人並んでカレータイムだ。
「そうそう、カレーが実は、日本起源の和食だと知っていたかな?」
「そうなの?」
 熱々のカレーに舌鼓打ちながらマリーは応えた。
「うん。ではこのロリちゃんが話してあげるので聞くように」

 ある日、インドの偉いひとがお付きのものに言いました。
 日本留学中に食した肉じゃがを食べたいと。
「肉じゃがとはどういう料理なのでしょうか?」
 偉い人は答えて曰く
「玉ねぎを炒めジャガイモと人参と肉が適量、茶色くトロリとした料理である」
「それだけ…ですか?」
「うむり」
 おつきの人は悩みます。トロミの元がわかんねースよ!

「こうして悪戦苦闘の結果できたのが、カレーライスのはじまり〜」
 とローリーは話をしめくくった。
「……なんかおかしくない?」
「なにが? 隠し味にそばつゆを入れるのも納得だぁ。♪らじゃらじゃま……」
「いや、歌はやめて」
「なんで??」
「いいから、やめて」
 色々ややこしくなるから、とマリーは妙に怖い顔をして言うのである。
「それはそうとして、このトリビアはどうかな? ちなみに出店は『私のカレーはパイロット』ミン◯イ書房刊……より」
「ツッコミどころが多すぎて困ってしまうよ……」
 本当に、とマリーは溜息をついた。