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リアクション
第4章 個々の激戦
 ――豪華飛行艇2階、搬入口。
 そこで濃い髭をはやした男は、1人の女性を相手に尋問をしている真っ最中だった。
「おい! 俺たちの計画をかぎつけて妨害するためにこの船に乗ったんだろう!」
「ち、違います!」
 アリア・セレスティ(ありあ・せれすてぃ)は手足をロープで固定されていた。
 アリアは名声もあり、鏖殺寺院の間でも噂になっている人物だった。
「おい、お前達。武器を持っていないか調べろ」
 鏖殺寺院達はアリアの身体検査を始めだす。
「い、いやあ!? さ、さわらないで!」
「武器は持っていないようです」
「あっ、当たり前です! 本当に私はたまたまこの船に乗ってただけなんです」
 アリアは少し上着がはだけてしまった状態で、涙目になりながら男に言葉を飛ばした。
「ふんどうだろうな……どれ」
 男は立ち上がり、アリアの体……服をまさぐりだす。
「いやっ!? ど、どこを――も、もうやめて……」
 息を切らしながらも必死でアリアは抵抗をした。
 ――2F、通路。
 通路では複数人が束になって、仕掛けられているという爆弾を探していた。
「はあ……どこにあるんだよ」
 佐野 和輝(さの・かずき)は自分とアニス・パラス(あにす・ぱらす)にカモフラージュをかけ、ゴミ箱をひっくり返しながらため息をついた。
「む〜、どっこにもないね〜」
 アニスは和輝からずっとそばで爆弾を探していた。
「お前もお前で、なんで隠れないんだよ」
「にゃ? だって、人混み怖いもん」
 笑顔で答えるアニスに和輝はさらにため息をついた。
「あ、QB(キュゥべえ)どうだった? え、あった?」
 アニスの足下には白いぬいぐるみの式神がちょこんと座っていた。
「和輝、あったよ。こっち!」
「本当か!」
 和輝たちは、キュゥべえが案内する方向へと走っていった。
「……まだいたのかよ」
 和輝達の足が止まる。目の前には複数人の鏖殺寺院が道をふさいでいた。
「ここからは、意地でも通さん!」
 鏖殺寺院の一人が啖呵を切った。
「悪いけどこっちも……遊んでる暇は無い!」
 和輝は二丁拳銃で応戦する。だが数が少しばかり多かった。
「なんだ!? 銃の引き金にガムが!!」
 だが、銃が撃てなくなっていることに数人の鏖殺寺院達はうろたえていた。
 ウルスラーディ・シマック(うるすらーでぃ・しまっく)の仕業だった。
「ふん、本当は銃身の中に仕組んでやろうと思ったが、時間がないんでな」
 ウルスラーディも入ることで、ゆっくりと目的地へと近づいていく。
 そこに合ったのは……
「倉庫か、見つかりにくいわけだ」
 ウルスラーディはぽつりとつぶやいた。
 2F倉庫に入っていく。爆弾はキュゥべえのおかげですぐに見つかる。
「誰か、この爆弾を解除できる人は居ないか!」
 和輝が大きな声を上げて探す。一人だけ手を挙げる女性が居た。
「ボクがやるよ!」
 高崎 朋美(たかさき・ともみ)は、素早く前に出てきて、爆弾に対峙した。
「これ……今までの爆弾とは違うね」
 爆弾の大きさも今までとは違い二倍近くあった。
 下手をすればこの爆弾だけでこの船が吹き飛ぶ可能性があった。
「……技師だもん、人の幸せを守るためならやってみよう」
 少しためらった朋美だったが技師としての責任感から、爆弾の解除を始めた。
「させん!!」
 朋実の前方から鏖殺寺院と思われる男が3人飛び出してきた。
「っと、やらせないよ?」
 朋実を守るように前に出てきたのはマクスウェル・ウォーバーグ(まくすうぇる・うぉーばーぐ)だった。
 マクスウェルのしびれ粉が、三人の男を遅う。
 男達はそれ以上仲間を呼んだりすることなくその場に倒れた。
 だが、さらに複数人の鏖殺寺院がすでにやってきていた。
「囲まれてしまったか……」
 マクスウェルは背後にも殺気看破を感じ、振り向くとそこにも敵が数人立っていた。
「くっ……」
 次第に寄ってくる鏖殺寺院にマクスウェルは判断を怯んでしまう。
「う、裏切りもっ――!」
 突然、前方に居た鏖殺寺院が次々と倒れてしまう。
 その真ん中に一人だけ、鏖殺寺院が残っていた。
「ふう、数だけは多いよなこいつら」
 残りの一人はそう言って、布袋を投げ捨てた。
 正体は、なりきりをしていた蔵部 食人(くらべ・はみと)だった
「次!」
 さらに食人はマクスウェルの背後の敵へ、弾幕援護行う。
「アンタ、ぼーっと突っ立ってないで今だよ」
「あっ、ああ。わかった」
 マクスウェルの魔弾の射手が怯んでいる鏖殺寺院達へと次々と当たっては倒れていく。
 その間にも朋美は爆弾を解体し、仕組みを調べていた。
(時限爆弾ではなく遠隔操作の爆弾……この遠隔操作さえできないようにできれば……)
 朋美は爆弾のさらなる解体を慎重に始めたのだった。
 
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